『理科室の手記』『破壊・持続・創造』
『理科室の手記』
今日は楽しい実験の日。
理科室にいるのは僕ひとり。
水とナトリウムを混ぜる、
それは孤独な神秘の追求。
いや、理想の燃焼実験だ!
それは僕の夢のランプだ。
いち、にの、さん、はい!
燃えろよ! 燃えろ!
僕こそ新世紀のドンキ・ホーテ!
おっと、まずい!
水素と酸素が反応している!
助手のサンチョは今どこに?
爆音と木霊が轟いて、
青白い火球が膨らんだ。
ビッグバンが起こった!
僕は、理想の虚しさを味わった。
もはや手遅れ、もう戻れない。
僕の身体は星屑に還った。
理想だけが宙ぶらりん。
ああ、懐かしきかな、あの痛み、あの温もり。
『破壊・持続・創造』――1行詩・2行詩・3行詩
「破壊」
核兵器、誰の手にもボタンがあるよ。
「持続」
知られざる魂に棲む破壊の種子、
焼け野原に野生の菜の花が咲く。
「創造」
きみの本性は梵。
我でもある。
そして、破壊神でもある。