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小田さんを宿まで送り届けて拠点に戻ると、夕飯が準備されていた。

合流した全員が洞穴に設置した魔道具の炎を囲むように座っていた。俺の席も美咲さんの隣に用意されていたのでそこに座る。

どうやらこの場は美咲さんが仕切ってくれているようだ。



「調度大和君も帰って来たので夕飯にします。大和君、一言お願いします。」


「ええ!?一言って何言えばいいの?」


「リーダーとしてバシッと決めて欲しいな。」



美咲さんの無茶ぶりにどう応えれば良いのだろうか。



「それじゃあ、昨夜から降り始めた雨で外にいた人達は大変だったと思います。緊急事態と判断したため雨が凌げる場所として俺たちの拠点に来てもらいました。集まった全員が今日を無事に乗り越えられて一安心です。明日以降も問題山積みですが、お互いへの感謝の心を忘れずに乗り越えていきましょう。それでは、夕飯準備してくれてありがとう。いただきます。」


「「「「「いただきます。」」」」」



「いただきます」で締めたため、習慣としてみんなが「いただきます」で応じてくれる。高校生にも「いただきます」を斉唱することになるとは。これが大人なら「乾杯」だったのだろう。



「大和君、ありがとう。」



美咲さんがお礼を言ってくれた。



「挨拶変じゃなかった?」


「大丈夫。夕飯はね、玉田さんたちも手伝ってくれたの。」


「そうか。感謝だね。」


「うん。そうだ。みんなご飯が食べたいって言ってたけど、お米は売ってないのかな?」


「うどんと蕎麦はあったけど、お米らしきものは見当たらなかったなあ。次に行った時に聞いてみるよ。」


「うん。お願いね。」



みんなもそれぞれに会話しながら食事している。賑やかな雰囲気だ。教室で勉強していた頃はこういった雰囲気はあまり好きでなかったのだが、今は何だか心地よく感じる。失って初めて気づく大切さってやつだろうか。



食後はそれぞれがこれまでどうやって生き延びてきたかを語り合った。俺たちが悪魔に出会った話は皆が驚き興味を持った。七菜さんが中心となって話してくれたのだが、俺が大活躍して悪魔を追い払ったことになっていた。そうだっただろうか。



他の人で俺が興味を惹かれたのは玉田さんたち女子4人の出会いの切っ掛けとなった中村さんのスキルだ。その名も【電子地図】。俺の【鳥瞰図】と似たスキルだが、ボーナスポイント100ポイントも注ぎ込まれているためもっと高性能だ。

中村さんの【電子地図】は発動するとA4サイズくらいの板が生成されてそこに地図が表示される。俺のスキルと違い「物」なので他の人に貸し出すことが出来る。

地図上に境界線を表示でき、それによれば森の中はおよそ20m幅の格子状に境界線が引かれている。この森はかなり細かいエリアに分けられているようだ。

モンスターがいる場合は地図上にマークが表示されるため、中村さんはそれを利用してモンスターを避ける事で生き延びていた。中村さんは地図を見ながら移動することで、人が移動するとモンスターが現れることに早々に気づいてしまい、モンスターが怖くて動けなくなったそうだ。

後から検証した結果だそうだが、モンスターは人が新しいエリアに移動すると突如発生する。発生位置は侵入したエリアの2つ隣で、発生確率は検証を重ねたわけではないのでおおよそだが10%程度とのこと。真っ直ぐ進めば確率上10エリアに1回、モンスターがいるエリアを通過することになる。エリアはおよそ20m間隔なので200mに1回遭遇することになるが、モンスターの種類によっては同じエリアにいても気付かれずに通り過ぎることが出来るので、体感での遭遇確率はもう少し少なくなるだろうとのこと。

発生したモンスターは種類によってはエリアを跨いで移動するため、新エリアに移動しなくともモンスターに遭遇する可能性はあるが、移動しなければモンスターと遭遇し難いことがはっきりした。

中村さんの【電子地図】は人がいる場合も別のマークが表示されるため、女子グループ4人の出会いは全て中村さんが【電子地図】で近寄ったことによるものだったそうだ。



西東たちは西東が【時間加速】で速く動くことができたため他の人と出会うことが出来たそうだ。西東の【時間加速】は一度発動すると体感で3時間、実時間で1時間有効で、西東の行動及び知覚速度が3倍になる。物理学の話だが、速度3倍は力9倍になるため【時間加速】中は攻撃力も高いのだそうだ。なかなか優秀なスキルだ。西東の自信はここから来ているようだ。


湾藤たちは俺と別れた後、俺に教わった通りに川へ行って水を確保し、モンスターを倒して食料とし、何とか生き延びてきたそうだ。俺に救われたと思っており、当時の態度が悪かったことを謝っていた。川に出て早々に出会った日下部さんのスキルが【火魔法】だったことで火起こしの苦労が無くなり、その日暮らしながらも何とか生きながらえて来れたが、雨への対策が出来ていなかったことで死をも覚悟していたそうだ。そこで再び俺に救われたので俺に感謝しまくっているらしい。自立してくれるなら気にしなくていいんだけどな。




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