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エピローグ


俺、"米原 伶"には3歳年下の妹、"結"がいる。

身内贔屓を差し引いたとしても超絶可愛い。


結は俺と同じ中高一貫校に通っているのだが、俺の予想通り←(ここ重要)、中等部では「彼女にしたいランキング(非公式)」1位を獲得している。

顔は人形のように整っており、髪は綺麗な黒髪、肌は生きているのかと疑うほどに白く透き通っている。

そんなこともあってか"孤高の氷姫"という二つ名までついているらしい。


一方、俺はヘッドフォンを頭に抱えてボカロ曲を垂れ流している類の陰キャオタクである。

残念ながら顔もフツメンとしか言い表せない。

おかげでクラスからも結が俺の妹という認識は一切ない。

遺伝子君、仕事してるかい?


そんな俺の妹は現代では少々特殊な"ヤンデレ"体質&"ブラコン"であり、

家では兄様兄様とべったりで離れない。


寝てる間ベットに潜り込むわ(毎日恒例)、風呂に突入しようとするわ(毎日恒例)、と色々めちゃくちゃである。まあ家だけだからある程度マシではあるのだが...。


突然だがそんなある日、俺のクラス+妹は異世界の王城に召喚された。

それと同時にこんな言葉が走る。


ー殺してやる


その言葉にはまっすぐな殺意が籠っており、あろうことかその言葉は俺の妹から吐き出されたものだった。


場の空気は凍り、半数以上はその威圧に当てられ怯えていた。

女子軍は大半が泣き崩れており、失禁をしているヤツもいる。

クラスの空気は過去最悪の雰囲気を醸し出していた。


「突然のことで驚いただろうがおぬしらは勇sh...ごめんなさい。」

王のRPGテンプレは圧に押し負けたらしい。それでいいのか王様。


これでも俺は、結を宥めようとしたのだが


「兄様は黙って」


とのお言葉をいただいたので、すぐさま口を紡いだ。

妹だろうって?

仕方ないだろう。

ほんの一瞬、二人の背後に死神の幻覚が見えたのだ。

気づいたら目の下に水滴が流れている。

おかしいな、ここ王城なのに雨漏りしてやがる。


こんな気まずい状況ではあるが、とりあえずなんでこんな事が起きたのか、画面の前にいる無知な君に教えてあげよう\(´;ω;`)<まだ止まらん


---4限後の昼休み---


「おい陰キャ、いつも通りアレ買ってこい」


授業特有の沈黙から解放されて一発目、俺にパシり発言をしやがったのは所謂陽キャグループの一員である山田である。

すると山田のパシり宣言を合図に、周りの陽キャメンバーが続き


「あ、俺カレーパン2つ!」「うちメロンパン1個!」「あ、ブラックの缶コーヒー買ってきて~」「じゃあ俺森〇ジャンボ!!」...。


とまあ複数人からパシられるわけだが、中2からこんなだから今更だ。


ってか、いつものアレってなんだよ。

あとさりげなくアイス出すなよ。


なんて思いながらも「はいはい」と手を差し出すと、そこに購入分の料金を各自置いていく。

彼らはきちんとお金は出すパシラーなのだ。


根はいい奴らなのかもしれない。


パシリさえしなければ。ぐすん。


お金を受け取った俺は、売り切れる前に一目散で購買へ走る。

なんせ毎日取り合い合戦になる上、中等部側にあるのだ。


約5分ほど奮闘して、ようやくお目当てのものを買うことができた。

苦労してこそ美味しく頂けるというものである。俺のものじゃないけど。


いつも通り全てエコバックに詰め、教室に向かって歩く。


教室に着くと、見覚えのある美少女がいた。

結である。


どうやら俺が目的なようである、が山田が強引に話しかけようとしていた。

しかし"孤高の氷姫"という二つ名通り、完全にスルースキルを発動している。


結は俺を見つけると、すぐさま「兄様!お弁当忘れてましたよ、ついでだから一緒にご一緒しませんか?」

と飛びついてきた。

おっと、学校で陰キャムーブかまそうと早めに来たのが裏目に出たか。

っていうか我が愛しの妹よ、山田の顔がすんごい顔してるから、そろそろなんか言葉返してあげれば?

まあでもとりあえず


「ありがt「おい、なんで俺を無視してそんなクソ陰キャには話しかけるんだッ!!」


しびれを切らした山田が声を荒げた。だろうね。

結は眉をビクッと動かし、ようやく山田に口を開く。


「クソ陰キャって、兄様のことを言ってるんです?」


「こいつ以外誰がいるんだよwっていうかこいつの結ちゃんの兄貴なのかよw面影なさすぎ、結ちゃんが不憫だわwwあ、お前、例のアレ、ちゃんと買ってきただろうな。」


そう言って俺の持っていた袋を無理やり奪い「せっかくだからいっしょにご飯食べない?」なんてマイペースな事言ってやがる。


気づけ山田!!結のハイライトが消えてるぞ!!

あーなんだか寒気が...。


結は数秒ほど深呼吸をした。

何とか抑え込んだようである。

そして


「それって兄様のものなんじゃないですか?随分と量は多いようですが...。」


冷静に結が山田にそう問う。


頼むぞ山田、空気を読んでくれ。

そんな俺の思いはいざ知らず


「えぇw?違うよ結ちゃんw俺たちの代わりに君のおにいちゃんが買ってきてるんだwでももう2年くらいやってるし、問題ないよねw」



ブチッ


あ、終わった。

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