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第04話 お茶会

「もうだめ...」


リーネが講義中に倒れ込む


1日の中で一番きついと感じているのが、この辺境伯令嬢としての教育だ


私達双子は辺境伯令嬢の長女、次女として4歳の頃から2年間毎日びっしり詰まったスケジュールをこなしている。礼儀作法に始まり、歴史、経済、そして基礎的な政治まで。前世の記憶がある私ですら音を上げそうなのに、そのアドバンテージがないリーネには相当堪えているようだ。


「リーネ大丈夫?眠気覚ましとローヒールかけるね」


「お姉さま、ありがとう...」


ちょっと話が逸れるが眠気覚ましの魔法は【生活魔法】の本に載っていたのだが個人的に最強の魔法だと思っている。授業中に眠くなった時の特効薬、つまり魔剤である!これでまだまだ頑張れるね!やったね!


ついでにローヒールはD級回復魔法で傷口や怪我を治すだけでなく、疲労も僅かに軽減する効果がある。ただ効果は気休め程度だ


「ほら。休憩している暇はありませんよ!リーネ様背筋をのばして!」


執事のセバスが手を叩き貴族の礼儀作法の指導が再開される


「これが終わったら次は歴史、その次は外交のレッスン。全て終わるまで今日は寝れませぬぞ」


ほとんど休憩もないため超スパルタ教育である

早朝の剣術と午前の魔法の訓練が幸せな時間に思える程である。実際幸せなのだが


(魔法について検証したいことが山程あるのにな...)


「リリア様、また魔法書を書庫から持ち出していましたね」


(やば!)


退屈しのぎに手元に忍ばせていた魔法書がバレてしまったようだ。


「申し訳ありません、ついつい魔法が面白くて...」


「リリアお嬢様の魔法の素質の高さについては存じております。しかし、辺境伯家の長女としてまずは基礎をしっかりと...」


セバスの言葉は正しい。

今まで辺境伯のことを知らなさすぎて、なんか辺境の地だからやることなくて暇な貴族なのかと思っていたがどうやら全く違うらしい。


この国の辺境伯領は魔物や異民族との接触が多く、かなり危険な地域だ。そんな場所を治める家の娘として領地経営や外交、そして何より人々を守る知識が必要なのは当然なのだ。


「とはいえ...」


セバスが顎に手を置き考える


「目標もなくただ講義を受けるだけというのも退屈でしょうな。たしか5日後にミュラー男爵家の婦人主催のお茶会が予定されていたはず。それに出席してみましょう」


「えっ...」


お茶会なんて、聞こえはカジュアルに聞こえるが、結局は貴族同士の堅苦しい行事なんでしょ?まぁただの偏見だけど。

嫌そうな表情が顔にでていたのかセバスが口を開く


「所詮は領内のお茶会、規模は大きくありませぬ。予定では子爵家が2家。男爵家が4家。準男爵や騎士領主が5家程ですな。練習には丁度いいかと」


(いや、結構多いやん!お茶会なんだから10人ぐらいでお菓子と紅茶飲むだけでじゃだめなの...?)


「そういえば」と、思い出したかのようにセバスが話を続ける


「ウィローブルック家のメイ様も参加されると聞き及んでおります」


「え!メイが!」


リーネが反応する


「それに加えて、領内で魔法について一番詳しいとされるヴァイス家も参加されるとか」


「魔法!?参加します!」


魔法についてさらに学べるなら参加するしかない

これはお茶会とは名ばかりの、魔法についての情報収集のイベントだというわけか。


「そうと決まれば5日後のお茶会に向けて、令嬢としての基礎をみっちり教えて行きますぞ」


目的と目標が決まった私達はそれに向けて頑張るのであった






お茶会当日


母マリアンヌと共にミュラー男爵家にやってきた。

私達が最後だったようで20人ほどの貴婦人達の前で母が軽く私達の紹介をした後、お茶会が開始された



領内の色々な婦人達がやってくるからと身構えていたが、みんな「よろしくね〜」とか「何かあったらいつでも相談にきていいのよ」等々声を掛けてくれたり握手してくれた。


思ってたのとは違ったが、気のよさそうなおばさん達ばかりでちょっと安心


「ぐぅぅぅ」

お茶会のためにテーブルに並べられた洋菓子や茶菓子をみて隣のリーネがお腹を鳴らす


「あら、リーネちゃん。お腹空いたの?」


「メイ!」


メイが私達を見つけて声をかけてくれる

リーネは人見知りなところがあり、知らない人に囲まれて緊張していたようだが、見知った顔を見つけて安堵の表情を浮かべる。


「おばさん達の話聞いてても面白くないから、私達はこっちでお菓子でも食べてましょ」


メイが手招きするところへ向かうと

そこにはメイより年上に見える10代の少女が2人座っていた


「初めまして、私はミュラー家の次女アイリスと申します。本日はお茶会にお越し下さりありがとうございます」


アイリスと名乗る15歳ぐらいの見た目の少女はドレスの両裾を指3本で軽く摘み膝を軽く曲げ挨拶をする

優雅さの伝わるその所作に、これが正しい貴族の挨拶か。と感心してしまう程だ


「続いて私からも失礼いたします。お初にお目にかかります、私はヴァイス家長女ノエラですわ。リリア様とリーネ様の噂は伺っております。なんでも魔術と剣術に長けていらっしゃるとか」


ノエラと名乗る女の子は13〜15歳ぐらいの見た目だ。どこから聞いたのか私達のことを知っているようだ


「こちらこそ初めまして、ローゼンフェルト家長女リリアと申します。こちらが妹の...」


リーネに視線を流す


「リ、リーネです。よ...よろしくですわ」


うん。緊張しているのか微妙な挨拶になってるがまぁ大丈夫だろう


「はい!堅苦しい挨拶はこれぐらいにして...と」


アイリスがパンッと手を叩き、そのまま続ける


「あたしは仰々しいのは苦手なんだ。ここからはお互いに敬称とか敬語とかなしにしよう。みんなそれでいいか?」


さっきまでの優美な貴族っぽさは嘘のように、急に親しみやすい口調と表情に変わった


「はい、私もそれで大丈夫よ」

「うん。わかったわ」


ノエラに続きメイも承諾したため、私達も首を縦に振る


「ところで、アイリスってアストリア学園の2年生なのよね?どんなところなの?」


メイはずっと気になってたのか身を乗り出して質問する


「そういえばメイも来年入学試験受けるんだっけ?どんなところって...そうだな一言で言えば実力主義の教育機関だな」


「実力主義...?」


「ああ、力のないやつや適応できないやつは置いていかれる。だが逆に課題や実技演習等で成果を出せばそれ相応の報酬や待遇を用意してくれる。なかなか面白いところだぞ」


「そうなのね。もっと詳しく教えて」


「ああ、いいぞ」


その後アイリスが学校のシステムやどんなことができるのかなどの説明を詳しくしてくれた

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