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拠点に戻り米と小麦が買えたことをみんなに報告した。日本人なので米にはみんな喜んでいた。今日の夕飯で早速炊いてみるそうだ。米の炊き方については「始めちょろちょろ、中ぱっぱ、赤子泣くとも蓋取るな」という言葉を聞いたことがあるが、俺は意味を理解していないのできっとコツがいるんだろうなという程度しか分からない。だが七菜さんに任せておけば大丈夫だろう。
買い出し前に模擬戦で負かした西東はというと、見事に拗ねていた。体育座りで小さく丸まっている。チーム西東の男子二人(田辺と板野)が少し前までは慰めていたそうだが、二人はもう諦めて西東から離れてしまっていた。俺が声を掛けても傷口に塩を塗るようなことになるだけだろうから、西東には近寄らないでおこう。
熱を出した日下部さんは薬のお陰で少し楽になったそうだが、まだ回復していないため寝かされている。チーム西東の紅一点、水上さんが付きっ切りで看病している。水上さんはスキルが【回復魔法】なので適任だし、チーム湾藤の紅一点だった日下部さんにシンパシーを感じているのもあるのだろう。
ハーレム構想があるチーム俺には混ざり難いだろうし、チーム玉田の女子グループからは水上さんも日下部さんも前から移籍を持ち掛けられていたが断っていたそうなので、そちらとも気まずいだろう。水上さんが日下部さんの看病についているのは他に居場所が無いという理由もあるように思う。
西東や日下部さんに近付かないように洞穴の入り口付近で雨を見つつ休憩していると、美咲さんとソフィアさんがやってきた。
「大和君!お米ありがとうね!」
「いつもの飴を卸している店で買えちゃったんだよね。店頭に無いから無いと思っていたけど、店の奥に置いてあったんだって。もっと早く聞いておけばよかったよ。」
「大和君がお店の人と親しくなったから買えたんだよ。」
「そうかな。」
「そうだよ。」
美咲さんがそう言ってくれるならそんな気がしてきた。俺の今までの活動の成果だということにしておこう。
「それでね。本当は私とソフィアちゃんで大和君を誘惑する予定だったんだけど、日下部さんの具合が悪いのにそんなことしていられないから延期になっちゃったの。ごめんね。」
「誘惑・・・。どんなことされちゃう計画だったんだろう。」
「美咲ト二人デ左右カラ抱キツキ。」
「いつもありがとうって。」
「頭ヲナデナデ。」
「抱きついて、撫で撫で・・・。なんて恐ろしい計画なんだ。抗える自信がないよ。」
「でも延期なんだー。」
「延期ということは中止ではなく、時が来たら実行されるんだよね?」
「うん。」
「そのっ、美咲さんはそれでいいのかな?」
「なでなですること?日頃の感謝を込めてだから勿論いいよ。」
「いや、ハーレムのこと。」
「うーん。ハーレムってよく分からないけど、一人の男性が複数の女性を養うことだよね。勿論私たちも協力はしてきたつもりだけど、実質は私たち全員を大和君が養ってくれているような状態だと思うの。大和君が嫌じゃ無ければこれから先もお願いしたいなぁなんて、我儘かな。」
「経済面とか生活面については勿論協力するよ。でも、男女の関係ってそれだけじゃないでしょう。俺は美咲さんが好きで、美咲さんとは男女の関係になりたいんだ。」
「私も大和君のことが好きだよ。」
「えっ、そう。ありがとう。」
「私モ。私モ。ヤマト好キダヨ。」
「ソフィアさんもありがとう。」
「結婚なんてずっと先のことだと思っていたけど、今は大和君がいない未来なんか考えられないなぁって思ってるの。経済面じゃないよ。今の生活は大和君と未来を切り拓いていくみたいでドキドキワクワクする。何かあっても大和君がいると安心する。大和君と一緒にいたいって思う。たまには体を触れあいたいって思う。そこに雪ちゃんや七菜ちゃん、ソフィアちゃんに華ちゃんも一緒だともっと楽しいと思うの。」
「えっと、6人で体を触れ合いたいって理解でいいのかな?」
「違うの!ごめんなさい。順番が悪かったね。触れ合う時は二人だけがいいかなって思うの。」
「美咲顔ガ真赤ダヨ。ミンナデ裸ノ付キ合イモ、良イト思ウケド。」
少なくとも最初のうちは俺も二人だけがいいと思う。しかし、急に生々しい話になってしまったな。だがここは避けて通れないところだ。
「美咲さんは俺が他の人と二人っきりで裸の付き合いをしていてもいいの?」
「誰でもは嫌だよ?家族だけ。」
「それは、その時は、美咲さんはどんな気持ちでいるのかな。」
「気持ち?うーん。たぶん、大和君が家族を幸せにしてくれて良かったって気持ちかな。」
「美咲さんの愛の広さが成せる業か。みんなも同じ気持ちでいてくれるのかな。」
「そっか。大和君は女子同士の嫉妬が怖いんだね。」
「まあそうだね。俺が全員を満足させてみせるって、言えたらいいんだけど、そこまでの自信はない。」
「私も協力するよ。」
「ありがとう。」
「私モ協力スル。」
「ソフィアさんもありがとう。それなら大丈夫かな。5人まとめて俺についてきてくれ。絶対に幸せにしてみせる。」
「いいの?本気にしちゃうよ?不束者ですがよろしくお願いします。」
「ヤマト、格好イイゾ。」
言ってしまった。今のが俺のハーレム宣言となる。他の3人にも改めて言わないとな。
「嬉しいけど、こんな話をするつもりじゃ無かったのに。日下部さんごめんね。」
美咲さんが外に出ていたので【ホームへの扉】は消えてしまっていた。当然中に入っている日下部さんに声は届かないのだが、心の中の謝罪なのだろう。




