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大連CDレビュー

 本日ひとつのアルバムが発売された。そのタイトルは「輝きをともに~歌うDBSクルーズ~」といい、大連の野球選手たちが歌うという近年はあまり見られなかった試みである。その無謀なチャレンジにあえて身を投じた彼らに敬意を表して全曲レビューをしてみたい。


1.大連バトルシップスの歌(全員)

作詞 村上好寿、横山光明、王竜樹 作曲 馬矢原藤次 編曲 米花淳

おなじみの球団歌を選手たちが合唱している

ソロパートはなく誰の声がどうとかまったくわからない

野郎どもが集まっての合唱だとポップな曲調も重く普段より聞こえるものだ

中国語パートで明らかにカタカナ歌唱になっているのはご愛嬌


2.STARLIGHT WAY(星渡)

作詞 沖田なお 作曲編曲 米花淳

80年代のアイドルが歌っているようなこっぱずかしい曲

意味のない歌詞やシンセサイザーのキラキラした音色など明らかに分かった上で遊んでいる

星渡の歌唱力は、線は細いもののさわやかな声で音程自体はそこそこ取れている

サビの「ああ~」という部分の中途半端な裏返りさえも愛でられたら立派な星渡ファンだ


3.SAMBA DE FOGOパウロ

作詞作曲 リカルド・カワバタ 編曲 米花淳

パウロはブラジル人だからサンバというかなり安直な発想

しかし楽曲の質は案外高くパウロの図太い低音の歌唱も独特なグルーブ感が出ている

作詞作曲のリカルド・カワバタはパウロの友人である日系ブラジル人ミュージシャン

全編ポルトガル語でかなり激しい愛を歌っているらしい


4.LAST FICTION(柳中平)

作詞 李研東 作曲 張方雨 編曲 泉田テツロワフ

アダルトな雰囲気が充満しているムード歌謡のような曲

別れの場面で女のために最後の嘘をつく男といういかにもな臭い歌詞

むせび泣くサックス、うねるギターに柳の低音が重なるともう「昭和」という単語しか浮かばない

柳の歌唱力はなかなか甘くこういう路線の曲が好きな人にはおすすめ


5.君がいないスタジアム(赤坂)

作詞 沖田なお 作曲編曲 長谷川瑞樹

スポーツ選手が主人公で球場が舞台というそのまんま路線は本作ではこの曲のみ

疾走感のある佳曲だが赤坂の甘い歌声とはちょっとミスマッチか

歌唱力自体は割としっかりしているだけにちょっと惜しい

中学時代の同級生という人気バンドWINGLINGのキーボード長谷川が提供した曲


6.消えるなよ炎(吉野)

作詞 金子晃 作曲 張方雨 編曲 泉田テツロワフ

ソロ曲があてがわれている選手の中では一番歌唱力に難があるエース吉野

軍歌のような七五調の歌をぶっきらぼうに歌っている

あまりにも声に表情がないので分かりにくいがよく見るとかなり情熱的な歌詞

シャウトができるアニソン歌手とかが歌ったら挿入歌っぽくなったかも


7.DANCE IN THE DOWNTOWN(汐風、譚秋雲、平野、大上、棚橋、李健太郎、水内)

作詞 JG KAMATA 作曲編曲 高橋庸雄

アルバムの折り返し地点という事で若手がグループになって歌っている

一昔前のアイドルグループが歌うダンスナンバーのような曲調だが歌のノリはもう一歩

大上のふわふわした高音と譚のしっかりした歌唱力が印象的

そういえば振り付けとかはあるんだろうか


8.終わりなき旅路(林)

作詞 竹奥照治 作曲編曲 深海樹

深海樹ふかみ・たつきによるフォーク調の曲に林の高音でクールな歌唱がマッチ

林は歌唱力も安定しておりしみじみした名曲となっている

歌詞は「終わりなき旅路をいつまでも進み続けるよ」という決意を綴ったもの

今年40歳になる林の旅路はどのようなルートをたどるのか


9.YOU & ME(小松原、比山)

作詞 沖田なお 作曲編曲 米花淳

セットアッパーとクローザーによるまさかのデュエット曲

小松原は低音のなかなかかっこいい声だが比山の歌唱はフラフラで対比すると楽しいかも

作詞作曲が同じだけあって星渡の曲と同様に昔のアイドル風キラキラサウンド

歌詞はちょっと友情にしても親密が過ぎるので妄想好きな方はぜひ


10.真夏のシルエット(松浦)

作詞 清水芳彦 作曲 島原章 編曲 米花淳

80年代を中心に活躍したバンドPRISM&CYCLONEが85年にリリースしたミディアムテンポの曲

19歳の松浦が「15年歌いこんできた」と豪語するだけあってこなれた歌唱

フェイクなどもボーカル清水そのまんまだが高音時の声質が松浦のほうが軽い感じ

今も作曲家として活躍している島原のセンチメンタルなメロディーはさすが


11.お前…(清水)

作詞 金子晃 作曲編曲 泉田テツロワフ

サックスの音色などやや時代がかっているがしゃれた構成の曲

友情がテーマの歌詞もしみじみするが清水の歌唱は声を制御しかねている感じ

その不器用な歌唱で歌われるとなかなかグッと来る歌なのでこれはこれで正解

作曲者の本名は泉田鉄郎だがハルビン生まれなので名前をロシア風にしたそうだ


12.輝きをともに(全員)

作詞 沖田なお 作曲 忠野建義 編曲 米花淳

選手たちからファンのみんなへ贈る、といった感じのバラード

元PRISM&CYCLONEのベース忠野による男らしくて爽やかな曲

ソロパートも豊富だが、歌詞カードにはちゃんと割り振りが書かれているのでファンも安心

歌唱力に難のあるメンバーのパートもあるがアルバムのまとめとしては妥当な曲と言える


総評

東洋一になった大連バトルシップスだが好調が過ぎてこんな商品まで売り出してしまった

歌唱力に関しては上手い下手と色々言ってきたが結局のところはプロではないわけでまあそんなもんだ

ただ林だけは本当に上手くてプロでもやっていけるのではというレベル

また、選手たちのスナップも多く掲載されているがこれまたアイドルそのものというか

やけにカラフルな衣装に身を包んでポーズを決めていて悶絶もの

ただ米花淳、長谷川瑞樹、深海樹、忠野建義らが参加したサウンドは何気に豪華

さすが幸波グループ、金に糸目はつけないし本気でプレイしてくれたミュージシャンもさすが

将来的には大連の東洋一を記念した珍品アルバムとしてある意味重宝されるのではないか

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