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序章 〜庭園の中のアリス〜

 国の中心に王族が暮らす立派な王宮がある。

 そして、そこにある庭園は王宮の倍以上の広さがあり、どこからでも王宮が一望できるようになっていた。

 

 この時期の庭園は背丈の揃った緑々(あおあお)しい木々が余すことなく並んでおり、均等に切り揃えられた草の絨毯(じゅうたん)と黄色や赤や薄桃色などに芽吹いた花々が海原のように広がっている。

 もう少し季節が進めば向日葵が太陽と共に庭園を照らし、それが終われば秋桜が愁嘆(しゅうたん)を感じさせるように揺れる、その次は深々と白だけが溶け込む世界になるといった、季節の移り変わりを表している庭園だった。


四季の庭園(セゾン・ジャルダン)』とも呼ばれる庭園は、ここセトレニア国の名所でもある。

 そんな『名所』と言われる庭園だが、王宮内に存在する庭園であることには変わりがない。となると、一般市民がそう立ち寄れる場所でもないので、市民からすれば名所と言うよりは難所であり、憧れの庭園でもあった。


 一般市民にはあまり知られていないが、『四季の庭園』の片隅には、四本の猫足がついた白く丸いテーブルと、同じように白く猫足になっている椅子が二脚添えられたアンティーク調のビストロセットがぽつりと常設されている。

 その一角は、王宮の人々の間では『アリスの茶会(ル・グテ・ド・アリス)』、通称『アリス』と呼ばれていた。

 小さく隅の方にあり王宮から独立されたような異世界感からと、いつだったか誰かが言い始めそれが広まった。


 立派な庭園の隅でわざわざ王族がお茶をすることもなければ客人をここまで招くこともないので、アリスは主に王宮の使用人が使う場所だった。


 それでも王宮の中心地からは遠すぎるため、使用人ですらあまり使用しない。

 

 ──ただ、二人の男女を除いて。


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