「不明」~始まりの物語~(序章) ep4
シロ女王は、咲楽を城の内部を案内することにした。咲楽は夢にみた城生活に憧れており、ついに出来るんだと胸をワクワクさせていた。そんな咲楽の表情をみていたシロ女王は、時折懐かしむような表情を見せていた。だがシロ女王にとっては悲しい出来事にしか見れなかった。
シロ女王はクロ皇太妃という妹と両親の4人で暮らしていた。妹は咲楽のようにいつも城での生活に憧れを抱いていた。クロは美しいドレスでドレスアップして、シロみたいにかっこいい女性になりたいと常日頃から思っていた。両親は仕事の関係上、シロと一緒に過ごしていた。シロは次期女王として、両親から厳しい教育を受けてきた。そこはただひたすら両親からの厳しい監視のもと、貴族との交流を深めるだけであった。シロは貴族の目から発せらる、金、名誉、そして身分という物を狙っている目つきに恐怖を感じていた。シロは貴族との交流後、机に置いてあった貴族からの手紙を暖炉の燃料に活用した。シロは上級貴族と呼ばれる貴族社会のトップに当たる地位の人間を「下等生物」という言葉がお似合いだと感じており、そんな目つきを見るぐらいなら、いっそのことあの世に送り出しておけばよいと考えていた。シロは妹に似たぬいぐるみに向かって「クロちゃん♡♡…私が下等生物というゴミから絶対に守り切って見せるからね…好きだよ、クロちゃん♡♡♡♡…」。一方、クロは家政婦と一緒に遊ぶなり勉強などをして、自由気ままに生活をしていた。クロはいつも姉と一緒に遊びたいと思っていたが「ごめんねクロちゃん…またベットで遊んであげるからね」といつも遊びを断っていた。でも、クロはシロが忙しいことを理解していた。それでも、シロがいつも疲れた表情で帰ってくるので、心配な気持ちであった。
そんなある日、シロは今日も両親からの教育で疲れ果てていた。シロは妹のように自由に遊びたい気持ちが強かったが、そんな気持ちを表に出したら両親からどんな仕打ちを受けるのか、恐怖のあまり考えたくもない気持ちだった。そんな姉の姿をみたクロは姉に対して「ねえ、シロ姉さま…城での生活は楽しいの?」シロは妹の純粋な瞳から発せられる光を直視が出来ず「ええ、もちろんよ…クロちゃんが大きくなったら一緒に楽しもうね」と嘘をついてしまった。シロは妹の純粋な気持ちのせいで、嘘をつくたびに心を傷つけていた。シロは妹をこんな目に合わせないと心に誓っていた。もし妹がこの貴族社会の現状を知ったら、きっと絶望のあまり天国に行こうとするかもしれない。それだけは、防がなきゃいけない、それが私の使命でもあるのだから。しかし、運命は残酷な出来事しかもたらさない。