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異世界3日目。

いつ寝たのか、気がついたら朝だった。

今日もいい天気のようでお日様がこんにちわしているのが見える。


「おはよう、ユウ」


「おはよう、ミーネ」


涼やかな声に振り返るとミーネさんが起きていた。自分がいつ寝たのか分からないが、いつもミーネのが先に起きているので本当に寝ているのかと疑問に思う。

本人曰く、軽く寝ているそうだ。


「さて、今日は各武器の扱いをおさらいした後は、魔物と実際に戦闘してもらいます」


「戦闘ですか!」


「ええ。武器は戦う為の物。実際に振るえなければ意味がありませんので」


確かにそうだ。初めて生物を殺すことになるんだな・・・。大丈夫だろうか。

まぁやってみなけりゃわからない。深く考えずにやってみようか。


「この神殿周辺で魔物と戦う感じです。危ないと思ったら手を出しますが、期待しないでください」


「了解!武器は何でもいいかな?」


「ええ。ただし、最初は近距離武器限定とします」


なるほど・・・。はじめに命を奪う忌避感を克服させたいのか。確かにそこは早めになんとかしないと・・・この世界で生きていくのは厳しいものになるだろう。


「わかりました」



とはいうものの、さて何を使うか・・・。昨日教わった通りに構えや握りを気にしつつ武器を振る。

素人考えかもしれないが森の中だと長柄の武器は厳しいだろう。

どんな相手と戦うか分からないから格闘は保留。

とすると片手剣、刀、斧、短柄のメイスと短剣なんかの取り回しが容易な武器を使うのが良いか。この中からだと・・・まてよ?アレが使えないか?



 腰にはメイスを固定して神殿入り口から森の中へと分け入っていく。今日はポーチと解体などで使うナイフも装備した。右手の鉈で枝を払いながら、慎重に進むこと5分。

初めての魔物に遭遇した。


「・・・きのこ?」


「ファンガスタスですね」


背後に陣取ったミーネが名前を教えてくれるが、名前よりも気になることがある。

ファンガスタスの姿は直立した椎茸といった形で、ファンタジーらしく全身ピンクに白の水玉模様だ。

石突部分には足がにょろりと生えて立っていて、胴体からは腕も細長いのがにょろっと2本。

人型といっていいその姿だが、一番おかしいのはそこではない。


「なんで・・・山菜取りしてんだよ・・・」


そうなのだ。奴は左手に何かの枝で作ったと思われる籠を持ち(籠もピンクだ)左手で心なしか優しい手つきで山菜らしきものを採取しているところだった。山村の娘といった風情だ・・・。


「ファンガスタスは草食なので・・・」


ミーネが後ろで何か言っているが、初めての戦闘がアレか・・・。


「とはいえ、ファンガスタスは体色によって異なる毒を持ち、種類によっては致死毒もあるので色によっては冒険者ギルドでいうランクD相当です。あれはピンクなのでせいぜいランクEというところでしょう」


ランクについてもよく分からないが・・・毒持ちか。

まぁいい。よくないけどいい、ということにしよう。考えるな!感じろ!・・・くそぅ、あのキノコ平和そうだなぁ・・・。


「ユウがやれないのなら私がやりますが?」


「ぐ・・いや、オレがやる」


「そうですか?では・・・」


無害な感じがプンプンするが・・・これも生きる為だ。ポーチから手斧を出して、ゆっくりとファンガスタスに近づいていく。オレが考えた戦い方で見せ武器として何か装備しておいて、状況によって別の武器を出す事にしたのだ。対人を意識したように思える準備だが魔物にも知性がある種には通用するらしい。


「ふっ!」


「キ?キィ!」


短く息を吐いて敵に向かって走る。

こちらに気がついて籠を落としてヒィィィ!とでも言いそうな感じで両手を前に出したファンガスタスに襲いかかっていく。

・・・これすっごい抵抗あるんだけど!!こっちが悪者の図に見えるんですけど!?


動揺を必死に抑えて教わった振り方を意識して斧を上から叩きつけるように振ると、ファンガスタスは白刃取りでもしようとしたのか手をパチリと合わせるも・・・斧はすり抜けて頭頂部から真っ二つに割っていた。

きのこェ・・・なんて残念な・・・。思わず力が抜けた。


「ユウ!まだ終わっていない!」


「え?」


初めて生物?を殺したことや内心のツッコミの嵐で放心していたらしい。気を抜いていたところにソレがきた。

2つになったファンガスタスからピンクの胞子のようなものが噴き出したのだ。


「ぐあ・・・ゴホッゴホッ」


「すぐに離れて!」


それが最後の抵抗だったのかファンガスタスはそのまま動かなくなった。ミーネがファンガスタスから魔石を取り出しているのを見ながら、己の不甲斐なさに怒りがわいてくる。

くっそ・・・姿形に惑わされてなにやってんだ!初めて戦う魔物を相手に死亡確認もせずに放心するとは・・・!くそぅ・・・なんて・・・・なんて笑えるんだ・・・!アハ、アハハハハハハハ!ダメだ笑いたくないのに笑えてくる・・・!


「間に合いませんでしたか・・・ピンクの毒は笑いが止まらなくなる毒です。しばらくすれば収まりますが一旦戻りましょう」


「わかりましたアハハハハハ」


苦笑しながらミーネが先導してきた道を戻る。それにオレはアハアハ笑いながら付いていく。

なんだこの辱め・・・!くっそアハハ。



神殿前の広場に戻ったところでミーネが振り向いた。ちなみにアハアハは5分程で治まっている。

ミーネは厳しい表情だ。オレは黙って地面に正座した。


「さて、何が悪かったのか分かりますね?」


「はい、倒したと思って完全に油断していました・・・」


「その通り。武器の扱いは教えた通り出来ていたので及第点ですが、問題は心構えです。なんですかあの体たらくは!敵を前に残心ではなく放心してどうする!」


やばい・・・ミーネ先生が軍曹殿モードに入りかけておられる。そして上手いこともいっておられる。


「その腑抜けた精神を鍛えなおしてやるッ!構えろ!」


「っ!おねがいします!」


こうして修行二日目もミーネズブートキャンプが開催されました。




夜。

昨日よりもボロボロになりながらも何とか夕食を終えて、教えてもらった生活魔法で水を頭の上に出して浴びる。

エルさんからもらった服は既に2着がボロボロになっている。

着替えが無くなるのも時間の問題だ・・・。とりあえずボロとなった服も水で洗ってその辺の壁に干しておく。


その後は各武器のメンテだ。ミーネ先生に種類別に教わる。


「本格的な研ぎが必要な場合も当然ありますが、それは基本的に専門の鍛冶師に依頼した方が良いでしょう。汚れを拭って剣身を確認します。歪み、刃こぼれを毎日確認してください。使っていない場合でも確認はしておいた方が無難です」


ミーネに習いながらゆっくりと武器を確認していく。普段使うナイフ、投擲の練習で使ったダガー類にキノコ戦で使った斧、枝を払う鉈もだ。メイスは使っていないが一応見ておく。


「木製の武器ですが場合によっては修理出来ない場合があります。弓の亀裂、矢弾の歪み、折れ等ですね。このトンファーもそうですが、少々の欠け程度ならケア出来ます。それを確認しましょう」


木製箇所は亀裂に注意していく。幸い、トンファー含めて欠損や亀裂は見られなかった。


「いいでしょう。それではおやすみなさい」


メンテが終わったところで就寝。枕元に置いてある時計を見ると8時半というところだ。かなり早いがもう眠い。朝から動き続けているからだろうか。

目をつぶるとすぐに眠りに落ちた。






 そして、こんな日々が1ヶ月も続いた。


食料が不安だったのだが、ある朝確認したら増えていた・・・。

パンだけでなく米と炊く為の土鍋まであったのは驚いた。異世界なのに米文化もあったんだね・・・。

あの美味すぎる干し肉も追加されていた。スープの出汁いらずだからなあれは。

訓練として食べられる草や実、獣を狩ったりもした。狩りも結構上達した気がする。


一番ありがたいのが服を追加してくれたことだろうか。

それまでオレ半裸だったからな・・・下半身だけは狩った獣の毛皮巻いてたけれど。気分は原始人だ。ガオー!

たまにミーネ軍曹が確認して頷いてたからね。うむ、なかなかいい腹筋だ、みたいな。照れられても困るが真顔で筋肉の発達具合とか見られると逆にこっちが恥ずかしかったな・・・。


色々な物が増えていたのでミーネに確認したら、必要だから申請したとのこと。役所みたいだね、と言ったらそういう感じの所だとの答え。神界って役所っぽいのか・・・。


毎日戦闘訓練と狩りで忙しかったが、上達が感じられるので夢中になってしまい・・・気がついたら一月経過していたわけだ。

あれから毎日ミーネ軍曹殿に怒鳴られ、ボコボコにされ、魔物と戦い続けた。

おかげでかなり強くなったと思う。リベンジとしてあのファンガスタスとも何度か戦った。奴ら会う度に違う格好でな・・・買い物帰りの主婦っぽい格好の赤シメジ(なぜか持ってた紙袋からフランスパンらしきものが見えた)だったり、長老みたいな長い白髭を伸ばして杖をついてヨロヨロと歩いている灰色の舞茸だったり・・・奴らの事は未だによく分からない・・・。

オレは考えるのをやめた。


すると直後に精神耐性のスキルを得た・・・。

その他にも色々覚えたしスキルもかなり伸びたと思う。




---ステータス---

個体名:ユウ・ミサキ

種族:ヒューマン

年齢:18才3ヶ月

職業:中間管理職くろうにん、(剣士職開放)(格闘士職開放)(狩人職開放)(斥候職開放)(斧士職開放)(盾職開放)(商人職開放)(鍛冶職開放)(医療職開放)


レベル:10

生命力: 548/548

魔力量:300/300


力 :C+

体力:B

器用:A

敏捷:C+

魔力:E

知力:D+

精神:A

運 :C


ースキルー


”アクティブスキル”

軽盾術5new、鎚術5(3UP)、剣術6(3UP)、短剣術5(3UP)、刀術6(4UP)、斧術8(6UP)、棒術4(2UP)、槍術4(2UP)、杖術5(3UP)、拳闘術4(3UP)、蹴撃術4(3UP)、投げ技3(2UP)、関節技3(2UP)、投擲術6(5UP)、弓術5(3up)、手当6(5UP)


生活魔法MAX


”パッシブスキル”

防御8new、足捌き5new、ステップ3(2UP)、持久走5(4UP)、軽業4(2UP)、地図2(1UP)、方向感覚3(2UP)、サバイバル5(4UP)、部隊指揮3、指導3、登攀2(1UP)、魔力操作2new



ストレス耐性6(1up)、毒耐性5new、精神耐性5new、耐寒1、耐暑1


”生産系スキル”

釣り3、料理3(1UP)、鍛冶2(1UP)、木工2(1UP)、皮革2new、機械操作1


”ユニークスキル”

早熟MAX、器用貧乏8(3UP)、アルマトゥーラ言語MAX


”祝福”

ズィッヒェルの加護(特)、シュベアートの加護(笑)


”称号”

苦労人、胃痛の友(笑)、器用貧乏、神認定お人好し、異世界より来る者、中級神の強き加護を得し者、神の弟子、耐える者new、森の狩人new




意外とレベルが上がっていないのは魔物との戦闘はそんなに多くなく、どちらかといえば悪い点を指摘する為の模擬戦が多かったからだろう。

ミーネは指導というスキルを持っていて教える場合に補正が付くらしい。

だからかスキルの伸びがえらい早いんじゃなかろうか。

まぁここでの生活にも慣れたがそろそろ出るとの事。


さてさて・・・どうなることやら。

まだ街にいかないという。もう少しで人を出せると思います。

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