チャプター24:「降着」
「――あァ、ったくッ。シャレになんねェ摩訶不思議レーザーだったなッ」
上空、指揮官機のGW機機内。
地上からの敵の応戦攻撃が沈黙しつつある様子を見降ろしつつ。しかし今しがたの肝を冷やした闇の閃光に、コースがまた悪態を吐き零しているが。
そのコースは同時に、自身の装備火器である航空機関砲改造の20mm機関砲に。そのスーパー・ヒューマン特有のぶっとい腕でもって弾倉を叩き込む。
「各戦闘飛行ユニットは上空掌握、及び地上支援に移れ。地上ユニットが間もなく降着展開するッ」
そんなコースの悪態を背後横に聞きつつ。ジョンソンは身に着ける簡易無線機を用いて、指揮下の飛行ユニット各機に指示を伝えている。
さらにそのジョンソンの背後に。エドアンズもシートから立ち上がって控え、狙撃銃を手にこれよりの降着に備えている。
《少佐。当機及びGW42は所定から変わらず、ど真ん中に着ける形でいいですねッ?》
「そうだ、変わらず割り込み乗り入れろ」
搭乗するGW機の機長より、ジョンソンに所定に変更無いか尋ねる旨が来る。それに肯定で返すジョンソン。
地上ユニットの動きは、主力を集落外周に降着展開させて周辺の掌握を任せ。
ジョンソン筆頭に二個班程は、集落のど真ん中に割り込み降着する算段だ。
「スマートには程遠くなります、承知をッ」
「かまわん。最悪、一瞬ホバリングしてくれればそのまま飛び降りるッ」
機長よりは降着が緩やかな物とはいかないであろう、忠告の言葉が寄越されるが。
ジョンソンはそれを承諾、さらに場合によっては飛び降りることも辞さない旨を返す。
その間やり取りの間に。GW機はすでに眼下集落への降下進入を開始。
点在する家屋建物に囲われた、集落中心の広場空間にみるみる接近。
集落からは矢撃や投擲など、敵からの攻撃が少なからず寄越されて機体を叩くが。GW機はまったく構わぬ動きで降下し、地上へ迫る。
「――行くぞッ」
そしてGW機が降下進入の速度を殺し、ホバリングへの移行から地上のギリギリまで接近を成した所で。
ジョンソンは合図の声を発し上げ、そして大口径リボルバーを翳す動きで促し。
先に示した旨の通り、機の接地降着を待つ事無く。何の躊躇いも見せず、自身が真っ先に機上より飛び降りた。
「へェヘェッ!」
「GOGOッ!」
真っ先に飛び降りたジョンソンを、追って続くように。
間髪入れずにコースがそのSH特有の巨体を、機上から飛び出し飛び降り。
さらにエドアンズに、他に数名のAF隊員も。次々に機上より飛び出して行った。
「――ッ」
GW機の機上より飛び降り、ジョンソンは一瞬の落下の後に、地上にダンと足を着いた。
背後頭上に、GW機のけたたましいホバリング音を聞きながらも。しかしジョンソンは同時に、迫る複数の気配に影を察知。
ジョンソンに向かって殺到するは、地上、集落内に待ち受けていた魔帝兵たち。
すでにすぐ傍には、重装の鎧に身を包む一人の魔帝兵が肉薄にて迫り。その腕に持つ大剣を振りかぶり、瞬間にはジョンソンに襲い切り掛かった。
「うォォっ!――ごぅっ!?」
「――」
雄叫びを上げて、剣を振りかぶり襲い来た重装鎧の魔帝兵。
――しかしその重装兵は直後、その雄叫びを濁った悲鳴に変じて、思いっきりもんどり打った。
上がったのは、鈍くも響く撃音。
辿り見れば。ジョンソンが片腕に持つ大口径リボルバーを、重装兵に突き出し向け。その引き金を引き切っている。
それが、重装兵が剣を振るい降ろす事を認めるよりも前に。その頭部を撃ち抜き屠ったのだ。
「――」
「がぅぁっ!?」
しかしジョンソンが、その重装兵に注意を向けていたのも一瞬。次には別方に身を捻り、大口径リボルバー拳銃をそちらに向けて、再び発砲。
反対別方に見えるは、今を隙と見て襲い来た別の重装兵。鎖で繋がる鉄球などを振り回し、迫っていた恐ろしいそれを。
しかしジョンソンは、間髪入れぬ折り返す動きで、また見事にまた撃ち抜き屠った。
「おのれェ!――ぎぇぁっ!?」
襲撃はさらに立て続き、またも重装兵がまた別方より迫り襲い来たが。それにあってはジョンソンが手を煩わせる必要も無かった。
魔帝兵を阻んだのは、人外を体現するような巨体。
ジョンソンに続き飛び降り、降着から追い付いたコースが。ジョンソンをカバーするように現れて魔帝兵を阻み。
そのスーパーヒューマン特有の健脚で、重装兵を蹴り飛ばし、拉げ退けたのだ。
「ったく――ヨォッ!」
コースがその襲撃者の煩わしさに、悪態を零したのも一瞬。
続け次には、コースは得物である20mm機関砲を突き出し構え――トリガーを引いて咆哮を上げた。
「!――ぎゅぇっ!?」
「がぁっ!?」
「ひぎゃっ!?」
唸った機関砲の砲火は向こう正面にばら撒かれ。
強襲襲来したジョンソン等に向かって、殺到し始めていた魔帝兵たちに。しかし押し止める様相で叩き込まれ始め。
それを真正面から諸に浴びせられる形となった魔帝兵たちは。
歩兵などの軽装の兵は無論。重装の兵に、陸竜を操る騎兵などまでもが。まるで紙切れのように、千切り砕かれ、消し飛ばされた。
「な、なんなのだアレ等はっ!?」
「あれは亜人なのか!?この攻撃は一体……!?」
幸か不幸か、混乱狼狽からの動きの遅れで、機関砲の砲火を間逃れた魔帝兵たちは。
しかし代わりに仲間のその惨劇をまざまざと見せつけられ、一層の狼狽混乱に陥る。
「展開しろ、展開しろッ!」
「四周を抑えろ、カバーし合いながら広げろッ」
そんな彼ら彼女らにも。無慈悲にも惨劇の体現は漏れなく襲い来た。
またジョンソンに続き追いかけ、同GW機から降下した各班の隊員に。さらに後続進入して来た別のGW機から、増加にて降下した一個班の各員が。
ジョンソンの近く隣に背後を駆け抜け、周囲各方向へ展開。
そして各方へ、各員のサービスバトルライフルや分隊支援小銃の類が、銃火銃声を上げ始め。
別方向へは、軽機関銃のチームの扱うそれが唸りを始め。
それぞれの装備火器が撃ち響き、集落に点在する魔帝兵部隊を相手に交戦を開始。
「がぁ!?」
「うが!?」
各方に向けられた火力によって。魔帝兵たちは端から、薙いで浚えるように撃ち沈められて行く。
「ダウン、ワンダウンッ」
「左、しつこく浚えろッ」
各員より撃ち込まれるは、念入りな火力投射。
「――排除」
同時進行でその最中では、選定した位置に配置したエドアンズが。向こうの家屋屋根よりこちらを狙っていた弓兵を、狙撃行動で仕留め阻止する姿を見せる。
そんなように。
勇敢に、突然襲来した襲撃者であるVAC AFに立ち向かおうとした魔帝兵たちであったが。
火力の差は無論。
混乱に陥り態勢を挫かれ、満足に連携もままならない状況となった事も災いし。
彼ら彼女らは容易いまでに。次に次にと、銃火に撃ち浚えられ、沈められて行った。
「く、引け……引けぇ……っ!」
時間にして、数分も経過せずの間もなく。
ついに魔帝兵の誰かから、そんな後退を訴える声が上がり。魔帝軍部隊に敗走の動きが生じる。
「ひっ!?」
「わぁ!?」
しかし、瞬間だ。
まるでそんな魔帝兵たちの頭上近くを、脅かすように「漆黒の何か」が掠め飛び来たのは。
「ッ!」
そして「それ」は、直後にはジョンソン等の近くを続けて掠め飛び抜け。
背後にあった家屋へ飛び込み。それを叩き、異質な音を立てて大きく損壊させた。
「ぬォぁッ!?」
「ッ」
一瞬だが、見止められた「それ」の様相から。それがここまでも見て来た「闇の閃光」の類と察し。
また肝を冷やすそれに。コースが忌々しさと驚きの混ざった声を上げ。
ジョンソンは一度、背後で損壊した家屋を見た後。すぐさま正面に視線を戻し、「闇の閃光」のその出所を視認する。
「逃げるなっ!逃走は許さぬ、逃げるものは私が始末する!――」
向こう正面。そこに一人の女――魔帝軍の女将校が。
その華奢な容姿で、しかし高慢なまでに堂々と立つ姿があった。
スピーディーに次から次へと撃ち退けてる感を表現したかったけど、この始末☆




