「不明」~始まりの物語~(序章) ep9
シロは父親の言葉を胸に刻み込み、思考を巡らせた。シロは父親に対する怒りと憎しみの渦中にあるなか、再び真実を探ろうと決意した。
「あの日、クロちゃんが…」シロは声を震わせながら思い出を語り始めた。「村が襲われたとき、クロは私の側にいた。私たちは一緒に逃げようとしたけれど、兵士たちが突然現れて、クロを捕まえたの。私は必死に抵抗しようとしたけれど、彼らの力には到底敵わなかった。」
シロの目からは涙が溢れ出していた。「その時、父さんが兵士たちの後ろにいたんだ。確かに見たけれど、私は恐怖と混乱の中で、何が本当か分からなくなってしまったの。」
父親は深く息を吐き、静かに話し始めた。「シロ、あの日のことをもう一度よく思い出してくれてありがとう。実は、あの兵士たちは私が反乱分子と見なされ、私たち家族を処罰しようとしたのだ。クロを守ろうとしたが、彼女は兵士たちの手にかかってしまった。私もその場で抵抗しようとしたが、力及ばずだった。」
シロは父親の言葉に耳を傾けながら、徐々に心の中で葛藤が和らいでいくのを感じた。しかし、完全に父親を信じるにはまだ時間がかかりそうだった。「じゃあ、誰がクロを…?」
「それを明らかにするために、私たちはもっと調べなければならない。」父親は静かに言った。「私は君たちを守るために何でもするつもりだった。今もそうだ。クロの死の真相を明らかにし、彼女のために正義を果たさなければならない。」
シロは深呼吸し、決意を新たにした。「わかった、父さん。私は真実を知るために一緒に戦う。クロのために。」と表面上はそう決意したが「もし、あなたが殺したと分かった瞬間…あんたを殺す!」と同時に決意を固めた。
数日後、シロと父親は情報を集めるために動き始めた。母親も協力することになったが、今はどうでも良い。すぐに発覚さえすれば、殺す理由が出来るのだから。シロは村の人々に聞き込みをし、過去の出来事を一つ一つ紐解いていった。その過程で、シロは幼い頃からの友人、アンナという名の少女と再会した。シロは懐かしさを感じ「アンナ、久しぶりだね」と言い「シロちゃん!久しぶりだね!」と再会を懐かしんだ。アンナは「シロちゃん…ここに来たのは何か理由でもあるの?」とシロの表情から何かを読み取っていた。「うん…私のクロちゃんが何者かによって殺されてしまったんだ…」シロはまだ、クロが殺されたことによる悲しさが残っていた。「そうなんだ…それはお気の毒に…妹が亡くなって辛かったね」と友人としてシロを慰めた。アンナは続けて「シロちゃんは、妹の無念を晴らしたいの?」と聴いた。
シロは反応して「もちろんだよ!絶対にクロちゃんの無念を晴らして、あの世で幸せになって欲しいだ」と決意を表した
シロにとってアンナは、唯一信頼できる心の支えであり、共にクロの死の真相を追求することを誓った仲間である。シロは「アンナ…ありがとう」と心の中で感謝をした。
「そうだねシロ、私はあなたを信じている。私たちなら妹さんの無念を晴らせる。」アンナは優しくシロの手を握りしめた。シロはアンナの温かさに触れ、少しずつ心の傷が癒えていくのを感じた。「アンナ…あなたのおかげで、私は強くなれるよ…一緒にクロちゃんの無念を晴らそうね」と、二人は互いに支え合いながら、過去の謎を解き明かすことを決めた。
2日後、シロはアンナにそっと打ち明けた。「アンナ、私はあなたが好きなの。ずっとそばにいてほしい。」アンナは微笑み、シロを抱きしめた。「私もよ、シロ。あなたと一緒にいられることが、何よりも幸せだよ。」その瞬間、シロは初めて心の平穏を感じた。クロの死の真相を解き明かし、彼女の魂を安らかにするために、シロは全てを懸けて戦うことを誓った。
そして、シロの過去はここで終わることになる。
シロはここまでの過去を思い返してみて、もう一度心を痛めることになってしまったが、今では、もう一人の「クロちゃん」がいるから大丈夫と心を保っていた。