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4月6日

4月6日

今日は旦那と子供を家に置いて旅行に来ました。

番さん夫婦と一緒に。

毎日の主婦業から解放されてとっても幸せ。

まあ、旅行といっても車で2時間ほど走った県内の温泉場なんですが、それでも何も考えなくていいってことはこんなに気持ちのいいことなんでしょうか。

今私の頭の中は空っぽ。体がほぐれて血行も良く、お顔がぽっぽ。

風呂上がりのビールをあおりながら、マッサージチェアーに揺られています。


「風呂上がりのビールは最高ですね」

あまりの気持ち良さに、うとうととしていた時、突然後ろから声をかけられ、びっくりして振り向けば番さんのご主人です。

「ええ。素敵なお風呂をいただきました」

ご主人の相変わらずさわやかな笑顔を直視できなくて自分の足元に視線を戻した時。


  最悪です。


なんと、私のだらけてゆるんだ体は、がばっと大股を開き、その上、浴衣をもばっくりとはだけていたのです。

あわてて裾を整えたのですが、時すでに遅し。

あまりの恥ずかしさにお顔がさらに真っ赤になったところ、

「いい血色になりましたね」

とご主人が云うものですから私は言葉を失いました。

「ほんと、湯上り美人とは奥さんみたいな人を云うんだろうなぁ」

さらに顔があかまるのが自分でも感じられます。

なんか、独身時代に戻ったみたい。

「そんなぁ、番さんも若々しくて・・・。おモテになるでしょう?」

きっとこの時の私のまなこは上目づかいであったことでしょう。

「いやいや、もうこの年ですから。お宅の旦那さんが羨ましい。

奥さんを一人占め出来るんだから。私にも分けてほしいですよ」

全然構いません。どれほどそう云いたかったか。

「恥ずかしい話、最近は全然家に帰ってこなくて。仕事で忙しいのは解るんですが。男の人はそういう時あんまり口うるさく言わないほうがいいんですよね?」

お酒に酔ったせいか、少し甘えている感じ。

「んーん・・・そうですね、ホントに仕事ならいいんですが・・・」

そう云った後に、「いや、失礼」と謝るのですが、私も本当はそのことが心配なのですとつい打ち明けてしまいました。

打ち明けたというより、そのことで相談に乗って欲しくて誘導したといったほうがいいかも。

やっぱり甘えているのかなぁ。



実は1カ月程前になるでしょうか。

昼ご飯を数哉と二人で食べてリビングで昼ドラに見入っていた時のこと。

キッチンのカウンターに置いた電話が鳴りだしたので、クッキーをかじりながら受話器を取ったところ、すぐにぷつんと切れました。

変なの、と呟きながら再びソファーに座りなおすと、また鳴り出します。

「もう!いいところなのに」愚痴を言う私を数哉は笑って見ています。

「もしもし」

少しいらついた感情が伝わったのかしら?

相手が無言なのを気にして

「もしもし。どちらさまでしょうか?」

と改まって丁寧に言いなおしたのですが、それでも応答はありません。

それから何度か声をかけても返事がないので仕方なく受話器を置いたのです。

その日はそれ以来電話は掛ってこなかったのでそんなことがあったのは忘れていたのですが、

2日後、まったく同じ時間帯にその電話は掛ってきました。


初めのうちは電話の不具合か故障かなにかだと思い、すぐに受話器を置いていたのですが、3,4回目ぐらいになると、わざとなんでしょう、聞きとれるほどの相手の息遣いがつたわってきました。


その息遣いを耳元で聴いて、今までのは不具合ではなかったんだと思った瞬間、恐怖で悪寒が走ったのを覚えています。

そしてその時、最初に頭をよぎったのは『たつや』でした。


もしかして、あの子はまだいる?

まだそこにいて私に復讐しようとしていると。


それからというもの、その無言電話がかかってくる度に私は謝り続けました。

ごめんね。私を許してと。どうすることもできなかったんだと。

毎回、毎回。謝り続けました。

謝るとその時は電話が切れるのですが、しばらくするとまた掛かってきます。

私一人ではどうする事も出来ずにノイローゼになりそうだったで、たまらずに夫に相談したのです。


しかしです。それがきっかけでした。

別の疑惑が頭の中で蠢いたのは。


        〈もしかしたらたつやではないのかも〉と。


「ねぇ、最近ね、無言電話がかかってくるの」

できるだけさらっと、軽い感じでにそう云ってみたのですが、ほんの一瞬、夫の瞳が揺らいだのを確かに見たのです。


この人、動揺している。もしかして…。


その2,3日後、再び無言電話がかかってきた時、私は思いきって聞いたのです。〈あなたは誰〉と。

あの夫の動揺がなかったら、きっと聞けなかったでしょう。

「お母さん、僕だよ、たつやだよ」なんて言われた日には私は生きていけませんから。

「あなた、正志さんの知り合い?」

そう云うと相手は受話器を置きました。

それ以来その電話は掛かってきません。

この旅行に逃げてきた大きな理由はそこにありました。


「まあ、無責任な発言かもしれませんが、可能性はありますね」

番さんのご主人は残念そうに云ってくれました。

その直後、奥さんが温泉から上がってきたのでそこで話はおわったのですが、少し体が軽くなったような気がします。

話を聞いてくれただけでも良かった。


しばらくお休み中。。。

つづきを待ってくれている人がいるかどうか分かんないけど、

もしいてくれるならがんばって書いてみます。

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