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ここは俺が対処しないと。再び現れた悪魔に向かって一歩ずつ近づきながら話しかける。
「また来たのか。俺はルール通りにしか行動していないのだが?」
「またお前か!!ありえねぇくらい莫大なエネルギーを持って行きゃがって!!今度はどんなズルをしやぎゃった!?」
「だから、俺はルール通りにしか行動してないぞ。ズルなんてしていない。」
「ふざけんな!!何があった!?ボーナスポイント!?何で今更ボーナスポイントが出てくるんだ!?」
「何をやったか分かるのか?でも、そういうスキルがあればボーナスポイントだろうと取得できるってルールだろう?」
「スキル!?【スキルリセット】!?こいつか!!何でこんなスキルで大量のボーナスポイントが!?まあいい。【スキルリセット】でのボーナスポイント取得は禁止だ!!」
「はっ!?ふざけんな!!何勝手を言ってやがる!!それこそルール違反だろうが!!」
「何を!?俺様がルールだ!!」
やはり悪魔は俺たちの邪魔でしかない。こいつだけは始末しよう。対策は昨日考えた。今ならできる。
「お前はここでしとめる。スキルの取得を宣言する。【デモンスレイヤー】。自身の持つスキルが悪魔にも有効となる。」
『スキルを取得しました。
スキル名 :デモンスレイヤー
発動条件 :常時発動。
発動対象 :自身。
スキル効果:自身の持つスキルが悪魔にも有効となる。
消費リソース:なし。
消費ボーナスポイント:300』
「なっ!!そんなスキル取得できるわけがっ!!くそっ!!」
悪魔が叫んだかと思うと、視界が変わった。転移した時の感覚だ。
全く光が無く前後不覚となるような真っ暗な空間に転移した。だというのに、悪魔の存在だけははっきりと視認できる。
「何でお前まで魔界に来れる!?」
悪魔が驚いている。
「【転移巻き込まれ体質】のせいだな。それよりも。【マーキング】、1000番。【ロックオン】、1000番。【ステータス】。」
いきなり【自滅】なんて使わずに【ステータス】で効果を確認する。
『契約の悪魔
HP 3.0E10/3.0E10
MP 2.5E10/3.0E10
SP 2.9E10/3.0E10』
成功だ!!
これは正に桁違いのステータスだ。まともに戦っても勝てる気がしないが、俺には関係ない。連続してスキルを行使する。
「何をした!?【マーキング】!?」
「遅い。【ロックオン】、1000番。【自滅スキル発動】。」
「ギャアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
悪魔が耳をつんざくような悲鳴をあげた。断末魔の叫びとはこのことだな。悪魔の存在感が薄くなり、体が透けて半透明になった。蹲り震えている。
それにしても凄いステータスだったな。「3.0E10」は3の後に0が10個だよな。一、十、百、・・・、3百憶か。それが今は、
『契約の悪魔
HP 0/3.0E10
MP 5000/3.0E10
SP 0/3.0E10』
HP、MP、SPが全て0になったが、MPだけは1秒に1000ずつ回復している。
HPがゼロの今なら倒せるだろうか。苦しみ悶えているし、今ならいけるか?
ナイフを持って悪魔の体に突き立てようとしたが、半透明となった体をすり抜けてしまった。
駄目だ。これじゃあ殺せない。
悪魔はというと、まだ悶絶中。まだしばらくは動けなそうなので今のうちにどうするか考えよう。
物理的な攻撃は効きそうもない。かといってこの悪魔だけは見逃すことはできない。この場で絶対に何とかしてやる。
そうなるとボーナスポイントを使って新しいスキルを取得するしかないのだが、どうやったら悪魔が倒せるだろうか。火とか水とか、そういう物理的な攻撃では効きそうもないぞ。
では聖属性的な?・・・駄目だな。聖属性攻撃が存在するなら効きそうだとは思うが、確実性が無い。失敗したら無駄にボーナスポイントを消費してしまう。もっと直接的な効果が設定可能なスキルがいい。
「【ボーナスポイント計算】、HPがゼロになった悪魔にトドメを刺すスキル。」
『取得できません。』
取得できないとはどういうことだろうか。そもそも悪魔は殺せるのだろうか。何だか概念的な存在の様に想えて殺せる気がしないんだよな。
殺せないなら封印とかかな。封印された悪魔が物語で定番なのは、悪魔は殺せないからなのかもしれない。
・・・よし。封印を試そう。




