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バトルシップスについて

 結成は西暦1983年。親会社は瀬戸内海に本拠地を置く造船会社から成長し、今では兵器からレジャー施設まで手がける巨大企業となった幸波グループ。グループとはいわば新興の財閥である。グループの創始者であり、チームの初代オーナーである村上好寿氏はすでにオーナーを退いて隠居生活を送っているが、現在85歳で未だに健在である。


 グループのルーツである幸波造船の創立は1949年。すでに日米戦争は回避され、アジアの共産化を食い止めるべく日米の関係改善が図られていた時期である。日中戦争が明確な決着がつかないまま終戦となったのは1945年。しかし40年代の終わりや50年代は内戦を制した中国共産党が満洲に幾度となく侵攻して来た時代でもある。そのたびに満洲軍や日本軍が迎え撃った。この一連の戦いが造船業にとっては特需となり、幸波造船もその波に乗って急成長を遂げた。


 60年代に入ると中国と満洲との間の衝突が少なくなった。平和になった満洲では高度経済成長が始まった。それまでの間に瀬戸内海のみならず大連を中心とする満洲にもコネクションを得た幸波造船は軍事中心の事業展開を改め、貿易に用いる商船も盛んに建造するようになった。また、この頃から経営の多角化にも着手し、これに成功させる。この時点で幸波グループは野球チームを持ってはいなかったが、村上はこの頃からプロスポーツに興味を示していたようだ。


 球界に激震が走ったのは1972年の事である。その数年前から台北、台南にプロ野球チームを発足させようという動きが本格化していた。しかし台湾はいわゆる外地に存在する。参加させるのは時期尚早であるという意見とすでに期は熟したという意見を持つ球団とで対立し、アメリカに倣っての発展的解消と称して2リーグに分裂した。


 この際、球団が急激に増えると競技レベルの低下やモラルの混乱が懸念されるとして「今後10年間は新規球団を加入させない」という取り決めがなされたというが、その10年が過ぎる前から朝鮮半島や満洲にも球団を設立させようという動きは盛んになっていた。


 1975年、村上は中央リーグの代表である三ツ木謙蔵から「新球団設立についての相談」を受けたという。村上は大連を本拠地に置く社会人球団のいくつかを吸収してその時に備えた。そして1982年の暮れ、平壌・光州・大連・新京を本拠地とする4球団が中央リーグに加入すると発表された。


 1983年1月9日に大連バトルシップスの結団式が行われ、その年からペナントレースに参加した。これ以降は大陸における新球団が次々と誕生して今や全28球団という大所帯となったのだが、その先鞭をつけたのが大連であったと言えるだろう。


 準備期間の長さが功を奏して初期は何度もカンファレンス優勝を果たしたが、大陸と日本列島のレベル差が大きかったため大日本シリーズを制する事はなかった。チームが増加していくにつれ、カンファレンス内においても中堅クラスまで落ち着いていった。前回の優勝は1999年であった。


 ここ数年は選手育成に力を入れており、現監督である劉瑞生は就任2年目にして通算6回目の優勝、そして東洋最強のチームにまで登りつめた。本拠地は大連スタジアム。開場は2006年、両翼101m中堅123mで内外野総天然芝のボールパーク風球場である。


 ユニフォームはチームカラーである紫、水色、金色が用いられている。ホーム用はアンダーシャツ、ストッキングが紫。襟元、肩、袖口に水色のラインがかかっている。胸には金色に縁取られた紫の字でチームの名称であるBATTLESHIPSの文字が書かれている。SHIPSの両端となるSの字が他より大きく書かれ、HIPは2つのSの間に少し小さく書かれている。HIPの上、両端のSの間にHIPより小さい文字でBATTLEと書かれている。文字の下部分には水色の細いラインが3本添えられている。帽子は地の色が紫で、水色で大連の頭文字を意味するDと書かれている。背番号はロゴと同じ色合いで、胸のロゴの左下にも書かれている。


 ビジター用は上半身全体が水色で、左胸の部分に大連バトルシップスのイニシャルであるDBSをひとつにまとめたような記号が紫で書かれている。帽子は水色がベースでひさしが紫となっている。ホームとは逆に紫でDと書かれている。


 そしてサードユニフォームも存在する。これは1リーグ時代をイメージさせる白を基調としたシンプルなデザインで、帽子も白ベースに紫のひさしという色合い。胸の文字は紫の単色でDALIANと書かれている。袖口や首回りから前立てに紫のラインが入っている。また、サードユニフォームには背中に選手名が書かれていない。なおアンダーシャツは紫、水色、金色(実質黄色)、白から自由に選ぶ。


 球団旗は白地に上下に紫のライン、中央に野球ボールをかたどったエンブレムが描かれている。ボールにはビジターユニフォームのものと同じDBSをまとめたマークが描かれている。ボールには水色の外周があり、そこには金色の文字で「DALIAN BATTLESHIPS since1983」と書かれている。


 マスコットはスナメリをモチーフにしたバルシスくん。背番号は864番。また、ファンの少年少女から毎年「クルーボーイ」「クルーガール」が選出され、応援に駆けつけてくれる。チアやホームランガールといったものではなく純然たるマスコットキャラクターである。

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