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ここまで読んでくれてありがとうございます。
ニヤっと笑える程度に楽しんでいただければ作者感激です。
放浪鍛冶師ヴォータン。
おやっさんの言うところによれば、彼は旅をしながら自らの腕を鍛えた。
それはドワーフには珍しい冒険者としての側面もあったらしい。
指先の怪我を嫌って戦いたがらないドワーフ族でありながら、魔物と戦い、鍛冶の腕を磨いた異端の鍛冶師。
彼の作品はどれもが強烈な個性と強力な攻撃力を発揮する。
中にはドワーフ達が憧れる意思ある武器なども作り上げたと言われている。
無口な職人気質のおやっさんが大興奮。口角泡を飛ばす勢いで語ってくれた。
意思ある武器・・・ねぇ。
「おやっさん、ならこれ見てくれ。来い!相棒」
どうやってるのかポーチから飛び出して出した手の中に入る黒の槍。
どうよ?とおやっさんを見ると、震えながら目を見開いていた。
「意思ある・・・武器・・・じゃと・・?まさかそれが」
「そう。元々はオークキングが持ってたんだけどな。なぜか分からないけどオレの相棒になってくれたらしい」
「おぉぉ・・・」
人が変わったようになるおやっさん。
見せ場だとでも思ったのか、心なしか黒ちゃんも胸を張っているようだ。
胸がどこかは分からんが。
「カリンのスキルで調べてもらったから間違いねぇと思うよ。ヴォータン作、銘は黒の槍。竜と狼の素材を使ってある、だったかな?」
「そうかそうか!少し触らせてもらってもいいか!?」
相棒を渡すと恐る恐るといった様子で黒の槍を手に取った。
細部をじっくりねっとり見つめているおやっさん。
「なるほど・・・この模様に重量変化、斧部は竜の・・・爪か!穂先は狼の牙、か?それにしては・・・いやまて。そうか森林狼の中でも特殊個体の物じゃな?そうか・・・使われている素材もとンでもねぇがこの技術、この発想・・・これがヴォータン、これが伝説の鍛冶師か!」
なにやら興奮した様子のおやっさんに相棒がドン引きしている意思が流れてきた。
あ~・・・まぁ気持ちは分かる。
しばらくブツブツと呟いていたおやっさんが顔を上げた。
「閃いたぞ!武器については儂に任せておけ!そこで相談がある。お前さん金貨10枚出せるか?これだけの大仕事だ。まして竜の素材となりゃ扱ったことがねぇ奴も多いし見せてやりてぇんじゃが」
確かに・・・首切るだけで一苦労だったもんな。
幸い討伐戦の報酬で懐は暖かいから問題ない。
頷くとおやっさんが腕まくりしながら
「よぉし!こうしちゃおれん。すぐに取り掛かるからの・・・そうじゃな。1週間くれぃ!」
「わかった!おやっさんに全部任せるよ。あ、それとこれも見てくれる?」
そう言って蜻蛉切|(オレ命名)と方天戟を見せた。
「ほう・・・こいつは・・・またすげぇ業物だ!使ってみたのか?」
「両方使ってみたよ。槍は少し軽いのが気になるかな。戟の方はバランスが少し気になる」
「ふぅむ・・・それなりの重量じゃが・・・お前さん腕力が高いのか?」
そういえばあれからステータス見てないな。
おやっさんにも見えるように念じながらステータスを表示した。
---ステータス---
個体名:ユウ・ミサキ
種族:ヒューマン?
年齢:18才4ヶ月
職業:見習スローター MAX new、銃器製造技師 1
レベル:50
生命力:6050/6050
魔力量:2000/2000 (竜の血補正+1500)
力 :SSS (竜殺し補正+2ランク)
体力:SS
器用:SSS
敏捷:SS
魔力:B (竜殺し補正+2ランク)
知力:C
精神:S+
運 :C
ースキルー
”アクティブスキル”
軽盾術MAX、重盾術MAX、鎚術MAX、剣術MAX、短剣術MAX、刀術MAX、斧術MAX、棒術MAX、槍術MAX、二槍術MAX、杖術6、拳闘術MAX、蹴撃術MAX、投げ技9、関節技8、投擲術MAX、弓術MAX、手当MAX、罠設置3、毒取扱1、罠解除1、気配察知MAX、威圧MAX、射撃術1、警護術MAX、挑発術MAX、範囲攻撃MAX new、竜殺しMAX new
生活魔法MAX、操気術MAX
”パッシブスキル”
防御MAX、足捌きMAX、ステップMAX、持久走8、軽業7、地図2、方向感覚4、サバイバル8、部隊指揮7、指導6、魔力操作3、気力操作MAX、隠密行動3、連携MAX、敵注目7、集中MAX、獲物の知識MAX、森林行動MAX、早撃ち5、乱戦5 new、一騎当千2 new
ストレス耐性7、毒耐性5、精神耐性7、耐寒2、耐暑2、閃光耐性MAX、ノックバック耐性4
”生産系スキル”
釣り6、料理3、鍛冶3、木工4、皮革2、機械操作1、罠作成2、銃器製造1
”ユニークスキル”
早熟MAX、変幻自在、アルマトゥーラ言語MAX、インフォメーション※体験版
”祝福”
ズィッヒェルの加護(特)、シュヴェアートの加護(愛)、ファレの加護(職)
”称号”
苦労人、胃痛の友(笑)、器用貧乏、神認定お人好し、異世界より来る者、2柱の中級神の強き加護を得し者、神の弟子、耐える者、森の狩人、戦闘狂い、職業マニア、新職始めました、職業神に注目されし者、鬼軍曹、虐殺者new、竜殺しnew、竜の血を浴びし者new、龍神の注目new
・・・・・・・・だれ?
「・・・化物じゃな」
「・・・そうね」
二人してあんぐりと口を開けたまま固まった。
なんだこのステータス。なんだこの補正。
SSSってあんた。
どんな腕力だよ・・・。
「なんかお前さん、注目されとるぞ」
「え?」
よく見ると称号欄に色々追加されていた。
竜殺しや竜の血を浴びた者はまぁ分かる。
問題は最後だ。
”龍神の注目”
「・・・やばくね?」
「・・・お前さん目をつけられとるの」
眷属の竜を殺したから怒っていらっしゃるのだろうか。
というか龍神っているんだね、ハハ。
「アァァァァァ!?どうしよォォ!?オレ死ぬの!?やべぇの!?」
混乱するオレにおやっさんは肩を叩いて、ゆっくりと頷いた。
「・・・強く生きろ」
ドロス工房内に哀しい悲鳴が響き渡った。
ダッシュで神殿に向かう。
必死の形相で走るオレに驚く人々を避けて、走る走る。
「ヌォォォ!死んでたまるかぁ!」
途中で誰かに呼び止められたような気もするが、気にしてはいられない。
走れ走れぇ!神様たすけてぇぇぇ!
神殿に飛び込むと、驚く神官さんから鍵を借りて礼拝堂へ。
部屋に入ると、深呼吸。
はぁ・・・すぅ・・・はぁ・・・すぅ・・・。
流石に神前で慌てた姿を見せるのは嫌だからな。
「誰かいらっしゃいませ!龍神様以外で!!」
ビカッ!!
「呼んだ?」
現れたのは肩に小さな竜を乗せた壮年の男。
銀糸の髪を後ろでまとめ、まるで拳法家のような道着に筋肉質な、あまりにも筋肉質な身を包んだ偉丈夫。
こめかみの辺りから伸びた角は天を貫かんばかりにそそり立つ。
目を見ると金色の瞳に縦長の瞳孔・・・爬虫類系の・・・恐らくは本物の竜眼。
どうみても・・・龍神さんです。
オレは白目をむいた。オレオワタ。
「・・・すいません間違えましたしつれいしまう」
最後噛みつつも早口に謝ってそのまま部屋を出ようとするが、扉が開かなくなっている・・・!?
「ええ!?開かない!」
「あいや!!待たれよッ!!来てすぐに帰るとはこれ如何にッ!こちらへ来てゆるりと語ろうではないか!」
貴方笑いかけてるつもりなのかもしれませんがね?
威圧感が半端ないんです。あと声がでかいです。
「はぁ・・・龍神様ですか?」
そう問いかければ、目の前の偉丈夫は嬉しそうに頷いた。
頑張って笑うんだオレ!あの頃を思い出せ!どれだけ腹が立っても謝り続けたあの頃を!!
「いかにもッ!!某は竜と龍を司る神であるッ!我が名を問うかッ!」
すいません。名前は聞いてません。
「我が名はッ・・・」
そこでタメる龍神様。
タメてタメて・・・・
「八岐大蛇也!!!」
「やま・・・嘘をつけぇぇぇ!!」
思わずツッコんでしまった。
くそ・・・なんてこった。
すげぇまともそうに見えるけどこの人・・・
この人・・・変な人だぁぁぁ!
「ムゥ・・・せっかく気に入ったから付けてみたと言うのに・・・」
「いやいやいや。おかしいでしょう?貴方の名前はなんですか?はい、偽名です。ねぇ?おかしいですよね?おかしいんだよ?」
畳み掛けると龍神様は仰け反った。
「ヌォォ!?其方随分とグイグイ来るなッ!!」
「それで名前は!?ふーあーゆー?」
「我が名は・・・じゃぁドラグヴァンディルで」
じゃぁってなんだよ!!
「はい偽名です。残念でしたそれ剣の名前です」
「グヌゥ・・・格好いい名前だったのだが・・・ドラグ辺りがッ!・・・ならばッ!」
「いやいやいや!おかしいから!!なんだよじゃあ・・・とか、ならば・・・とか!名乗りたくないなら別にいいですよ!龍神様って呼ぶから!」
そう言うと慌てる龍神様。心なしか肩の子竜も涙目だ。
立派な壮年が涙目で首を横に振るとすごく・・・キモイです。
「分かったッ!はぁ・・・我が名はスセリじゃ」
うなだれる壮年と子竜。
なんかテンション下がってるし・・・しかし、スセリ・・・ドイツ語っぽい神様達の名前に似てない気がするな・・・。
「スセリ様・・・ねぇ」
「龍神というても竜の守護神というだけじゃ。厳密には妾は神に名を連ねる者ではないのじゃが・・・賢く強く、長命な妾達を司る者がいないのはまずいと創造神様が仰ってな。最も力ある妾が神となったというわけじゃ。じゃから厳密には亜神なのであろうが・・・まぁそこはよかろ」
なんか急に喋り方が変わったな。
というかおっさんが妾とか言うと気持ちわる・・・ん?
よく見るとおっさんは笑顔のまま喋っていない。
喋っているのは・・・横の子竜か?
そちらを見ると、子竜はつぶらな瞳でこちらを見て・・・コクリと頷いた。
どうやら・・・こちらが本体であるらしかった。
なんとなく手ぶらなのも何だと思ったので、カップに注いだ茶を出した。
コーヒーが飲みたいが、マスターの所以外ではまだ見たことがない。
二人分淹れていると、なぜかスセリ様が畳とちゃぶ台を出してくれたのでそこに座る。
あぁ・・・湯呑にすれば良かったか?
「それで・・・スセリ様はどうしてここに?」
呼んでないのに・・・呼んだ?って来たし。
「うむ。今回はのぅ、妾の眷属が迷惑をかけたのじゃ。昔は可愛かったんじゃがのぅ・・・竜人族もまた妾が守護する者共。人の身でありながら妾の尻拭いをしてくれた其方をそのまま帰すのもどうかと思ったのじゃ。そこで妾が頭を下げに来たとこういうわけじゃよ」
そう言って子竜は頭を下げた。
ちなみに茶はおっさんが飲んでいる。
あ、あちち!とか言ってる。竜なのに猫舌らしい。
龍神様の話を聞き腕を組んで考える。
ふむ・・・おそらくティアマトの話であるのだろうが、死亡者が出たとはいえ討伐してしまっている。
竜人族がティアマトの頭をしっかりと彼らなりの方法で葬ってくれると約束しているし、オレとしちゃ当事者でもないので謝られるようなことではないと思うのだけど。
レベルも上がったし、あまりの強敵ぶりに職業もMAXだ。
複合職はレベルが上がりにくいって聞いてたけど、あっさりとだ。
それに共に戦った竜人族達とは戦友として信頼し合える関係になれた。
そう考えると謝られるようなこともない、な。
そう伝えると、スセリはふむ、と頷いた。
「そうか、我が子等と共闘したのであったな。ふむ、とはいえじゃ。巻き込まれたのもまた事実であろ?ぬ・・・それでも謝罪はいらぬと申すか。ふむぅ・・・ならばよし、妾が加護をくれてやるわ」
いやいらないです。
これ以上人外になったら指先一つで敵がボンしちゃいそうです。
必死に伝えると、スセリは驚いた顔をしたが、なにやら頷いた。
「そうか。黒竜の血を浴びておったか・・・それならば人外じゃというのも分かるのじゃ」
スセリの話によるとどうやら竜殺しという称号は強すぎてバランスブレイカーな存在であるドラゴンを討伐する程の強者に何もないのは不当だと武神達が騒いだ為につけられることになったそうだ。
武神達がなぜそのような事を言うのだろうと疑問を口にすると、スセリはあっさりと教えてくれた。
「武神はの、武を司る神じゃ。武を奨励し、高見へと至る道を開く・・・というのは建前での。戦いたいのじゃ。自分達神と対等に戦える戦士とな。だがこの世界で生きる者は全て格下じゃ。地上最強のドラゴンですら相手にならぬ。とすれば、なんとかして竜を超える強さを生み出したいと思った。そこで・・・」
「竜の血、か。なんというか・・・骨の髄まで戦いが詰まってるんだな」
ミーネはそこまででも・・・あるか。
鍛えるとなると性格変わるもんな。
頭が混乱してきたな。
とりあえず一服しながら考えるとしようか。




