大連キャンプ情報その3
2月20日 売れるか 大連ナイン歌手デビュー
あくまでも本業は野球です。プロ野球大連の選手たちが歌を吹き込んだアルバムの発売を記念したイベントが20日に沖縄で開催された。
イベントには赤坂、柳中平、星渡、林の4選手が登場。林は昨年の東洋一を記念した実録CDを発売する予定だったがなぜか自分たちが歌う事になったというエピソードを明かし「僕たちの本業はあくまでも野球ですけど、こういう面もあるということでファンの皆様に楽しんでいただければ幸いです」とあいさつした。
また、この場で歌ってほしいとリクエストを受けた星渡は「それはそろそろ発売されるので実際にCDを手にとって聞いていただければ」とはぐらかしたが、柳に催促されてサビの一節を歌うと会場からは黄色い声援が飛び交った。
売り上げに関しては「オリコンに入ったらびっくりしますよ(赤坂)」とやや懐疑的な意見も。打席に立つときに流してほしいという声に柳は「僕の曲は渋い感じなのでスタジアムとは違う感じもしますが、素敵な曲です」とアピールした。
野球選手の歌手デビューは1970年代や80年代には盛んに行われてきたが、近年はほとんど見られなくなっていた。そのような魔界に足を踏み入れた大連ナイン。アルバムのタイトルは「輝きをともに~歌うDBSクルーズ~」で、22日に発売される。
2月21日 大連森田社長 外国人枠緩和に「条件つき賛成」
大連の森田正毅社長(64)が21日、沖縄にある選手宿舎で現在議論されている外国人枠の緩和に積極的な態度を見せた。
「外国人枠と言っても単に国籍だけで分けるのはちょっと違うと思っている。すでに育っている選手を獲得して即戦力として使うのと、実績のない若い外国人を育てて使うのは全然意味合いが変わってくるでしょう」
別の球団幹部などからの話を総合すると森田社長は「入団までにプロとしての経験があれば外国人枠を適応、なければ枠は適応されない」といった考えであるようだ。大連で言うとフローデセン、アーウィン、ベロスは外国人枠が適応されるがパウロやアマラウは適応外となる。
「(外国人枠を)まったくなしにしろとは思わないが、アジア野球をさらにレベルアップするにはどういった方法が一番いいかを考えないとね。重要なのは自分たちで育成するのは大事だという事」
チームの根幹は育成力にありと確信しているからこそ言える提案だ。特に大連は外国人育成に関しては成果を挙げており、もし森田社長の提案が採用されるとブラジルルートの更なる拡大も期待できる。現在、元山や安東は外国人枠拡大賛成派だが吉林や台北は反対の意志を表明しており、3月上旬に行われる球団会議で議論を深めていく考えだ。
2月22日 今年も衰えなし 主砲林に一発
昨年のMVPに待望の一発が飛び出した。大連の林葉輔外野手(39)が台北との練習試合で4番ライトとして先発出場。1回ワンナウト一二塁の場面で打席に立った林は、台北の先発投手である3年目の左腕陳仁訓が内角低めに投じたストレートを振りぬき、ライトスタンドに突き刺さる先制の3ランホームランを放った。
「今年はこの時期にしてはよく振れていたからね。打ったストレートはややコースが甘かったしライト方向に鋭いライナーを打とうと意識していたがよく飛んでくれた」
昨年は首位打者と打点王を獲得してMVPに輝くなどこの年齢にして最盛期を迎えている林。40歳になる今年も期待は膨らむが「この年齢だし1年1年が勝負」とあくまで冷静。しかしここまで見る限り衰えとはまったく無縁で、今季も大活躍は間違いない。
大連打線はその後も台北の若手投手陣を打ち込んで大量11点を挙げた。劉監督は「2月とは思えないね。出来すぎ」と苦笑いしていたが、主砲の一撃が大量得点の引き金となったのは間違いない。
2月23日 樋渡良好 セカンドチャンスに全てを賭ける
今季から大連に加入した樋渡和泉投手(22)が首脳陣の注目を集めている。今日行われた紅白戦では最速147キロを計測したストレートを武器に1回を三者連続三振と完璧な投球に天沼投手コーチは「今日は樋渡が一番良かった」と絶賛。一度地獄を見た男の逆襲が今始まる。
吉林商業からドラフト3位で名古屋に入団するも怪我や人間関係のもつれで伸び悩み、3年目のオフに一軍登板のないまま戦力外通告を受けた。退団後は故郷の吉林に戻り実家の手伝いをしていたが、野球の情熱が失せることなくトレーニングを続けてトライアウトを受験。そこでストレートの伸びを見込んだ鹿取GMの推薦で入団が決定した。
名古屋時代は怪我などで本格的なトレーニングをこなす前に退団したが素質は抜群。春季キャンプは二軍スタートだったが、王良福二軍監督が「大投手になる素質十分」と推薦して昨日から一軍キャンプに参加していた。
樋渡は今日の好投について「結果を残せたのでよかった。もう失うものは何もないという気持ちで投げている。大連で自分の足跡を残したい」と語った。一度挫折したとはいえまだ22歳、道は大きく開かれている。
2月24日 大連初代正捕手 木村重安さん死去
元プロ野球選手の木村重安氏が23日、肝臓ガンのため松原市にある病院で死去した。55歳。
松原工から金野物産を経て78年にドラフト外で仙台入団。身長182cm体重89kgの大型捕手として知られた。83年には大連の創設メンバーに加わり、チームの初代正捕手としてその年の大陸カンファレンス優勝に貢献した。87年には台南に移籍するがその年限りで現役引退。通算成績は361試合に出場で165安打6本塁打。
元チームメイトの潘一鶴打撃コーチは「おおらかな大将肌の性格で、現役時代はよく一緒に遊んでいた。地元に戻って店をやっていると聞いていたが。まだ若いのに、まさかそんな……」と言葉を詰まらせた。
2月25日 オープン戦開幕 金重男の一発などで勝利
大連にとって今季初となる釜山とのオープン戦が25日に行われた。
先発投手となった2年目の汐風有希は3回を被安打3の無失点に抑えた。本人は「緊張もあったし自分のいいところを出し切れなかった。毎回ランナーを出してしまったのは反省しないといけない」と投球内容に不満顔も勝負どころでの安定感が光った。
打線は初回、一死後に大上が四球を選び出塁するとすかさず盗塁を決めて抜け目ない攻めを見せると、3番に入った棚橋が相手先発の張朗固のカーブにタイミングを合わせて先制のタイムリーヒットを放った。5回には金重男のソロホームランが飛び出して追加点を奪った。
このリードを松浦、石風呂、早島、譚秋雲の投手リレーで守りきり2対0で勝利。劉監督は「最初に勝てたのは幸先がいいね」と笑みを浮かべた。連覇を目指す大連にとっては上々の出だしとなった。
2月26日 天には勝てず 雨天中止
大連26日、仙台と対戦する予定だったオープン戦が雨天中止になったことを受けて室内練習場での調整に切り替えた。
先発予定だった池田はブルペンで106球の投げ込みを敢行。「今のところ順調に調整が出来ていたし、本当は実戦で投げたかったけどしょうがないですね」とままならぬ空模様を惜しんだ。
2月27日 開幕OK 張尊急ピッチで調整
昨年11月に内視鏡手術を行った大連の張尊投手(37)が開幕に間に合う見込みである事が27日、判明した。すでに二軍キャンプで投球練習を再開しており、復帰すれば連覇を目指す大連にとって大きな戦力となる。
昨年は10勝を挙げて東洋一に貢献したが右ひじの痛みを訴えており、オフに手術を受けた。当初は開幕絶望とされていたが驚異的な回復力を見せ、ブルペンで投球練習を行うまでに復活した。「開幕には間に合うと報告が来ている。想像以上に早い」と天沼投手コーチ。張の巧みな投球術は大連にとって必要不可欠。それだけに復活が待ち遠しい。
2月28日 エース対4番 紅白戦で激突
大連が28日に行った紅白戦でエース吉野大吾(30)が先発し、2回を無失点に抑えた。
2回には不動の4番林葉輔外野手(39)と対決してレフト前ヒットを浴びる。「カーブの制球が甘かった」と反省の弁を口にしたが5番パウロはライトフライ、6番李健太郎は三振、7番ドラグノフはセカンドゴロに打ち取った。劉監督は吉野に関して「現段階で去年より状態がいい」と太鼓判を押した。
昨年は17勝を挙げて防御率1.90と投手陣の大黒柱として東洋一に大きく貢献した。「東洋一の順位もエースの座も守るには去年と同じではいけない」という危機感ゆえにグラブの位置をそれまでより上げるなど試行錯誤を行った。
追われる立場となった今季は昨年以上の内容が求められるが「プレッシャーがないといえば嘘ですが、プレッシャーを感じながら投げられるのは歓迎すべきこと」と、その態度からは結果を残した自信であふれている。赤坂、松浦、池田ら若手中心の先発ローテーションにおいて中心となるべき30歳は実力だけでなく精神的にも充実期を迎えている。
2月29日 閏年のキャンプ打ち上げ
主将に任命された清水捕手が音頭を取っての三本締めが青空にこだました。大連は沖縄春季キャンプを29日に打ち上げた。
劉監督は「まずまずいい形でスタートを切ることが出来た。新戦力に関しても間違いなくプラスになってくれる。後は細かいところをオープン戦で詰めていきたいね」と総括。連覇に向けて視界良好かという質問に対しては「そうですね。単純に戦力を足し算すると去年より確実に上ですから」と、チームの成長に手ごたえを感じていた。
新外国人投手のアーウィンは28日の紅白戦で最速149キロを計測するなど、ストレートの威力は本物。トレードで加入の呉清元外野手も打撃で勝負強さを見せており、棚橋、林、パウロのクリーンナップもうかうかしていられない。
打順に関しては「まだまだ試行錯誤しないといけない。いい選手が多いからその分バリエーションも多くなる」と嬉しい悲鳴を上げている。投手陣もまだまだ競争途中の部分が多く、一軍メンバーを決めるだけでも一苦労だ。投打にパワーアップした大連、今季はどのような戦いを見せてくれるのだろうか。