表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/29

第十二話 力を得る

「あの男なんだったんでしょうね? 不躾にも主人に銃を向けるなんて身の程知らずもあそこまで行くと滑稽です!」


「はは、そうかもね~」


 レナのあまりに過剰すぎる評価に驚きつつ、俺はあの男のことを再び考える。

 どうして彼は組合に入って早々俺に狙いを定めたのだろう。


 何か彼の感情でも刺激してしまったのだろうか?

 それか何か間接的に彼に迷惑をかけていたとか?


「いくらなんでもいきなり銃を向けられるのはびっくりしたけど、ネヒリさんがいてくれて良かったよ」


 もし彼女がいなかったら、俺は今頃どうなっていたかな。

 組合の床に汚れをつけていたか、それとも彼に反撃して壁に穴を開けていたか。


 どっちだろう。

 少なくとも、生きてはいない気がする。


 口を開けば殺す。

 不審な動きをすれば殺す。


 そう。

 暗に言われていた。


 と、思っている。

 彼の銃の突きつけ方は、実に脅し慣れている。そんな雰囲気があった。


「私も助けようとしてしましたよ、主人! 少し! ほんの少しだけ彼女の方が……えっと……そう! 距離が近かったと言うだけで、本当は私が颯爽と助けていましたとも!!!」


「そ、そう?」


「はい! そうですとも!」


 距離の問題なのだとすれば圧倒的にレナの方が近かったと思うけど、そこにツッコんだら彼女を傷つけかねないのでやめておく。

 ネヒリさんは受付にいたので彼女の前にはカウンターがあり、かつ、レナよりも距離は離れていた。


 間に割り込むのなら、レナの方が早いはず。

 なのに、彼女はあっという間にあの男の妨害を行った。


 彼女の動きは、俺には分からなかった。

 音もしなかったし、気配の動きもしなかった。


「というか、いつもネヒリさんの気配ってしないような……」


 今考えてみれば、いつも彼女を認識するのは視界に入ってからだ。

 見えるからそこにいる。そこにいるんだと、認識できる。


「いや、別にレナも見ないと分からないか」


 少し強者のような発言をしてみたが、今思えば見えないのに誰かを認識した事なんて一度もない。

 ネヒリさんが~というか、俺の問題な気がしてきた。


 単に自分の危機感がないだけだ。

 ……。


 自分で言ってなんだが、むなしくなってきた。

 どうして、自分の欠点をわざわざ思い出させるんだ。


 言われなくても分かってる。

 嫌というほどに、分かりきっていた。


「そうですか?」


 しかし、俺の考えをレナは首をかしげながら問う。

 本当にそうなのかと、訊いてきた。


「いや、だって昨日、レナが見つけたゴブリンだって俺は分からなかったよ。その辺、危機感がないと思うんだよね」


「でも、主人は私のピンチに気づいたじゃないですか」


「だって、それは君が……」


 レナは何もしていない。

 彼女は別に助けを求める声など出していなかったし、彼女があそこで戦闘をしていて金属音がしていたわけでもなかった。


「私は彼らに組み伏せられていました、ろくに動けず助けを呼ぼうともあまりの恐怖で体が動かなかったんですよ? それなのに主人は気づいた。それのどこが危機感がないと言うんですか!」


 今思えば、どうやって俺は気づいたんだ。

 あんな暗闇、しかも路地の奥にいる人だぞ。


 耳を澄ましてでもいない限り、音だって聞こえない。

 目をこらしたぐらいで、あんな暗闇見えるわけないじゃないか。


 なら。

 どうやって、俺はレナに気づいたんだ?


「あのときの主人は、間違いなくドラゴンすら屠れる力を感じましたよ?」


「…………何か、あるのかもしれない」


「何か?」


 だって、いつもの僕はそんな強くない。

 大量の懸賞金をかけられている人間を倒せるほどの力があるわけないし、昨日の夜だってアクラムを一撃で気絶まで持っていけるほどの俺にある???


 そんなわけない。

 なにか、俺が力を手に入れているきっかけがあるはずだ。


「……レナか」


「ん? 私がどうかしましたか?」


「もしかしたら、レナがピンチになったら俺は力を手に入れるのかも……」


 状況的に考えれば、正しい。

 俺があの強力な力を手に入れて、そして使っている状況にはどちらにもレナが関わっているし、どちらもレナがピンチの状況だ。


 片方が襲われている。

 もう片方が、アクラムという凶悪な相手と戦闘をしている。


 レナがピンチの状況だけ、力を得られる?

 仲間が危ない状況だと、助けないとという心が働き想像も絶する力を使える……ってことなのか?


 だとすれば、納得はいく。

 あの状況に合致するし、俺が今まであれほどの力が使えない理由も分かる。


「レナ、危ないかもしれないけど道中でモンスターを見つけたら試していいかな?」


「大丈夫ですよ! 私は主人の手足、捨て駒として使われようと文句は言いません!!!」


「いや、そこまでするつもりは毛頭ないし、もしレナが怪我をするようだったら遠慮な戦って良いよ」


 レナがピンチな状況を作りつつ、比較的安全にその状況を脱せられるようにしなければ。

 その辺は少し頭を使えば良い、幸運なことに知識だけならこの脳みそに詰まっている。


 探索の依頼についでにちょっと実験といこう。

 俺が、アクラムに勝てるほどの力を得る方法の実験だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ