大連キャンプ情報
1月31日 連覇に向けて 大連沖縄入り
決意の沖縄上陸だ。劉瑞生監督(49)以下大連の選手・コーチ陣が31日、キャンプ地となる沖縄入りした。「東洋一おめでとうございます」の垂れ幕がかかった空港で行われた歓迎セレモニーのあいさつで劉監督は「連覇という目標を立てられるのは28球団でもウチだけ。去年以上に厳しい戦いになるだろうが全力で戦い抜き、またここ沖縄にいい報告を持ち帰りたい」と決意を語った。その後、那覇市内の神社で必勝祈願を行った。
2月1日 先手必勝 池田初日からブルペン入り
早くもエンジン全開だ。大連の沖縄キャンプ初日、先発ローテーション入りを目指す池田武治(25)が早速ブルペンで投球練習を開始した。
捕手を座らせて、ストレートだけを自分の背番号と同じ24球投げ込んだ。「自主トレのお陰で体の仕上がりはいいし、今年は最初からガンガン飛ばしていく」と意気込みを見せた。
昨年途中にトレードで大連に加入すると、7勝1敗という抜群の働きでチームを優勝に導く働きを見せたが「去年はチームの勢いに乗って数字を出しただけ。僕の真価が問われるのは今年」と慢心はない。先発ローテーションに関して「吉野、張、フローデセン以外は流動的」と劉監督が競争を強調する中、先手必勝でアピールを仕掛ける。
2月2日 鶴007驚かせた 新外国人ベロス快打連発
パワフルなのは体格だけじゃない。大連の新外国人アート・ベロス(32)が2日、フリーバッティングで高い打撃力を披露した。
この日のフリーバッティングでは52スイングで柵越え9本。前日の46スイングで11本には及ばなかったものの、体型に似合わず? シャープなスイングから安打性の当たりを連発。「今日は飛距離よりも強い打球を飛ばせるかを試してみた。今のところは順調だけどまだ全力ではない」と余裕を見せた。チチハルの柳明賢スコアラーは「(打球の)飛距離もさることながら左右に打ち分ける技術も持っている。ただガンガン飛ばすだけの打者ではない」と巧みな打撃センスに舌を巻いた。
2月3日 恵方巻きペロリ 新人金海は食欲もパワフル
まるでブラックホールに吸い込まれるように口の中へ消えていった。この日の全体練習前に恵方巻きが振舞われたが、大連のドラフト5位金海泰州(25)=PDL電器は北北西を向いて丸かじりすると、そのまま飲み込むように一気に食べきった。高校時代、近所の焼き肉屋で20人前を平らげたという武勇伝を持つ大食漢だけに、太巻き1本など朝飯前と言わんばかりだ。
本業である野球でも豪快さは同様。ブルペンでは捕手を座らせて89球を投げ込み、得意の速球を披露。釜山の佐藤有治スコアラーは「いかにも重たそうなストレート。実戦でコントロールできるなら簡単には打てないでしょう」と評価。本人も「今日は細かい事よりも自分の得意な球を投げた」と認めるように制球には甘さが残るが、1球1球の力はすでに一軍クラス。「この年齢なので即戦力にならないといけない」と自分の立場は自覚している。今後も積極アピールで開幕一軍を目指す。
2月4日 流行のインフルエンザにご用心
大連は4日、中西定治捕手(25)が那覇市内の病院で精密検査を受けた結果、B型インフルエンザと診断されたと発表した。チームではすでに河剛紀外野手(24)、石風呂幹伸投手(27)が感染している。
チーム宿舎内で他の選手と接触しないように隔離され、熱が下がるまで安静にして様子を見るというがあまり広がってほしくない流行である。
2月5日 フォーム変更に好感触 王貞成4年目の覚悟
先発ローテーション入りを狙う王貞成投手(21)がフリーバッティングに登板。古池内野手と岩下外野手を相手に40球を投じて安打性の当たりはわずか4本。ほとんどがボテボテの内野ゴロに打ち取った。古池は「去年より明らかにボールの切れ味が増していた」と舌を巻いた。
今年から腕を若干下げて、スリークォーターに近いフォームに変更した事で球威がアップした。王は「今日はまだ7割ぐらいの力。コントロールを重視して投げたけど、そこは上手く出来ていた」と冷静に振り返ったが、その表情からは充実した様子が伺えた。天沼投手コーチは「今日は王が良かったね。ストレートは威力があるだけでなく微妙な変化もついているし、打者にとってはかなり打ちにくいはず」と語った。
大連の先発候補には昨年実績を残した赤坂、松浦、池田、瑞穂に加えて新加入の草原や星野もひしめく大激戦区。「そろそろ実績を残さないといけない年齢になってきた。だからこそ今年1年は僕にとって本当に重要な年になる」と気を引き締めたが、実戦でも今日のようなピッチングが出来れば自然と注目を集めるようになるだろう。
2月6日 心地よい刺激 ルーキー3人が沖縄体験
大連の春季キャンプで初の休日となった6日、ドラフト2位の周海健捕手(22)=吉林産業大、同3位の星野風太郎投手(20)=ノーザンウインド、同5位の金海泰州(25)=PDL電器の3選手が沖縄市内の施設を訪れ、琉球文化を体験した。
沖縄に来たのは初めてという星野は「ハブとマングースが戦うの見たい」と目を輝かせていたが、現在は禁止されていると聞いてがっくり。しかし民族衣装を身にまとい三線の音色を奏でるなど琉球文化を存分に満喫したようで「出身は北海道なので沖縄文化にあこがれていた。とても楽しかった」と満面の笑みを浮かべた。また、女性用の民族衣装に身を包んだ金海は艶やかな舞を披露して「上手い」と拍手喝采を浴びていた。
明日からキャンプの第2クールがスタートする。周が「(プロの選手の動きは)一挙手一投足に意味がある。学ぶ事だらけ」と語るなど、一流選手との交流でいい刺激を受けているルーキー3人。7日にブルペン入りする予定の星野は「(シーズンは)これから1年なので焦らず、でもしっかりと自分をアピールしていきたい」と第2クールからの「フル回転」を誓った。
2月7日 真田氏唸った アーウィン快速球連発
お世辞抜きの絶賛だった。大連のキャンプを視察に来た野球評論家の真田光春氏(44)の目を釘付けにしたのは、古代アングロサクソンの勇敢な兵士のように引き締まった肉体と顔の全体を覆い隠す豪快なヒゲ面が印象的な新外国人だった。
その男、ダニエル・アーウィン(27)はこの日ブルペンで50球を投げ込んだ。起用が想定されるリリーフに合わせて球数は少なめだがその分球質は抜群。今が2月だと忘れさせるような威力ある速球を連発。真田氏は「ストレートは今の時点で140キロ台後半は出ているはず。もっと暖かくなると確実に150キロは越える。伸びやコントロールといった部分も今年(の新外国人投手)では一番。リリーフの中心になれる」と活躍に太鼓判を押した。
アーウィンは「シーズンに合わせて調整しているので今日は7割程度の力(で投げた)」と余裕たっぷり。第1クールは環境に慣れるためあえて抑え目の調整だったが「やっと食事にも慣れてきた。特にウドンはとてもおいしいしヘルシーなので気に入ったよ」と、早くも東洋文化に順応している。
また、今日の練習中に右足の張りを訴えた趙雅憲投手(33)は、検査の結果肉離れで全治3週間と診断された。その結果趙投手は二軍キャンプでリハビリを行い、代わりに斎場次巳投手(25)が一軍キャンプに昇格した。
2月8日 実戦登板も? ナックルボーラー河剛紀
「代打の○○選手がファーストに、ファーストの河選手がピッチャーに入ります」。こんなアナウンスが草野球や戦前ではなく、現代のプロ野球の光景として蘇る!?大連の河剛紀「投手」(24)が意外な特技を披露した。
今日の練習終了後、同年代の棚橋や李健太郎とともに打撃練習を行った河。トスバッティングをこなした後、それぞれが投手、打者、捕手になってフリーバッティング形式の練習を行ったが、ここでマウンドに立った河が繰り出したのは何とナックルボール。しかもその質は絶品。しっかりストライクゾーンに入りながら大きく揺れて空振りや凡打の山を築いた。
ルーキーだった一昨年は3本塁打を放つなど期待されたが去年は19試合で打率.227でホームランはなしと低迷。昨年の秋季キャンプからミットを購入してファーストの練習をこなすなど現状からの打開を求めていた。河は「僕は左(投げ)なので例えば守備位置は制限されるけど、その中では何でもこなしたい。例えば僕を投手として出したらチームの打撃力もアップするはず」と嘘とも本気とも取れる発言。
対戦した棚橋は「(ナックルボールを)投げられるとは知っていたがここまでとは。実戦でもほとんど見られない変化」と興奮気味。元捕手でもある李は「ターナー(棚橋)は全然捕れなかったし僕もこぼしたから言い訳じゃないけど、かなり本格的な球だったから(大連正捕手の)清水さんでもキャッチに難儀するのでは」と強烈な変化に脱帽していた。
自主練習を密かに見ていたという郭投手コーチは「趣味や遊びの範囲とは思えないレベル(の変化)」と河の意外な「実力」に目を見張った。「実戦(での起用)?ううん、どうでしょうねえ。今から監督に今日の練習の報告をしないと」と言葉を濁したが、その目は明らかに何かを発見した輝きをまとっていた。
2月9日 拾われた意地じゃ 味見せる早島
思わぬ拾い物となるか。今季広島からトライアウトを経て大連に加入した早島聡史投手(32)の評価が急上昇している。
この日のフリーバッティングに登板した早島は、宮畑とルーキーの周海健に対して41スイングで安打性の当たりはわずか3本に抑えた。スライダー、シュート、パームなど横手から繰り出される多彩な変化球で打者のタイミングを狂わせていた。天沼投手コーチは「(早島は)自分の使い方をよく知っている。本来は球威もある投手だし、そういった面もこれからは見られるだろう」と、ベテラン右腕にさらなる期待を寄せた。
広島に所属していた昨シーズンはわずか2試合のみの登板に終わり戦力外通告を受けた。「これで駄目なら引退」と決めて望んだトライアウトで大連のお眼鏡にかなって入団決定。好投の早島は「僕にとっては大連が最後のチャンス。拾われた身分、活躍で返さないと」と気合を見せた。