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すみませぬ。いつもどおりの投稿になってしまいました。


 始めに偵察した木の上にもう一度登った。

さて、魔道具を起動する位置と、俺達の待機位置、出来るだけ効率よくオーク達を引き寄せたいからある程度固まってくれていればやりやすいんだが。


「お?あそこいいんじゃないか?」


「どこどこ~?」


「ほら、キングがいた小屋・・・だった場所。そこの奥の方に一本大きな木があるだろう?あそこはどうだ?」


「そう・・だねぇ~。あそこなら・・・うん、集落全域に撒けると思うよ~?風は・・・うん、いいかんじ。カリンが補助してくれるともっといいかも~」


「ん。風起こす」


「それでいこう。俺達まで引っかかったら意味ないわけだけど、そこんとこはどうなのかな?」


「ん~、風上にいてくれれば大丈夫だよ。魔道具が毒を散布し終わったら止めるから~それからなら安心だよ~」


なるほど、シャルさんが持っている魔道具は毒を風に乗せてばら撒く道具なのか。

恐ろしい道具だが、どんな道具も使い方次第。

シャルさんならば間違った使い方はしないだろうし、問題ないと思う。


「それじゃあそこで早速やりますか」


「あいあいさ~」


「ん」



見つからないようにこっそりとポイントまで移動した後は、早速カリンが魔法で風を起こした。

シャルさんは魔道具をしばらく操作していたが、準備が出来たのかこちらに頷いてみせた。


「よし・・・それじゃやってくれ」


「それじゃ・・・魔道具起動~!」



ブン、という起動音と共に筒型の魔道具がパッカリと開いた。

おお・・・メカメカしくて面白いなこれ。


少しして、白い粉のようなモノが大量に飛び出した。

そのままカリンが起こした風に乗って集落へとばらまかれていく。


様子を見ていると、オーク達は異変を感じたのか辺りを見回していたが、毒が効いてきたのかバッタリと倒れ伏していった。

大量のオークがバタバタと倒れていく姿は、なんとも奇妙な光景だ。


「物凄い効き目だな・・・これは作戦変更した方が良いかもしれない」


「どうするの~?」


「俺達にとっては都合がいい事に、何箇所か固まってるだろう?ひぃふぅみぃ・・・10箇所か。見たところだいたい100匹で固まっているみたいだし、範囲魔法10発で終わる気がするんだけどどうだ?」


じっとオーク達を見ていたカリンに聞くが、カリンは顎に手を当てて何やら考えた後に首を横に振った。


「ん。魔力が足りない。あの規模なら最大で5発、6発放つと余力無い」


半分か・・・とはいえそれだけで500匹も削れる計算だ。

勿論ここに居ないオーク達もいるのだろうが、相当数削れることになる。


「それならそうだな・・・5発撃ったら撤退しようか。近い側から順番に奥の方に5発。その間に撤退進路上で寝てる奴らをオレとシャルさんで削って退却って感じで。効果時間過ぎて起きだしたら入り口付近の奴らを引っ張ろう」


「分かったよ~」


「ん」


作戦が決まったところで、状況開始。

カリンが手前から嵐魔法でオーク達をみじん切りにしていくのを尻目に、二人で弓を撃ちまくる。

一矢で仕留める為に近づきながら、構えては撃ち、構えては撃った。


集中の効果か、弓矢の命中率が高く、近距離から放ったのもあって、確実に眉間を貫いていく。

オーク達は何が起きたか分からない内に死んでいった。

面と向かって戦ってるわけじゃないので、少し申し訳なさを覚えるが・・・容赦はしない。


「ん。終わった」


「こっちも矢を撃ち尽くしたよ~、残りはナイフ~」


「分かった!それじゃ撤退開始しよう。入り口付近の奴らを出来るだけ潰しながら行くぞ!」


「あいあいさ~」


「ん。殴る」


カリンも殴る気満々のようだ。

3人で罠を仕掛けた方へと撤退しつつ届く範囲の敵を切り払った。




 30分程かけて罠を設置した所まで無事撤退。

途中で出かけていたオーク達とかち合ったので、倒していたら結構かかってしまった。

気配察知に引っかからないのを確認してから、煙草を取り出して一本咥える。

火を点けながら二人を見ると、疲れて座り込んではいるが満足そうな表情だった。


「上手くいったねぇ~!すごいよ~ボク達で600位倒したんじゃないかな~?」


「ん。完璧」


喜ぶ二人に笑みが溢れる。

咄嗟に変えた作戦が上手くいって良かった・・・オレは軍師でも無ければ頭が特別いいわけでも無いからもっといい方法があったんだろうけど・・・まぁ、上手くいったからよしとしよう。


「二人共いい動きだったな!カリンの魔法の威力とシャルさんの魔道具、二人が居なかったら街に逃げ帰ってるとこだよ」


「ユウこそいい作戦だったよ~!バッチリ嵌ったよねぇ」


「ん。罠いらなかった」


そうだ・・・頑張って穴掘ってもらったんだよなぁ。

せっかく掘ったのに使わないのは勿体無いか。


「少し休んだら、オーク達が起きるのを見計らっていくらか引っ張ってくるよ。そのまま落ちていただこう」


「そだねぇ~もう少ししたら魔道具の効果が切れて起きだすと思うよ~」


「ん」


せっかく作った罠を利用することに決めて、木にもたれたままゆっくりと紫煙を吐き出した。



5分程休んだ後、再度集落へ戻った。

二人は罠地点で待ち伏せしてもらっている。

かなり体力を消耗しているだろうしな。

オレは体力がSになってしまった為かあまり疲れていなかった。

シャルさんにはオレの残った矢を全て渡してきたし、カリンは魔力の回復に努めている。


そっと茂みから確認すると、オーク達は起きたら仲間が大量に殺されているのを見て怒っているようだ。

武器を振り回してグオォォフゴォォと唸り声が合唱のように集落に響いている。

よし、連中は大分頭に血が上っているらしいぞ。


「オーク共!お前等の仲間を殺したのはオレだぁぁ!」


叫びながら手近な場所にいたオーク達に向かって走った。

集落全体がザワザワと騒がしい為、全域に響くようなことはないだろう。

とはいえ手前のオーク達には勿論聞こえていた。

近くに固まっていた集団、怒りに目を真っ赤に染めたオーク達が一斉にこちらを振り返った。

おお・・・迫力あるな!


「ウラウラウラウラウラァ!」


気合一発、右手を開けて格闘戦、左手に小太刀を持ってオーク達に突っ込む。

斜めに横断するように走りぬけながら手当たり次第に斬りまくった。

当然オーク達も黙ってやられるわけもなく恐ろしい形相で応戦してくるが、他のオークを掴んで盾にしたり、投げたりして攻撃させないようにした。

オーク達のでかい体はまともに当たれば脅威だが、こういう早さを活かした戦い方になると、途端に動きの鈍さが露呈してしまう。

筋肉は凄いが柔軟性がなく遅い。

力はあるが、技が無い。

だからこそ一方的に攻めていられる。

そのまま20匹程のオーク部隊を突っ切った後は別の箇所から再度横断。

空から俯瞰すれば☓字に見える動きで、敵陣を切り裂くように突っ込んでいく。


本当はここまでする必要はないんだけど、100匹位は引っ張りたいので、周りにいるオーク達を呼び寄せる時間を稼がせてもらう。


2~3分程かかってようやく100匹程のオークが集まってきた。

チラッと確認すると、どうやら集落全体が騒がしい事と、統率する個体が居ない事で騒ぐだけに終始しているようだ・・・こちらとしてはありがたいね!

相手にしているオーク達はいい感じで頭が茹だっているし、そろそろ移動するとしよう。


「というわけでばいば~い!」


そのまま背中を向けて逃げ出した。

オーク達はといえば、またね~と言って手を振るはずもなくバカにされたと仕草で感じたのか更に怒り狂って追いかけてきた。

チラッと振り返ると100匹近い数のオークが武器を振り回して追いかけてくる。

おおぅ・・・見なきゃ良かった。

すげぇ怖い!・・・あ、ちょっとチビッたかも。

途中から演技じゃなく本気で逃げて二人が待つ場所まで誘導していった。


途中で張り巡らせた糸を軽く飛び越え、そのまま思いっきり前方へジャンプした。

走り幅跳び世界新記録狙ってやるぜえええええあああああ。



しばらく空中を泳いだ後、ベシャッと地面に転がりそのままの勢いで立ち上がって振り返った。

奴らどうなった!?


丁度追いかけてきたオーク達の先頭がカモフラージュされた地面を踏み抜いて落下していくところだった。


・・・え?という表情になったオーク達が次の瞬間、落下していく。

何匹かは落ちる速度を落としたかったのか、必死なあまりにとにかく重力に抵抗したかったのか、まるで空中を泳ぐように両手でかいたが・・・勿論普通に落ちた。

穴に落ちないよう踏ん張ろうにも怒り狂う後続の勢いに押されて・・・そのままレミングの集団自殺の如く罠に向かってダイブしていくオーク達を眺めた。

なんというか・・・ここまでしておいてなんだが、物凄く申し訳ない気持ちで一杯だ・・・。


「うわぁ・・・なんかごめん」


オーク達が全て落ちきったので、穴を除くとうごめくオーク達に合唱した。


「なんというか・・・人間って怖いんだな~って思ったよ~」


「・・・ん」


二人共あまりの威力を発揮した罠にドン引きしているようだ。

だが、まだ終わっていない。


「二人共。トドメトドメ」


持ち替えた槍で突き、杖で突き、弓を打ち込まれて程なくしてオーク達は全滅した。

魔力が回復したカリンに後始末として穴を埋めてもらった後は、しばらく三人で黙った。


「うん・・・作戦成功ではあるな。とりあえず・・・なんか疲れたし今日はここまでにしような」


「そだねぇ~・・・ボク今日だけで今まで狩ってきた魔物数を超えたよ~」


「ん・・・大量虐殺」


虐殺じゃない!と言いたいが・・・否定出来ないな。


そのまま、そこでモソモソと食事を取った後に偵察ポイント件就寝場所を作りに集落まで戻った。

三人で良さそうな木に登り、下から見えないようにカモフラージュした後は順番を決めて休む。

森の中は夜が早い。

夕方前には寝床の準備が終わって後はゆっくりと偵察業務と洒落こんだ。


始めに夜番兼偵察をこなしたカリンと交代した後、武器の手入れをしながらオーク達の集落を眺めた。

うぅむ・・・煙草が吸いたいがここで吸ったらバレてしまう。


溜息を一つ付いて、空を見上げた。

知らない配置の星達が綺麗に瞬いている。


明日もいい天気になりそうだ。

まぁ・・・血の雨は降るかもしれないけど。

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