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チャプター47:「戦端」

 太陽はまだ上らず、周辺は未だ薄暗い。

 まだ夜闇が残るその元で、これより「戦場」となる広くの空間を隔てて。

 VAC AFが、そしてToBが。

 その両者、各隊各員が、双方の側にて広く配置し。尖る視線を、そして無数の火器の銃口を向けて、それぞれにて射貫き合っていた。



「――間もなくだ」


 その片方、VAC AF側にて。

 ジョンソンが着ける腕時計に視線を落とし。定めた「作戦開始」の時間が近づいたことを見て、声を零す。


「なァにも少佐自身が、第一波で突っ込む必要は無ェんではァ?」


 そんなジョンソンへ、隣に居るコースからそんな言葉が飛ぶ。

 それはいつもの皮肉半分、しかし同時に彼なりの心配を露わにするところが半分含まれるもの。


「必要と考え、決めていることだ」


 しかしそれにジョンソンは、揺るがぬ様子で返し。

 それを受けたコースは「やァれやれ」とでもいう風に。皮肉気な顔色と、片腕を翳すジェスチャーを見せる。


「――時間だ」


 そんなコースをよそにジョンソンは、次にはまた腕時計に視線を落とし。その時針が、定めた時間を示したことを見止める。


「始めろッ」


 そしてしかし来た時間に急くことはなく。また傍らに待機していた通信員に、端的にそう指示を発し伝えた。


「了――モーター・サイクル、開始要請――」


 ジョンソンの指示を受けた通信員は、置き備えていた大型通信機にての発信を始める。

 伝える相手は、後方の各所に配置している重迫撃砲中隊の各班各陣地。


 要請の旨が発信されて間もなく。

 上空真上より届き響き始めたのは、ヒュゥゥ――と風を切り裂く、不気味さを覚えるいくつもの音。


 それは重迫撃砲中隊の装備し、配置された多数門の107mm重迫撃砲が。投射砲撃を開始して寄越し始めたことを伝える音。

 しかし今に在っては、来たるのは火力を期待する爆砲撃ではない。


 次に向こう広くで次々に上がり始めたのは、煙幕だ。

 重迫撃砲中隊が寄越したのは、煙幕弾。

 次に次にと向こうの光景広くへと落ちた多数のそれは、着弾からそれぞれが濛々と鈍色の煙を上げ。

 間もなく、それらは向こう広くの荒野空間に、分厚い煙のカーテンを作り描いた。


「――煙幕完了ッ」

「用意」


 観測を務める隊員が、知らせる声を上げ。

 それを聞きながらジョンソンは、その手に持ち控えていたホイッスルをその口に当て――そして。


 ――ピイィィィィィィィィィィイッッッ!!


 ――攻撃、前進突入を命じるその音が。

 VAC AF各隊各員の鈍い色彩で占められていた周辺広くに、相反する音色で響き渡った。


「――ッ」

「行くぞォォッッ!」


 ジョンソンは、ホイッスルを吹き鳴らすと同時に、大口径をリボルバーを翳して促す動きを見せ。

 それを言葉にするのを肩代わりするように、近くに居た第1中隊の中隊長が訴える声を張り上げ。


 大規模な突入攻撃の動きが、その火蓋を切った。


 ジョンソンの命令の吹笛の音に。第1中隊長始め各士官、隊長が訴え張り上げた声に呼応し。

 多くの隊員が劈くまでに轟く声を張り上げ。


 そして遮蔽個所として利用していた傾斜地などから、まさに堰を切った様相で。

 各中隊、小隊、分隊、班、その各員が。また数両含まれる装甲車輛などが。

 踏み越え飛び出して、突入進行のために向こう前方を目掛けて駆け進み始めた。


「進めェーーッ!」


 士官、隊長クラスを筆頭に。多数の隊員が士気、戦意高揚のために声を張り上げ轟かせながら。

 次には前方進路上に厚く展開された煙幕帯に突っ込み、またその内を我武者羅の様相で駆け抜ける。


 そして間もなく先頭を務め駆ける小隊の各員が、煙幕帯を抜け。その向こうに開けた景色と、聳える「古代の遺跡」の構造物を。

 そしてそこを占拠して待ち構える、「敵」を見た――



「――煙幕です!」

「狼狽えるなッ。ならば引き付け、飛び込んで来た所を浴びせ退けるまでッ」


 「古代の遺跡」施設に陣取り配置し、待ち構えるToBの側。

 VAC AFが展開した厚い煙幕に、向こうの一帯の視界を遮られ。それをToBの軽歩兵が微かに狼狽えながら報告するが。

 オルスレーは毅然とした態度で促し、自分たちが行うべき動きを示す。


「音、声に足音が聞こえます!近づいています、間もなく接敵!」


 次には近くの高所でまた監視についていた兵から、伝える言葉が降り来る。

 言葉に違わず、向こうの煙幕帯からは地響きの如きの。多数の存在の接近を知らせる足音に張り上げ声が聞こえて来ていた。


「総員、レディッ!」


 オルスレーは周囲の全てのToB兵に発し命じ。自身も愛用の「レーザー・マークスマン」、選抜射手仕様のレーザーライフルを構える。

 オルスレーの近く両翼に配置していたPA兵たちは、その備えるミニガンやガトリング砲の類の事前動作回転を始める。


「――!」


 そして一瞬の、静寂とも紛う「間」の後。

 煙幕の内より、「敵」は飛び出しその姿を現した。


「――オープン、ファイアァッ!!」


 オルスレーが張り上げ命じると同時に。

 PA兵たちの重火器が。構築配置した各機関銃銃座が。前方に前衛として置き配置した自律型タレットが。

 そして高所のスナイパーチーム、各軽歩兵の固有火器など。ToBの保有するほぼ全ての火器が。


 一斉に火を吹き上げた――



「――ヅあ゛ッ!」


 煙幕帯を駆け抜け、先頭先陣を務める小隊がその向こうへと突き抜け飛び出した瞬間。

 VAC AF側の最初の一名が、被弾。

 弾かれ崩れて地面に沈む。


「ヅっ!」

「がッ!?」


 そして、さらに痛ましい声は立て続く。

 煙幕帯を尽き抜け飛び出したVAC AF各隊を待ち構えて居たのは。一切の容赦の無い数多の火器銃器からの、無数の銃火火線の火力による歓迎。


 それらはまるで煙幕帯を抜けたAF各隊各員を、それを端から浚え潰して行くかの様相で。

 射貫き、弾き退け、押し止め。


 二人、三人、四人――もっと多くの隊員が。次に次にと倒れ崩れ、沈んでいく。


 防衛側であり、構築した陣地に籠り火力を展開でき。その上何より個々の火力が充実しているToB側が状況的には有利だ。


 煙幕でその有効視界をいくらか奪い、移動接近のための時間と距離を稼ぎはしたが。

 AFの、自分等の側の視界射線の確保の都合もあって、戦場全てを煙幕で覆ってしまうことはできず。

 その関係の「隙間」において、ToBの火力に晒されることは避けられず。

 VAC AFは作戦開始から早くも、何名もの隊員の犠牲を生む。


 だが、VAC AFはそれで怯み止まりはしない。


「――ッォ」


 苛烈で容赦の無いToBからの火力火線が、頭上を飛び抜け周り近くを掠める内を。しかし果敢に駆け潜り抜け。

 ついに先頭を切っていた最初の隊員が、戦闘を行うのに有効な遮蔽個所へと辿り着いた。


 それはすでに朽ち果てた、「古代の遺跡」の周辺関係施設の何か。

 さらに最初に辿り着いたその隊員に続き、各隊各班、各員が次々に、続々と周辺に駆け込み到着。

 また周辺に点在する遺跡の関係施設や、僅かな地面に傾斜、窪みなどを利用して飛び込み遮蔽。ToBからの火力を一時的に凌ぎながらも、広く展開配置。


「敵陣地、視認ッ!」

「各個に射撃始めろッ、機関銃の配置も早急にッ」


 そして同時に、飛び込み遮蔽に身を隠すことができた各員は。しかしそこから一秒を惜しむ様子で、声を張り上げ交わしながらもそれぞれの各火器を。

 サービスバトルライフル、サービスアサルトライフル、サブマシンガンなどなどの個人火器を突き出し。

 あるいは分隊支援小銃や、軽ないし汎用機関銃などの支援火器を据え置き構え。


 そして向こうのToBに向けて、引き金を引き絞り。火力火線を唸り叩き込み始めた。



「あがッ!?」


 VAC AF側からの応戦応射が始まり襲い。

 ToB側で一人の軽歩兵が、射撃中で身を晒していた所を撃ち抜かれ。ToBの側でも攻防戦の開始から、最初の戦死者が発生した。


「ソルジャー・デスデンがやられた!」

「怯むな、狼狽えるな!これは序の口だ!」


 近くにいた別のToB歩兵が悲痛な声を上げるが。オルスレーは心を鬼にして張り上げ訴え、そして射撃の動きを止めはしない。


「敵は広くに散会!正面に一個中隊規模ッ、右手にも隊伍が行くのが見えました!」

「2番機関銃、右手をメインにばら撒け!ウォーリア・ケビンの隊も右手側へッ!」

「了解、シニア!」


 敵の、VAC AF側の見せる動きを知らせる兵からの声。

 それにオルスレーは取るべき対応を伝え命じ、兵たちはそれに応じて動き。また各方向へ銃火器を、火力を唸らせる。


「フン、数だけの有象無象がッ」


 そんなオルスレーの向こう近くでは、シャスエンが冷たくも忌々し気な色で零しながら。

 構え下げるミニガンを唸らせ、正面にばら撒いている。


「っ、空か。サーヴァント、次を急げ!」

「はっ!」


 そのミニガンが弾切れを起こし、シャスエンは面倒そうに吐きながら。次には背後にやや高慢な色で命じる声を上げる。


 彼女の背後に控えていたのは、まだ幼さの見える少女ToBサーヴァント。その少女はシャスエンに専属するサーヴァント。

 その彼女は、シャスエンのPAの背に装着されていたドラム型の大型弾倉を、苦労しながらの焦る動きで取り外し。

 新しい満タンの弾倉を新たにPAに取り付ける。


「もっと手早くやりなさい、一秒の遅れも敵に有利となるわよッ」

「はい!」


 そうして装着された弾倉から、弾薬ベルトをミニガン本体に繋ぎ装填をしながらも。シャスエンは少女サーヴァントに軽く叱る声を向ける。

 しかし少女サーヴァントは萎縮することなく、むしろ凛とした、己を引き締めるような色でシャスエンに答える。


 シャスエンはその美貌と、高慢ながらも一種のカリスマも有するその性格から。一部のToB兵からは好意を、憧れを持たれていた。

 少女サーヴァントもそんな一人だ。


「小賢しい企みなど、全て喰らい散らかすぞ!不格好を見せるな!」

「はい!」

「は!パラディン・シャスエン!」


 そんな事情の一幕を、戦いの最中にも垣間見せ。次には己の脇を固め戦う、『取り巻き』であるToB兵たちに命じながら。

 再びそのミニガンを、シャスエンは過激に唸らせばら撒き始める。


「――ぎゃぇっ!?」

「!」


 しかし、そのシャスエンの両脇を固めていたToB兵の一人が。次には脳天より血を噴き出し、真横に叩き殴られるようにもんどり打って、地面に沈んだ。


「っ!」

「スナイパーァっ!」


 その正体をすぐに察し、シャスエンはアーマーヘルメットの内で、その美麗な顔を忌々し気な顔色に変え。

 そしてその「襲撃」の正体を、すぐに近くにいたToB兵が声を張り上げ伝える。



「――まず一人」


 古代の遺跡、ToB陣地より側方方向。少し距離を離した所にある小高い崖の上。


 そこに、その銃口よりうっすらと硝煙の上がるボルトアクション狙撃銃を構え。その上の備わるスコープを覗き、向こう眼下の「成果」を見ながら。


 端的に零す、ユーダイドのコマンドー隊員――エドアンズの姿があった。

Fallout Operation: Sunburst [Fan animation] Mr./Ms.SODAZ

https://www.youtube.com/watch?v=Z0wL6DXIvoc


この小説を始めたきっかけというか影響元というかオマージュ元というか丸パクリ元。本当に申し訳ない。


見よう!


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