表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/44

チャプター12:「漆黒」

 脅威たるオークたちの隊伍が、しかしそれ以上に凶悪なAF側の押し進みで容易く崩れ。

 今は周囲の各所で点々と、白兵距離での戦闘行動が――いや、AF側による一方的な「排除」行動が繰り広げられている。


「――行け、行けッ、抉じ開けろッ」

「ヘェヘェッ!」


 そんな内を、コースを正面としてジョンソンの率いる一チームは。

 散発的な各所の戦闘は各員各チームに任せ、自分等はその最中を真っ直ぐ押し進んでいた。


 ジョンソンがコースの背中を、遠慮なくバシバシ叩いて前進を促し。コースがそれに適当に答えながら。

 向こうにまだ散在する敵に、ジョンソンは大口径リボルバーを撃ち放ち、コースは20mm機関砲をばら撒きながら。

 ズシズシと進み押し上げる。


「ぎゃぇ!?」

「ヒィィ……!」


 近く周囲ではAF隊員各員による、敵を退け沈める射撃や打撃の音が。

 それに撃たれ砕かれての、人間にオークなどを問わずの敵の悲鳴が、いくつも響き上がり届くが。


 ジョンソン等はそんな各光景を傍目に見つつも。その各所の戦闘行動は、またその場の各員に任せ。


「左、排除ッ!」

「入ったッ、ワンダウンッ!」


 ジョンソンにまた同行随伴する、フレキシオやジウォが射撃排除を伝える声を届けながら。

 ジョンソン等は戦いが巻き起こる内を、降りかかる火の粉を払いつつも、しかし構わず遠慮なく突っ切り。

 火器銃火を向けばら撒きながら、活路を開くべく押し進む。


「あと少しッ、押し込めるッ!」


 間もなく、ジョンソン等の近く前側方。前を行く、別のスーパーヒューマン隊員を中心とする一個班の、その長から声が上がり届く。

 その聞こえた言葉が示すように、ジョンソン等は間もなく敵の防御の層を抜け。敵が占拠した銀行施設の、その間近に迫ろうとしていた。


「――ッ!」


 しかし、その銀行施設を目視した直後。ジョンソンを筆頭に数名が、何か鈍い気配に振動を感じ取った。

 そして――


 ――瞬間、響き届いたのは。爆破のような衝撃音と、そして破壊崩壊の光景だ。


 向こうに目視していた銀行建物の壁面が。その内側より、吹き飛ばすそれで崩壊。

 そしそれにより開口した、建物の壁の大穴より――ヌォ、と。

 巨大で、禍々しい存在が姿を現した。


 それは、一言で形容するなら――恐竜。


 詳細には。数十メートルはある巨大な身長体格を持つ、爬虫類の面影のある巨大生物。

 その肌は硬く武骨に見え、そして色は飲み込まれそうな程の漆黒。


「あんだありゃ――ッ」


 その恐竜型生物の出現に、まず一番に険しさの混じる声を上げたのはコース。


「――ッ!」


 そしてジョンソンが、その目を剥き開いたのも同時。

 だがジョンソンのそれにあっては、ただその恐竜型生物の姿を見たからだけでは無い。

 その恐竜型生物が、次にはこちらに向けて顎を掻っ開き――その喉の奥に「脅威の源」を見止め、瞬時に察した事に起因。


「飛べェッッ!!」


 直後、ジョンソンが怒号の域で張り上げ。

 僅差のほぼ同時に、「脅威の源」は――「漆黒の光線」と。

 一種の巨大なレーザーとなって体現され、こちらに向けて撃ち放たれた――


「――ッァ!」


 紙一重の差で。

 ほとんど吹っ飛ぶような動きで、踏み切り飛びこんで地面に身を沈め、退避姿勢を取ったジョンソン等。


 直後瞬間。その間近を掠め、漆黒のレーザー光線は特急の如き、それ以上の速度で通過。

 そしてそれは延長線上の向こう、ロータリー空間の一角にあった建造物に直撃。

 形容し難い衝撃音を発生させて届け。


 間もなく、その一閃が収まり止んだ後には。

 その建造物はその大半が、ぽっかりと「こそげ取られた」かのような損壊状態となって露わとなった。


「ッォ――ジョーダンだろぉッ!?」


 吹っ飛ぶように退避したジョンソン等。その内のコースから、目を剥いての悪態交じりの驚愕の声が零されたが。

 そんな驚愕の色を見せながらも。各々は同時に、退避後退行動を命じられずとも開始。


 また跳ね飛ぶように駆けて引き。近場の敵が残したバリケード、あるいは瓦礫などに飛び越え飛びこみ遮蔽。


「ッ!」


 近くに展開していた指揮下各員の、なんとかの遮蔽退避を見た後に。

 ジョンソンも後退し、近場のバリケードへと飛び越え飛び込み。身を沈め落とすように遮蔽退避。

 直後、冷や汗ものの差で。その頭上を再び、漆黒のレーザーが掠め抜けて衝撃の気配を伝えた。


「――無事かァッ!?」


 それを頭上に感じつつも、ジョンソンはまずは、周囲の各員に安否確認の声を張り上げる。


「ナァシッ!」

「人員被害ナシッ!」


 それにひとまず間髪入れずに、周り各員から幸いにして人的被害は無しの報告が返る。


「フッザけてやがるッ!あんなん喰らったら木っ端微塵だぞォッ!?」


 そしてほぼ同時に近いそれで続けて。コースがその巨体を沈め遮蔽しながらも、悪態交じりの怒号を張り上げる。

 その言葉の通り。今に目撃した一撃を掠め受けでもすれば、ただでは済まないのは目に見えて明らか。


 ジョンソン始め各員は、とにかく瓦礫やバリケードに一応の遮蔽退避を行い身を隠したものの。こんなものは実質、微々たる気休めにしかならない。


「その前に仕留めるッ――ありったけを叩き込めッ!!」


 必要なのは、元凶の根本の排除。

 それを成すべく、ジョンソンは周囲に各員に張り上げ伝え。そしてそれを自身の行動で導くべく、大口径リボルバーを突き出し遮蔽の向こうへ向け。撃ち放ち。


 周囲の各員もそれに呼応。各火器を突き出し向け、無数の銃砲火が上がり始めた。




「――冗談」


 ロータリー空間の背後のビル建造物。その上階で、エドアンズも構える狙撃銃のスコープ越しに、現れ暴れ始めた恐竜型生物を見ながら。

 静かにしかし悪態を零していた。


 今しがたには恐竜型生物の放った漆黒の光線が、隣近くの建造物に直撃。まるで掻きこそぐように、その造りをごっそり損壊させた。


 あんなものを食らえば、ただでは済まない。

 上階の機関銃班に狙撃チームには、今程に直ちにの退避。一旦配置を解いての移動指示が寄越され。

 背後では機関銃班が急く様子で、そのための動きの最中にある。


「――ッ」


 ガン、と。

 しかしその最中で同時に、エドアンズの隣から鈍くしかし響く音が上る。


 大口径対物ライフルを扱うコマンドー隊員が、今もギリギリまで。地上の各隊を援護すべく、射撃行動を続けていた。


「――削いではいる、でも決定打には遠いッ」


 エドアンズもそのスポッター行動を継続。向こうの恐竜型生物の動きを、引き続きスコープで追いながら、射撃の成果を伝える。

 その言葉の通り。今の対物ライフルの撃ち込みを始め、各所各隊からの射撃は。

 恐竜型生物の武骨な皮膚を、削りダメージを与えてこそいるが。そのいずれもが、決定的なものには遠かった。


「もっとデカい打撃が必要だッ」


 その旨を訴えつつ。コマンドー隊員の彼は、空になった対物ライフルの弾倉を交換に掛かる。


「増援の知らせは聞いてる、それまで――ッ!」


 それに返す声を発し掛けたエドアンズ。しかし直後瞬間、彼女はスコープの向こうに。

 重鈍な動きの恐竜型生物が、その首を薙ぎ振るうように動かす姿を。そしてその顎が――こちらにむけられ掻っ開かれるのを。

 そしてその喉奥に、漆黒の球体が生み出されているのを見た。


「――飛んでェッッ!」


 直後。エドアンズはユーダイド系の独特のしわがれた声で、しかし劈くまでの怒号を張り上げる。


「ッ――」


 それにコマンドー隊員の彼は、すぐさま呼応。

 巨大な対物ライフルを、しかし掬い持ち上げるようにしながら、身を打ち出すように立ち上がり。

 直後には何の迷いもなく、すぐ前の壁際の崩落部から向こうへ飛び出す。


 ほとんど同時にエドアンズも、一瞬だけ背後を見て。ちょうど他各員の退避が終わり、部屋空間に残るのは自分等だけである事を確認し。

 そしてコマンドー隊員の彼を追い。崩落部の大穴より、その向こうの宙空へと飛び出す。


 ――直後。


 間一髪の差で、エドアンズの頭上を漆黒の閃光が掠め。今までいた背後のビル建造物を直撃。


「ッァ――!」


 その崩壊の気配に、伝わる衝撃を感じながらも。

 次にはエドアンズは、無事に着地できるギリギリの高さを、しかし見事な身のこなしで着地。


「行くぞッ、位置を変えるッ!」

「了!――」


 そして、すでに着地して警戒援護を行っていた、コマンドー隊員の彼の促しを受け。

 新たな狙撃位置を探し配置するべく、一秒の時間も惜しんでの行動を再開した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ