「不明」~始まりの物語~(序章) ep8
シロは村での出来事を冷静に思い返してみた。あの日、突然村を襲った兵士たちの姿、そしてクロが殺された光景が目に焼き付いて離れない。妹のクロが命を落としたあの瞬間、シロは何もできなかった自分を責め続けていた。
シロは「やはり、あなたが殺したとしか思えない…」と父親に自分の後悔を責任転換しようとしていた。父親はそれでも「さっきも言ったはずだ、娘を殺すほど愚かではないと。自分が何を言っているのかもちろん分かっていた。自分はシロの手で殺されるのであれば嬉しいことである。今までの「教育」のことを考えれば、そのようなことで恨まれるならまだいい方だ。しかし、妹が私の手で殺されていると勘違いしているのであれば、自分はシロに真実を明かせなばならない。父親は、どうしても「真実」を明かさなければならない責任があると感じていた。「シロよ、もう一度、冷静にあの日のことを思い出して欲しい。思い出したことを、そのまま言葉にして伝えてほしい」と冷静な立ち振る舞いでシロの目を真っすぐ見つめた。
シロは父親の目から発せられる眼差しが嘘でないと信じ、今一度、村が襲撃された日のことを鮮明に思い出した。
あの時、父親は確かに兵士たちと一緒に現れたが、彼の顔には戸惑いと悲しみが混じっていた。兵士たちがクロを捕らえようとしたとき、父親が彼女を守ろうとしたのを目撃したのだ。その瞬間を思い出し、シロは自分の記憶に確信を持てずにいた。
もし、父親の言葉や行動が真実であれば、何か大きな誤解があるのかもしれない。シロは深呼吸し、父親に再度問いかけた。「本当に、クロを殺したのはあんたじゃないの?」父親は深い溜息をつき、目を閉じたまま語り始めた。「シロ、私はずっと君たちを守ろうとしていた。クロが死んだのは私のせいではない。しかし、真実を知るためにはもっと多くのことを話さなければならない。」
シロは動揺しながらも父親の話に耳を傾ける決心をした。彼女の中で、怒りと悲しみが新たな希望に変わっていくのを感じた。真実を知ることで、シロの復讐心が和らぐかもしれないと、彼女は心の中で思った。
だが、シロの考えは一貫して「お前を殺す…私のクロちゃんを殺した下等生物と一緒に葬ってやる…」