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結論から言おう。西東は死んだ。


熱を出している水上さんが無理して西東の元へと来てくれたのだが、西東の命はそこまで持たなかった。腕が一本食いちぎられていて出血量が多過ぎた。水上さんがもっと速く駆けつけてくれれば、なんて言う奴はいなかったし、俺がもっと早く助けに言っていれば、と言われることもなかった。


西東が勝手に暴走した。自業自得だ。そう割り切れればいいのだが、そうもいかない。みんな沈痛な面持ちでいる。



空気が重い。耐えられない。

はぁ。まさか西東のために使うことになろうとは。



「【ボーナスポイント計算】、スキル名【転移者蘇生】、発動条件、【リザレクション】と発声後に対象の名前を発声。対象は1ヵ月以内に死亡した転移者限定。効果は対象者の蘇生。身体状態は正常に戻る。正常とは、病気、毒などの状態異常が無く、身体の欠損も無く、精神の異常も無い状態。」



『スキル名 :転移者蘇生

 発動条件 :「リザレクション」と発声後、人名を発声する。

 発動対象 :指定した人物。転移者限定。30日以内に死亡

       していること。

 スキル効果:対象者を再創造する。

  身体状態:死亡時点から遡り大きな怪我・病気・毒の無い

       時点に戻る。

       最長死亡時点から72時間前まで遡り可能。

  記憶  :死亡時点から遡り死亡の恐怖による障害が残ら

       ない時点の記憶に戻る。

       最長死亡時点から72時間前まで遡り可能。

  スキル :失われる。

 消費リソース:MP(100ポイント/1回)。

 消費ボーナスポイント:100』



このスキルは青柳さんが死んでいるのを知った時に考えたスキルだ。その時には取得できなかったが、死後30日間有効なので後々使えるようになるかもしれないと考えていたが、今ならできるかもしれない。今の状況にぴったりのスキルだと思ったが、スキルが失われるのは拙いな。西東が納得するはずがない。対策スキルを考えておこう。



「【ボーナスポイント計算】、スキル名【転移者スキル復活】、発動条件、スキル名発声。対象は30日以内に死亡した転移者の所持していたスキル。効果は対象のスキルの復活。」



『スキル名 :転移者スキル復活

 発動条件 :スキル名を発声する。

 発動対象 :自身。

 スキル効果:30日以内に死亡した転移者が所持していたスキルが

       消費ボーナスポイント半減で取得できる。

 消費リソース:MP(100ポイント/1回)。

 消費ボーナスポイント:50』



スキルの内容が俺の想定と大分違う。が、悪くはないか。これだったら。



「【ボーナスポイント計算】、スキル名【スキル譲渡】、発動条件はスキル名発声後、譲渡したいスキル名を発声する。対象は目視中の人物。効果は自身が持つ指定したスキルを一つ、対象に譲渡する。」



『スキル名 :スキル譲渡

 発動条件 :スキル名を発声後、対象とするスキル名を発声する。

 発動対象 :スキル発動時に視認している人物。

 スキル効果:自身は指定したスキル一つ失い、対象は指定したスキルを一つ取得する。

 消費リソース:MP(50ポイント/1回)。

 消費ボーナスポイント:20』




よし。ボーナスポイントは【転移者蘇生】で100、【転移者スキル復活】で50、【スキル譲渡】で20。それから、【時間加速】の取得で50。220ポイントで足りる。


俺の切り札、【寄生虫】スキルは11日目の今朝、スキル上限の999から他のスキル14個を引いて985個まで増えたはずなので、狙い通りに【スキルリセット】でボーナスポイントに変換できれば985ポイントになるはずだ。



「いける。」


「大和君?何をするつもりなの?」



美咲さんが心配そうに尋ねてきた。



「俺の呟きを聞いていたなら分かると思うけど、西東を蘇生しようと思っているんだ。俺の切り札を使ってね。」


「そんなことできるの?」



スキルの話をした初日には1個しかなかった【寄生虫】スキルが2個、4個と増えて切り札と呼べるまで増えてくれた。今ならできる。




「俺の切り札が想定通りに機能してくれれば理論上は可能なんだ。切り札をこんなところで使う羽目になるとは思ってなかったけど、たぶん今日使う運命だったんだと思う。みんなが西東とこのままお別れで良ければ使わないけど。」


「可能性があるって聞いちゃったらお願いしちゃうよ。」



まあそうだろう。それが普通の感性だと思う。クラスメイトが死んで、蘇生する手段があるのに使わないなんて選択はそうそうないだろう。



「リスクもある。みんなで森の外に転移しようとした時と同レベルかそれ以上のチート行為だから、また悪魔がやってくるかもしれない。」


「悪魔が?そうなの?悪魔に大和君が殺されたりしないよね?」


「ルール内での行動だからあいつに邪魔される謂れはないけど、因縁はつけられるかもしれない。でも一応対策は考えてある。それに、悪魔が来る”かも”ってだけで西東を見捨てることはできないでしょう?」


「うん。そうだね。大和君、お願いします。西東君を救ってください。」


「了解。」




さて、やりますか。



「【スキルリセット】、【寄生虫】。」



脳内にアナウンスが流れる。



『【寄生虫】を全てロストし、ボーナスポイント985を取得しました。』



成功だやっぱり全てロストか。スキル作成時に対象とするスキル数を指定できるようにしなかったのは失敗だな。任意個数でできればもっとよかったのに。

さて、悪魔は来るかな。



注意深く辺りを覗う。

来たっ!!悪魔の姿が突如として現れた!!



「何やりぎゃった!!」



突然現れた悪魔が喚いている。みんなは本当に悪魔が現れて凍り付いたかのように動けないでいる。ここは俺が対処しないと。悪魔に向かって一歩ずつ近づきながら話しかける。



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