超現実主義
私は容器として
あなたも容器として
うやうやしい光にゆがんでゆく、容器として在り
うすいタイルに指を這わせては
うつらうつらと放心していく
リアルを問わないで
リアルを問わないで
リアルは極限の幻覚作用だと
もう何千万の心身のガレージだと
戻れない
戻られない花園
バスタブは、なにかを容れるわけでもなく湾曲して
透明の、カルキの水で
私たちは、つかの間の入浴をすませて
逃げても逃げてもたどりつくのは
はじめの和音
世界を追放した先にあるのは
しろい泡
リアルに棲まないで
リアルに棲まないで
リアルは乳香のかおりの中に
リアルは霊長類の、意識の中に
戻れない
戻れない
私はもう、到着した