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「第五十七話」確信

(アリーシャ視点です)

 後方から、空を覆い尽くす青い光が炸裂する。


 衝撃、轟音。私の五感を叩きつけるように刺激するそれは凄まじく、吹き荒れるような爆風を呼んだ。それは私の背中を押す追い風であり、身体に籠もった熱を攫っていく涼しく優しい風だった。


(グリシャ……!)


 恐らく彼が上手くやってくれているのだろう。だが、本人が使いたくないと言っていたあの攻撃を使ったということは、思っていたよりも状況は切迫しているらしい。きっと彼がそうしなければいけないような要因が、彼一人ではどうにもできないような脅威が……今も尚彼に牙を向いているに違いない。


 ──だからこそ、私は止まる訳にはいかない。

 ここで私が引き返して彼を助けに行ったところで、こちら側へのメリットは何もない。寧ろ相手側の思うつぼ……大本命である私を守るために囮になったグリシャの苦労は水の泡、それどころか私まで捕まり、その結果全滅という可能性もありうる。


 それだけは、駄目だ。

 誰かが勇気を以て起こした行動……その結果得られたかもしれない結果を、踏みにじるような冒涜だけは、してはいけない。──ゼファーだって私に託してくれた。だからこそ、私は渡されたバトンを握りながら、今も必死に走っている。


 それが無様だとしても、どれだけ周りから見て惨めで……どう足掻いても不可能だと分かるようなことでも、私は走らなければいけない。


(もう少しだけ待ってて。私が絶対、シェバルをぶっ飛ばすから……!)


 全力で魔力探知を行いながら、あの独特な魔力の流れを探す。一体何処にある? そこまで時間は経っていないし、絶対に近くにいるはずなのに……それでも、いない。まるで、初めからそこにいなかったように……一切の魔力を感じさせないように。


 ……いいや、待てよ。

 もしかして、そういうことなのか?


(……! 見つけた!)


 やはり、そういうことだった。

 探知した魔力の中で最も貧弱、もはや無に等しいそこに向かって、私は確信を持って走り出した。




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