Second!!
私は、本気で戦争なんて起きる訳がないと思っていた。
俺は、本気で戦争が起きたらいいなと思っていた。
これは、醜い二人の物語。
「戦争って、この国じゃ起こらないと思ってた」
「そりゃまぁ、世界で一二を争う平和な国だったからな。起こらないと思うのも無理はないだろうさ」
「あ、でもいつだってどこかの誰かさんが戦争の中にいるのが地球でしょ?」
「ん、まぁそうだな」
「前回までは他の場所の見知らぬ誰かさん、でも今回はこの場の見知った私と貴方。偶々、偶然、決定論なら運命とでも言うのかしらね」
「あ、また銃声」
「結構遠いみたい。これは……5.56mmの銃声ね」
「始まったばかりの頃はこれだけでテンション上がったんだけどなぁ。もう慣れた」
「そう? 私は未だにテンション上がるわよ?」
「また行くのか? もういいじゃん、十分だろ。あと、スカートで飛び跳ねるな、ここからだと見えそうなんだよ。健全な男子中学生には眩しすぎる」
「いやよ、せっかくの戦争なんだから今しかできない事しないと。それと、私的には見えても問題ないないわ、貴方にはどうせ襲えないだろうしね」
「まぁ、どっちも確かにそうだがよ……前者は限度ってものがあるだろ」
「先人の言葉にこんなのがあるわ。殺人鬼も戦場じゃ英雄、ってね」
「お前が殺人鬼ってか?」
「うん!」
「そんな満面の笑みを向けられてもな、あぁちくしょうかわいいなオイ……止めはしないけど、ちゃんと帰って来いよ」
「もちろん。私の家は貴方の居る家だから。貴方こそ、私のいない間に冷たくならないでよね」
「屈むな、見えちまうだろうが……それは約束しかねる。戦争が起きて欲しいと願ってはいたが、実際に起こった今、俺自身はお前程適応出来ていない。だから、今ここに兵士が来たら俺は成す術がない」
「一つ間違えてるわよ、貴方」
「なにを? 」
「私は別に適応した訳じゃないの、元から持ち合わせていたモノを使っているだけ。このナイフ一振りの扱いからそこのライフルの撃ち方までね」
「お前とは十年来の付き合いだが、気がつかなかった。ナイフでジャグリングくするなよ、危ないだろ、避けられないんだから」
「ふふっ、女の子にはヒミツが多いのよ」
「銃声が近づいて来たな。それに、人数も多いみたいだぞ」
「私的には全然オッケー。むしろ興奮して来たわ、濡れそう」
「さいですか」
「じゃ、そろそろ行くわ」
「行ってらっしゃい」
「もう、手くらい降ってよ」
「無茶言うな」
「そうでしょうね、ふふふ」
「早く行け」
「うん、後でね」