序章
新規に社会人百合を書き出しました
超不定期更新ですが、それでもおkという方はどうぞ
「……また来てる」
とあるツアーの集客にて。
最近、ガイド2年生である私こと鶴見美佐と、よく一緒になるお客様がいらっしゃる。
最初は、偶然だと思っていた。
しかし、半年で5回も一緒になるなんて有り得ない。しかも、全て日帰りのツアーにて。
今回は、1泊のミステリーツアー仕事だから、大丈夫だと思っていたのに。
「美佐さんが何時も愚痴ってる、例の女の人ですか」
私より後輩の運転士である石見君が、配車場所にハンドルを切りながら問いかけてきた。
「そうよ。これでもう何回目かしら」
常連客と言えば聞こえはいいが、彼女の場合は異質である。必ず1人参加であること、席は必ず最後尾を希望していること、バス移動中は何かしらメモをしているけど、私が近づくとそれを隠す……等々。とりあえず、考えても答えは出ないので仕事をしますか、と思った矢先にドアがタイミングよく開いた。
「ナイスタイミングよ、石見君……お待たせ致しました。1泊ミステリーご参加の方、お名前を下さいませ」
普通の常連客なら、ここで「ガイドさん、また来たよ~」とか声を掛けてくれるのだけど、彼女の場合はボソッと自分の名前を名乗るのみ。
「……黒崎真貴です」
冬でもないのに、サングラスとマスクという重装備。だから、余計に印象が強くて覚えている。マスクに関しては、喉のケアという理由で私も普段からしているけど、それプラスサングラスは怪しい印象しか与えない。他のお客様に言われた事があるので、彼女にサングラスを外すことは出来ないか問い合わせてみたことがある。
「目が弱いので必須なんです……」
そう答えが返ってきたら私も強く言えないので、他のお客様に説明して納得してもらった。実際、食事場所でもサングラスを外すことはない。食べにくくないのかなぁ、と要らぬ心配をしたこともある。
「あの彼女がそうなんすね」
集客も終わり、バスを高速に向けて走らせている彼から、そんな呟きが聞こえた。
「割と目立つでしょ?」
私も、一番前のお客様に聞こえないような音量で返す。
「パッと見、完全に不審者ですからねぇ」
「でも、何かする訳じゃないから、他のお客様にはそれとなく説明しておくわ」
「りょーかい。でも……」
そう言ってきた彼の次の一言に、私の心の中で何かが引っ掛かった。
「あの髪型、何処かで見たことあるんですよね……」
社会人百合モノということで、SweetStrawberryRondoシリーズの続きです
他のSSRを読んでいなくても大丈夫な単発作品です
とりま冒頭だけ出来たのでうpってみました