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ちょいと短めですが、投稿いたします。


 剣を振る。


フォン!フォン!


音が追いつくよりも早くさらに振る、もっと早くもっともっと。

狭い室内であることは短所にならない。

むしろ敵の行動を狭められると考えるべき。


もっと・・・もっと!


「すとっぷ!すとぉぉっぷ~!」


ハッと我に返る。

唖然とした無表情という器用な顔をしているカリンと、慌てた様子でぴょんぴょん飛び上がるシャルさん。


おや?


「振り心地を試すだけなのになんで本気になってるのさ~!危ないったら~!」


「う・・・すまん!」


プリプリと怒っているシャルさんに慌てて謝る。

しまった・・・気を纏わせて武器を振るうのが初めてだったものだからつい熱中してしまった。

頭を掻いていると、カリンがやれやれと肩をすくめた。


「ん。もう撃てる?」


カリンは魔法を封じた弾丸で補助が出来るということに魔法使いとして興味津々であるらしい。

弾か・・・。


「うん。一応、全力で一本作ってみたんだけど・・・まだ魔法を刻んだ銃弾は用意出来てないんだ」


「すぐ入れる?」


「そう、だな。とりあえず最初だから生活魔法入れてみようか」


コクリと頷くカリンと安心したような顔になるシャルさん。

大魔法いれてくれ!とか言うと思ったのかな・・・心配しなくていいのよ?

さっきはちょっと興奮しただけなんだからねっ!

誰にいってんだオレ。


「これに・・・生活魔法を刻んでっと・・・これでいいかな」


魔法にはそれぞれ刻印というものがある。

俺にも出来るような生活魔法なんかは難易度が低いので簡単な記号で済むが、高レベルの魔法になるととんでもなく複雑な文様になるらしい。

魔法使いはその記号なり文様を思い浮かべながら魔力を起動、イメージで対象と効果範囲を設定、詠唱で強化、発射!というプロセスだそうな。


・・・うむ。出来る気がしない!

ある意味魔法神にセンスやら何やら剥奪されて良かったかもしれん。

もともとあまり興味は無かったけれど、使えないとなって武器により集中出来るようになった側面もあるわけだし。



さて、特殊な魔道具で暴発しないように安定させた小さな刻印がしっかりと刻まれているのを確認して銃弾の薬莢部分に細工をする。

細工をせずにこのままだと届く前に空中で発動してしまうらしい。


投擲するタイプの攻撃魔法ならそれもいいかもしれないが、補助で使う関係上やはり銃弾に求められる性能は結構高くなってしまう。


これは地球のようにばら撒くような使い方はとてもではないが出来ないし、出来たとしてもコストが高すぎて躊躇してしまう。

その辺り、職業神のバランス感覚ってことなのかもしれない。



さて、どんぐりに近い形状の銃弾だが細部はやや異なる以外は普通にイメージ通りの銃弾と同じだ。

火薬を爆発させて銃弾を高速発射するのではないが、トリガーを握って発射する仕組みは変わらないようにしてある。



「・・・これはかなり面倒かもなぁ。銃弾の種類によって型を作り変える必要があるのは確実だし」


「ん。刻印細かい」


「だな・・・。どうすっかな。刻印毎に鋳型を作るのは確定として、尻部の魔法刻印は・・・試射してからの話だな」


「おぉ~!ついに試射するんだねっ!」


銃弾はとりあえず顔を洗ったり、手洗いに使う生活魔法《流水》を刻んである。

名前は格好いいのだが・・・この魔法、ただ蛇口から水が1分間出るだけな感じだ・・・。

火を起こすのに使う《着火》でも良いのだが、威力によっては危ないかもしれない上、的が燃えたとしても銃弾の摩擦や弾丸の尻に刻んだ小爆発の魔法刻印かもしれず、効果がはっきりと分からないだろうからだ。



「カリン、ここにカカシみたいなのつくれるか?とりあえず・・・オークタイプを頼む」


見慣れた相手ならイメージしやすいだろうとオークのカカシをお願いすると、よゆう!と頷いて即座に作ってくれた。

やけに可愛らしい目をしている上、なぜかうっふんポーズ(片手を腰に、片手を頭の後ろへやって片足を少しあげるアレだ)だが・・・なぜオークでそうなったんだ・・・いやよそう。

殺気を込めて・・・間違えた。

愛を込めて撃ち抜こう。


うっふんオークに向けて剣銃を構える。

命中率が高いのは胴体だったか・・・そこを狙おう。


ゆっくりとグリップにあるトリガーを引いた。


キィィィ!!!


見たことないが、超電磁砲みたいな音と共に飛び出した弾丸はあっさりとオークの胴体を破壊し、念を入れて後ろに置いた土製の壁にめり込んだ。


「・・・」


「・・・」


無言で顔を見合わせた後、意を決して確認にいく。

上半身が吹き飛んだオークをみると、なんと少し濡れている・・・。

銃弾がめり込んだと思われる土壁をみると見事に水浸しだ。


「・・・なぁ」


「・・・うん」


「これ・・・補助しようと味方に向けたらさ・・・」


「・・・ん。死ぬ」



オレは崩れ落ちた。




 失意のまま工房に戻ると、親方達がガヤガヤと騒ぎながら階段を上がってくるところだった。

丁度いいや、一杯やりにいく前に見てもらおう。


「おやっさん、出来たぞー!」


「そうか!早速みせてくれぃ!!」


早速見せてくれというおやっさんにドラグヴァンティアを渡すと、全体をじっくりと眺めた後で見慣れないであろう銃部分の様子を盛んに見つめだした。

親方連中も興味を惹かれたのか囲むようにして見つめている。


「こいつが銃ってやつか・・・剣が付いてるのは?」


「うん。最初に試作した銃だけだとどうも具合がよくなくて・・・オレは気を纏わせられるからそれならいっそ趣味に走ろうと思って作ったらそうなった」


そう言うとおやっさんは何やら嬉しそうに頷いた。


「おう!そういうことはよくあるもんじゃ!試射は終わってるのか?」


試射・・・さっきの事を思い出してげんなりとしたが・・・親方達に見せたら何かアイデアをくれるかもしれないな。

それなら見てもらおうか。


「一応試射はしてみたんだが・・・まぁみてくれよ」


そう言って先ほど試射した場所でもう一度同じように土壁とうっふんオークをカリンに作ってもらった。


「それじゃいくぞ」


キィィィ!カッ!


「ユウ!!魔力を込めすぎじゃ!もっと少なめでいいじゃろ」


「あ!そういうことか!」


魔力を込め過ぎて威力を最大にしてしまっていた・・・?

気を取り直して・・・さっきよりも注ぐ魔力をかなり絞る。

こんなもんか・・・?


「いくぞ!」


シュッ!


今度は矢よりも遅い程度の速度で目標に飛んでいき、うっふんオークの額にコツンと当たる。

そこで狙い通りに刻んだ流水が発動、オークの顔面を水浸しにした。


「「「おおお!!」」」


どよめく親方達。どう見ても生活魔法らしきものが射出先で発動したのだ。

でも驚いてるのは彼らだけではない。

すげぇ・・・成功だ!


「よっしゃぁぁぁ!!」


「やったねぇ~!」


「ん。魔力量・・・盲点」


これなら、味方に向けても大丈夫だろう。

あとは・・・実戦テストあるのみ、だな!




 さて親方連中と連れ立って入ったのはいつもの居酒屋である。

もはや宿で夕食を摂るよりも居酒屋で飲む方が多い位の頻度で来ているせいか、席に座った途端に安心感を覚えるレベルだ。


煙草に火を点けながらいつもの!と叫ぶ前に、女将さんがビールと辛ソーセージセットを持ってきてくれた。

うむ、分かってるじゃないかちみぃ!・・・なんて言えないのでありがとう!と言っておきます。


乾杯した後はいつも通りゴクゴクスパスパ、モグモグ。

胃が弱かった地球時代を忘れそうになるくらいに健康なので、何もかもが美味い。

脂っこいとかチーズ系の重い食べ物食べるとすぐ胃が痛くなってたからなぁ・・・。


親方連中はとんでもなく稀有な竜解体って仕事を終えたせいか、いつもよりも盛り上がっている。

そりゃあんな化物クラスを定期的に狩れるような冒険者なんぞそうそう居ないだろうし。

あんまり狩りすぎると龍神様激怒しそうですし。


ビリビリ感じたもんなぁ・・・強者の佇まい、鉄火場なんて生ぬるいみたいな想像することすら出来ない圧倒的な気配というか。

力とか技量とか人間が一歩ずつ登っていく階段をぶっ飛んで突き抜けていらっしゃったよ!みたいな。

いやぁ・・・楽しいなぁ。


「なんで笑顔で殺気出してるの~?」


「ん。強いのいた」


「そっか~。強いのと会うとユウって笑顔になるんだねぇ~」


「ん。変態」


「ちょっとまてぇぇぇい!!」


酷い言われように思わずツッコんでしまいます。

いやいやそりゃ言いすぎだと思うんだ!


「普通は逃げるとか生きてて良かったとか思うんじゃないかな」


シャルさんが真顔になった・・だと。

少し考えて、ハッとした。


不幸が重なって仲間を失っているシャルさんは、イケイケな姿を見ると不安になってしまうのだろうか。

おいおい、だめだろう。

オレの嗜好はともかくとしても、仲間に心配かけるようではダメダメじゃんか。


「すまん!たまたまステータスカードみたら・・・」


慌てて説明していく。

龍神様の注目のこと、慌てて神殿に行ったこと、呼んでないのに龍神様が来たこと等々。

説明しながら、オレの人生随分笑えることになってんなぁ・・・とか思いつつ語りきったところ、シャルさんはようやく納得してくれました。


「そうだったんだねぇ~・・・うん、それはなんというかご愁傷様~?」


「ん。加護は魅力」


「そうだなぁ。貰った加護は結構いいと思う。問題はくそじじ・・・もとい職業神から強制的に転職させられた狂戦士だなぁ」


「効果はともかくすごい名前だよねぇ~!」


「プクク」


おい!そこのちっこいの!

笑ってるけどなぁ!こっちは大変なんだぞぅ!?


「笑って、ない、ヨ?」


オイ!?肩が震えてんぞ!

全然隠せてねぇ・・・!




本日も、チーム風花は元気です。



ようやく銃が完成しましたね!

書いている内になぜか剣銃になってしまいましたが・・・作者にも分からない。

言い訳するならば・・・世界には沢山の武器がありますが、ロマン武器もありだろう?

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