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SweetStrawberryRondo 4  作者: M11
11/11

Sweet Strawberry Rondo 4.5

エピローグの後日談です

「ふぃー、終わった……」

 TV取材が終わった。

 私こと(つる)()()()がガイドとして所属する、さくや観光の魅力に関する何ちゃら……とかで、マッキーさんこと(くろ)(さき)()()さんがレポーターとして会社にやって来たのが昨日の午前中のこと。今日も引き続き取材が行われ、私は案内役として会社内を縦横無尽に駆け回った。

 その取材も一段落したらしく、今は休憩タイム。TVクルーの皆さんは、会社が用意した控室で映像チェックを兼ねた休憩……らしい。かくいう私は、乗務員休憩室で他のガイド達とお喋りタイム。

「お疲れさん、みさっぴ」

 一番上のガイドである(にい)(ざわ)(たま)()(タマちゃん)先輩が声をかけてきた。

「……オツカレサマデス」

「ひいっ、恐いよその顔!」

 私は、ありったけの恨みを込めてタマちゃん先輩に返事をした。

「全く……誰のせいでこんなに疲れなくちゃいけないんデスカネ?」

「あはは……」

「まぁまぁ、その辺は許してあげてよ美佐ちゃん」

「……()()()先輩も同罪だと思うんデスケドネ」

 もう一人の先輩である、(みや)(した)佳奈子先輩をジト目で見る。

 今回のTV取材、前々からオファーはあったらしい。正式に仕事が決まったのが二週間ほど前ということだ。折しも、ヨーロッパでのテロ事件と重なりTV局側がゴタゴタしていたのだが、その混乱に乗じてフリーのアナウンサーであるマッキーさんは、案内役に私を指名してきた(と聞いている)。会社でその取材話をたまたま聞いていたタマちゃん先輩と佳奈子先輩が、私の成田空港騒ぎを知っていたので『是非に!』と私を生け贄に差し出した……のが今回の事の顛末だ。

「でも、良かったでしょ?仕事内容」

「そうでなかったら、暴れてますよ?佳奈子先輩」

「怪我の功名だよな♪」

「それ、意味違いますよ?タマちゃん」

「タマちゃん言うな佳奈子!」

「どうどう、落ち着けタマ」

「うぇーん、ひでみぃ~、みんながいぢめるよ~(泣)」

「別にいじめてないだろ……」

 拗ねるタマちゃん先輩を、側にいた(たで)(はら)(ひで)()先輩があやしている。この二人は同期だから、秀美先輩がタマと言っても怒らない。体格差がある(タマちゃん先輩はかなりミニマムなので)から、とても同期とは思えないが。

「それよりも、取材はもう完全に終わったの?」

 それとなく、佳奈子先輩が聞いてきた。

「今は、映像チェックをしているそうです。撮り直しがあれば、声がかかることになってますが」

「結構ディープな所まで撮ってたよね」

「もしかしたら、スタッフさんの中にバス好きの方がいるのかも?」

「だよねー。車庫の奥から古いバスまで引っ張り出させるんだもの」

 最新鋭のバスから、もう引退寸前の予備車両まで引っ張り出して駐車場での撮影……圧巻だったなぁ。会社の歴史を感じさせるシーンだった。っていうか、何処に仕舞ってあったんだ?あの古い予備車。私も見たこと無いぞ。

 そんなこんなで今回の取材、社屋から車庫から整備工場から、会社の色んなところにTVカメラが入った。ガイド控室(と言う名のガイド寮の空き部屋)にまで入ろうとしたのは全力で阻止したけど。あそこだけは人様には見せられない……ガイドには秘密が一杯なのだ♪

「かなー。明後日からの二泊仕事の行程表持ってきたけど」

 そう言って乗務員控室に入ってきたのは、(たま)()(みち)()さん。事務職ながら、ときどき添乗員もこなすというとんでもない人だ。

「ありがとーミッチー。愛してる~」

「ば、バカ!ひ、人前で変なこと言わないで!」

「うにゃー、ミッチー冷たい」

「あああ当たり前でしょ!」

 ……何なんだ、この漫才。

「通江ちゃんも照れなきゃいいのに」

 あ、タマちゃん復活。

「あの二人って……」

「課は違うけど同期なんだよね。そして……同棲してる」

「同棲!?」

 ということは、一緒の部屋に住んでいる……ということ!?

「ななな何で知ってるんですか、タマちゃんっ!?」

 こちらの会話が聞こえたのか、激しく動揺する佳奈子先輩。

「あたいが知らないとでも?」

「どどど何処から情報が……ソースを開示せよ!」

「あんたら二人が部屋から出てくるところを、この目でしかと」

「まさかの目撃者が本人っ!」

 タマちゃん先輩に目撃されたのが余程ショックだったらしく、激しく落ち込んでいる。

「……この事はどうか、どうかご内密にぃ……」

「どーしよっかなぁ~♪」

「おだいかんさまぁ~、お~じ~ひ~を~ぉ……(泣)」

「そんじゃさ、打ち上げ企画してよ、今日の取材終わってからね。ここにいるみんな、明日休みでしょ?呑みにいこうよ」

「え、今からですかぁ!?」

「そ。いわゆる女子会ってやつ?」

「それはいいですけど……タマちゃん、秀美さん、私、美佐ちゃん……ミッチーも入れていい?」

「無論……あと、あのアナウンサーもね?」

 そう言って、タマちゃん先輩が私にウインクをしてきた。へ、マッキーさん誘うのっ!?

「総勢六名ですか……お店予約出来るかなぁ、当日で……ミッチー、手伝ってぇ~」

「し、仕方ないわね。ほら、タブレット」

 そう言って、通江さんは手に持っていたタブレット端末を佳奈子先輩に渡して、一緒になってお店検索を始めた。

「ほらみさっぴ。ボケッとしてないで、アナウンサー誘ってくる!」


「は、はいっ!」




「……という話になりまして」

 その後、TVクルー控室に移動した私は、マッキーさんに事の顛末を話していた。

「そうですか。私も明日はオフですので丁度いいですね。ご招待をお受けいたします」

 マッキーさん快諾。

「問題はお店……佳奈子先輩、どうかなぁ」

 心配になって、電話をしてみる。

「もしもし、お店見つか……」

『美佐ちゃ~ん、助けて~(泣)』

 電話越しにいきなりの泣きつき。かなーり難航してるみたい。

「やっぱり見つからないですか?」

『急な話だから、どこも受けてくれなくてね……お手上げ寸前』

 いつのまにか通江さんに話し相手が変わっていた。その向こうから、佳奈子先輩の泣き声?が聞こえてくる。

「困りましたねぇ」

 私も一緒になって考え込んでいるところへ、意外なところから救いの手が差しのべられた。

「どうしても見つからないのでしたら、あてがあるのですが……」

「マッキーさん?」

「そこでも宜しければ、私が手配いたしますが……」

「ということですが、どうでしょう?」

 手配係は佳奈子先輩達なので、確認を取ってみる。

『この際、予約が取れればどこでもいいわっ!』

 また相手が佳奈子先輩に変わっていた。

「では、お願いしちゃいますよ?」

『任せた!恩に着るよ~』

 そう言い残して、電話は切れた。

「では……お願いできますか?マッキーさん」

「お任せあれ」

 その話が纏まると同時に、スタッフさんが現れて晴れて取材は終了、ということになったらしい。撤収して一度TV局に帰るというマッキーさんは、帰る道すがらに予約してくれるそうで、合流先をあとでメールしてくれることになった。その旨を佳奈子先輩に電話で伝え、私たちガイド組も一旦解散。その後、寮に帰った私宛にマッキーさんからメール着信。

「え……この店って!?」

 マッキーさんが予約したお店は、いつぞや彼女とお昼を共にした、あのお店だった。




「ホントにここ……なの?」

 タマちゃん先輩が上を見上げて呟いた。

「ここって、例のミステリーで寄ったホテルの系列……よね?」

 佳奈子先輩も上を見上げて呟いた。

「ドレスコード厳しいって噂を聞くけど……」

「そのはずです。世界にも名が通るホテルですから、手配も難しいんですよね……」

 秀美先輩も通江さんも上を見上げていた。

 それもそのはず。マッキーさんが予約したお店は、この立派なホテルの中にある高級な日本料理専門店。一般庶民には、敷居が高すぎる。

「でも、マッキーさんがよく使うお店らしいので、常連ってことで予約が取れたんでしょう。とある番組のスポンサーでもあるらしいので、このホテル」

 ほぉー、と皆が驚く。

「でも、それにしたってこんなスーツでよかったんかね?」

 予約場所が判明した時点で、私は皆にスーツで集合するよう厳命した。こんな場所だ、普段着ではまず入れてくれないだろう。

「私も、このスーツでOKでしたから大丈夫かと。ガイド制服じゃ流石におかしいでしょ」

「美佐ちゃんここ来たことあるんだ!?」

「い、一度だけ……」

 おぉー、とまたもや皆が驚く。

「と、とにかく!こんなところに突っ立ってないで、移動しましょう。他の方に迷惑ですよ」

 そう言って、私は号令をかけ皆をお店まで誘導した。


「あ、皆さん。ようこそいらっしゃいました。そして、お招きありがとうございます」

 エレベーターを降りてお店の前に向かったら、マッキーさんがパンツスーツ姿で待ち構えていた。

「あ、ど、どもです」

 一応、みんなを代表してタマちゃん先輩が挨拶をしようとしたが、緊張してるのか言の葉を紡ぐことが出来なかった。それを見た他の皆は、笑いを堪えていた。パーフェクトガイドと称される彼女が言葉に詰まるという、レアな姿に。

「ささ、立ち話もなんですから、中へどうぞ」

 マッキーさんに促されて、いざ入店。いつぞやの個室みたいなところに通された。

「ほへ~」

「高そうなところ……」

 驚きの言葉しか出ない、私以外のみんな。私だって、言葉には出ないけど驚いてるんだよ?まだ二回目だし。

「よくここが押さえられましたね、マッキーさん」

「ちょっと無理は聞いてもらいましたけど、よく利用しているおかげでしょうか」

「料理とか大丈夫なんでしょうか」

 そういうところが気になるのか、通江さんがマッキーさんに質問していた。

「普段は高級系なお店ですけど、リーズナブルなメニューもあるんですよ。今回は、企画中である女子会プランのテストも兼ねてます、とのことです」

 ふーん、そういう裏があったとは。でも、それにしたってよく受けてくれたよね。お店に感謝です。

「では、取りあえず生中でいいよね?みんな」

 そう言って、タマちゃん先輩が飲み物を頼んでいく。程なくして、生中とお通しが運ばれてきたので、私が受け取り皆に配っていく。一応、下っ端ガイドなので。

「それじゃ、タマちゃんの音頭で!」

「タマちゃん言うな!え~、二日間のTV取材お疲れ様でした。明日はみんなお休み……だよね?うん、通江ちゃんも大丈夫と。アナウンサーさんも……はい、OKいただきました。では、お店に迷惑かけないように呑みましょう。わかった?佳奈子」

「何でわたしに言うんですかっ!」

「かんぱーい」

「ちょ、秀美!」

『かんぱーい♪』

「お~い……美味しいとこ持ってかれたぁ、ガックシ」

 相変わらずグダグダなノリである。でも、こういう雰囲気は割りと好きだ。




「うわーこのお刺身美味しい!」

「揚げ物も絶品だな」

「お酒も美味しいねぇ~、かな」

「ミッチーは飲みすぎちゃダメ!」

「相変わらず美味しいお料理ばかりですね、マッキーさん」

「そう言っていただけると安堵いたしますわ」

 乾杯の後、色々な料理がテーブルを所狭しと埋め尽くしていた。まさか、お刺身が船盛りで出てくるとは思わなかった。急な予約とはいえ、ここまでの料理が出てくるのには脱帽した。あとの支払いが怖いんですけど……。

「ところでさぁ~?」

「なんでしょうか?」

 唐突に、タマちゃん先輩が私に寄ってきた……っていつの間に隣に!?さっきまで対面にいて秀美先輩と話をしていたはずでは。

「みさっぴとぉ~、そこの女子アナってぇ~、どーいう関係なのぉ~?」

 いきなりピンポイントに攻めてきますね。

「それは、私も気になっていたんだよねぇ~」

 ぅわ、佳奈子先輩からも追求され始めた。

「だって、かなり親密だよねータマちゃん?」

「んだんだ」

 いつもの『タマちゃん言うな!』が飛んでこない?相当酔ってるのか?と、手元を見たら、ジョッキが既に三つ!?どんだけハイペースなんだよ!

「いつぞやの成田行きの騒ぎの相手って、彼女なんでしょ?」

「なっ!」

 何故バレている!?話したことはない……はず。

「経歴やプロフィールをネットで拝見したときにそうではないかと、私が推測しました」

 まさかの通江さんが発端だった!?

「今回のTV取材の窓口、私なので」

 それで、色々調べたらそこに行き着いた、と。

「一応、メル友です。タマちゃん先輩にはチラッと言ったことありますが」

「そうは……」

「見えないよね~」

 そう先輩二人がハモったところで、斜め向かいにいたマッキーさんの方からが、盛大に箸を落とす音が聞こえてきた。

「マッキーさん!?」

「そんな……あの時の激しい愛の誓いは。嘘だったんですか?」

 ななな、何て事を仰いやがりますか、この人わ!

「そんな事してないし!」

「昨日だって、情熱的なキスを……」

「不意打ちでしょ!っていうか、されたの私ですよね!」

 この混乱に乗じて、ここぞとばかりに問題発言を投下するマッキーさん。お酒が入っているせいか、面倒くさいキャラになってませんか?

「詳しく」

「聞かせて」

『もらおうかのぅ』

 二人の先輩がにじり寄ってくる。

「マッキーさん!」

 助けを求めたが、かの人はさっきとは一転して、なぜか通江さんと話が盛り上がってるっぽい!?コミュ障な人のはずなのに……お酒の力は偉大だ、じゃなくって!こっちが危機なんだってば!

「大丈夫、吐けばラクになるよ~」

「痛いのは最初だけだからね~」

 ぅわ~っ、二人の追求がぁ~って、佳奈子先輩?それちがうでしょ!

「こうなったら……そだ、秀美先輩ヘルプミー!」

 最後の手段とばかりに、私は秀美先輩に助けを求めた……が。

「…………」

「あ、あの~。秀美……先輩?」

「…………」

「もしもーしぃ?」

「…………」

 へんじがない、ただのしかばねのようだ……じゃなくて、こちらが呼び掛けても全く反応がない。

「ふふん、無駄だよ~ん。秀美はねぇ~お酒が入ると無口になっちゃうんだよね~。諦めれ♪」

「鶴見美佐!君に情状酌量の余地はない。おとなしく投降せよ!」

「なんだか佳奈子先輩までキャラ変わってるしぃ!」

 ……その後、私が白く燃え尽きるのにさほど時間はかからなかった。




「お疲れさまでした、美佐さん」

「こんな女子会、もうこりごりですよぉ……」

 あの後、なんとか復活した私は、先輩たちの暴走を必死に食い止め、お酒を与えて酔い潰した。幸いなことに、このお店はホテルの中にあるので、フロントに頼んでツインの部屋を二つ取ってもらい、タマちゃん先輩と佳奈子先輩を各部屋に放り込んだ。タマちゃん先輩に関しては、秀美先輩が無言で抱き上げ部屋に連れていったのだが。因みに、佳奈子先輩には通江さんが付いてくれている。『起きたら説教ですね♪』と言い残して、部屋に入っていった。恐ろしい!

 そんなこんなで、グダグダのまま女子会は終了と相成った。今は、マッキーさんと二人でショットバーにて飲み直し。ザルな私なので、さっきの女子会程度では全然飲み足りない。というより、お酒を注ぐ方が多かった。下っ端ガイドなので。

「しかし、マッキーさんってお酒強いんですね」

「まぁ、業界で鍛えられてますから(苦笑)」

 そんなたわいもない会話をしながら、カクテルを傾ける。飲んでるのは、『ブラッディ・マリー』。マスターのお任せで頼んだのだけど、私ってそんなに血に飢えてるように見えるの?それか、これ飲んで落ち着け、ってことなのかね。因みに、マッキーさんはカルーアミルクを優雅に飲んでいる。

「それにしても、助かりました」

「なんのお話ですの?」

「今日の女子会の会場です。あのお店じゃなかったら、先輩たちをどうしようか悩んじゃいますもん」

「あはは。容赦なかったですわね、あのお二人」

「マッキーさんが助けてくれなかったからですよぉ~」

「思いの外、満水さんとお話が弾んでしまいましたので。ごめんなさいね」

「これでまた、佳奈子先輩に弄られなければいいんだけどなぁ……」

 二人でクスクス笑い合う。

「私こそ、女子会にお誘いいただきありがとうございました」

「急な話でしたので、迷惑かな~とも思ったんですが」

「いえいえ。寧ろ、私なんかが居て良かったのかな?と」

「私たちを肴に呑みたかっただけ、のような気もしますがね」

「それはそうと、何故あの場で私たちの関係を公言しなかったのですか?」

 うっ、そこをついてきますか……

 結局、私はあの場ではマッキーさんとの関係をうやむやで通した。あくまでメル友だ、と。

「マッキーさんは、まがりなりにも業界人なんですから、ゴシップネタはまずいでしょう。ましてや、女性同士で恋人なんて……どこからそんな情報が漏れるかわからない時代なんですし」

「内輪なら問題ないかと思いますけど」

「用心し過ぎで丁度いいんです」

「では、美佐さんの気持ちを信用してもいいんですね?」

「も、もちろんです!あのときの気持ちに嘘はありません」

「……マスター。例のアレを」

 突然、マッキーさんはマスターになにかを頼んだ。マスターは無言で呼応して、シェイカーを振りだした。そして、マッキーさんの前に新しいカクテルが置かれた。

「……そのカクテルは?」

「『X・Y・Z』といいます」

「え、漫画で見たことがある……実在するんだ、こんな危険な名前のカクテル」

 ぅわ~、初めて実物見たわ。って、何で今これを頼んだの?何か意味あるの?

「これを、美佐さんに」

「私にっ!?」

 ドウイウコト?ドウイウコト?みさのターン。みさはこんらんしている!

「先般の告白、先程の言葉、証明してください」

「し、証明っていっても……どうやって?」

 気持ち的には嘘偽りないんですけど。

「ここで……証明してください」

 そう言って、マッキーさんはカクテルと共にとあるカードを私の前に差し出した。

「え、これって……」

 まさか、ここのホテルの……カードキーですかっ!?

「実は、お部屋は三つお取りしてあります」

 そう言えば……『私にお任せを』とか言って部屋を押さえてくれたのは彼女……そこから既に確信犯だったのですか!ということは、カクテルの意味するところは……後には引けません、女に二言はないですよね?と問いかけてる……のかな?



 私は無言でカクテルを呷ると、カードキーを手に取りショットバーを後にする。

 それを見て、マッキーさんも少し遅れて私に付いてきた。

 退店際にチラッと振り返ると、マスターが無言で会釈をしてくれた。

 そして、二人でエレベーターに乗り込み、扉が閉まると同時に私たちは、愛を確かめ合った。



SSR4は、ひとまずこれにて終了です

新作(SSR5)は、またボチボチと書いています

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