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異世界11日目。


『スキル取得数が上限の999に達しました。』


「っ!!」



最悪の目覚めだ。突然の脳内アナウンスに思わず叫ぶところだった。

ホームの施設である照明の常夜灯の薄っすらとした明りの中で、体を起こして周囲を見る。誰も起きていないのか。いや、七菜さんは起きているようだ。


七菜さんに目配せして廊下の隅へと移動した。



「ごめん。起こしちゃった?」


「いえ、少し前に起きて好きな人を見つめてました。すみません。」


「そ、そうか。ならいいんだ。」


「起き方が妙でしたが何かありましたか?」


「ははっ。見られちゃったか。実は脳内アナウンスがあってね。びっくりして起きた。」


「脳内アナウンスですか?」


「うん。スキル取得数が上限に達したらしい。」


「スキル取得数の上限ですか?」


「意味わからないよね。えっと、俺のスキルに【寄生虫】という状態異常扱いのスキルがあってね。定期的に自分のHPに攻撃してくるスキルだけど、【ギャンブル体質】のHPへのダメージ0で無効化してるんだ。このスキルは日の出と共に増殖する効果もあって、今朝、増えすぎてスキル取得数が上限に達したみたい。」


「何があったかはなんとなく理解しました。どうしてそんなスキルを取得したのですか?」


「俺のスキルって想定外の動作をしたら拙いデメリットスキルが多いでしょう。当然、対策スキルを持っていて、それが【スキルリセット】。使うと指定したスキルが失われて、ボーナスポイント1に還元されるスキルなんだ。ボーナスポイント1で取得したデメリットスキルの取り直し用で便利だったんだけど、これを増殖するデメリットスキルと組み合わせたらって考えたんだ。面白いでしょう?」


「増殖するスキルとスキルリセット。それは、すごいですね。」


「ボーナスポイントの無限増殖。でもそれが今朝ストップして、そのアナウンスで起こされたんだ。」


「それで様子が変だったのですね。でも、ボーナスポイントの増殖なんて本当に出来るのですね。」


「まだ試してないから分からないけど、昨日【ボーナスポイント計算】していたら初日はできなかったボーナスポイント100以上のスキルが計算出来たんだ。多分だけど俺の所持スキルの合計評価が増えたからだと思う。」


「それなら確かに期待が持てますね。でも、なんだかまた悪魔がやってきそうなくらい強力な効果ですね。」


「そうなんだよ。俺も悪魔がやって来る可能性は考えてる。昨日計算してたのはその場合の対策なんだ。一応案はできたけど、またみんなを巻き込むのは悪いなと思ってる。」


「悪魔をも焦らせる大和さんが私は頼もしいと思っていますよ。大和さんの思うがままにやってみてください。ついていきますので。」


「そう言ってもらえると嬉しいよ。ありがとう。」




七菜さんと話せて良かった。スキル数が上限に達したなら【寄生虫】はもう取っておいても意味がないスキルだ。今日が【スキルリセット】を試すべき日なのだろうと思った。


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