ホムンクルスを売る魔女 ~孤独を嫌う者~
人間をあげよう。
君に便利な人間をあげよう。
なんでもいう事をきいてくれるよ。
人間を作っているんだ。
余っているから。
格安で売ろうか。
ある日、怪しげな老婆の魔女が目の前に現れた。
そばに誰もいなかった私は、ほしいものを売っているその魔女の言葉に耳を傾けた。
無理に売りつけようとしないその言葉にのせられて、私は人間を買った。
小銭三枚分の値段。
それが命の値段だった。
売られてきた人間は、従順だった。
こちらに逆らわない。
文句を言わない。
余計な事はしない。
私を一人にはしない。
意思のある生き物じゃないけれど満足だった。
ずっとそばにいてくれるなら。
ただ離れないというだけで、救われる。
偽物でもかまわない。
心が無くても。
孤独が怖い。
私は不死だ。
死なない。
人に興味がない。
完全に一人きりの存在だった。
誰かと一緒にいたいと思わないのに。
けれど孤独が怖い。
矛盾していた。
だから人ではない誰かに傍にいてほしいと思った。
けれど、普通ではない人間が見つかったとしても、人間は不死ではないから。
長くは生きられない。
だから、ずっとそばにいてくれる存在が、死なない必要だった。
いつか死ねるその時まで。
いつか死ぬ方法を探し出すその時まで。
一人で生きたくはないから。