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転移で雪さんと合流。雪さん、美咲さん、ソフィアさん、華さんの4人で昨日話していた樹液取りをしていた。

木にガラスの管が突き刺さっている。ソフィアさんの【錬金術】で作った試験管の底を割って、ナイフで空けた木の穴にそれを差し込んだのだそうだ。試験管を伝って滲み出る樹液をビーカーに受けている。それを複数か所同時にやっていた。


ビーカーに溜まった樹液はあまり綺麗とは言えない。



「雪さん。取れた樹液はそのまま食べられるの?」


「駄目。水かアルコールに溶かしてろ過してから、加熱して濃縮と殺菌する。アルコールの方が風味を損なわないらしい。」


「それが鑑定結果?メープルシロップもそんな感じなのかな。」


「鑑定結果。でもメープルシロップとは違う。あれは最初はもっとサラサラで濃縮すると七菜が言っていた。これはドロドロ。そのままだとろ過できない。」



ふーん。そうなのか。

アルコールに溶かすとなると、確か七菜さんの【創造スキル調味料2】でアルコールが創造できたよな。


【創造スキル調味料1】の方は料理の「さしすせそ」、砂糖、塩、酢、醤油、味噌だ。確かこの順番で使うといいらしい。だが和食で良く使用する調味料でこれに含まれないのが酒と味醂。七菜さんが、味醂は酒と砂糖で代用できるため酒は欲しいと言うことで考えたのが【創造スキル調味料2】だ。


【創造スキル調味料2】は、純米酒(15度)、蒸留酒(90度)、オリーブ油、顆粒鰹だし、カレー粉。純米酒はそのまま飲めるし、蒸留酒やオリーブ油は燃料としても利用できる。スキルに調味料と判定される限界に挑むかのようなラインナップを七菜さんが考えた。


それにしてもよく蒸留酒が調味料に加えられたよな。一応、蒸留酒もフランベに使ったりするので調味料と言えなくはないのか。90度では風味も何もなくてもはや化学物質。酒って言葉に騙されたんだろうか。スキルの判定は器械的な一定の判定ではなく、そういった人間臭さが感じられるからな。

そして七菜さんの狙い通り、蒸留酒を調味料ではなく樹液を溶かす溶媒として利用することになりそうだ。



「ろ過はどうやってやるの?」


「シーツ。」


「なるほど。」



シーツは【創造スキル寝具】で作っているが、寝具としての利用よりも布としての使用の方が圧倒的に多い。俺が探索する時に収穫物を包む布に使ったり、飴を包んで売りに行くときの布に使ったりと、袋代わりに使うことが多い。

さっきも【創造スキルペットボトル水】で作り、水を飲み終えたペットボトルを牛乳を入れるのに利用していた。七菜さんは最初から別の用途への流用も考えて【創造スキル】を取得してくれたのだろう。その利発さが七菜さんの魅力の一つだと思う。



「大和は牛は狩れた?」



雪さんが聞いてきた。



「それがさ、牛の群れの王様が言葉を喋れたんだ。喋る相手を狩るわけにはいかなくて諦めたよ。でも交渉したら牛乳は分けてくれるって言うから搾らせてもらったよ。」


「牛乳!?凄い!!」


「帰ったら飲めるか鑑定してね。」


「うん!!」



雪さんは嬉しそうだ。



「雪さんて牛乳が好きなんだね。」


「ん?違う。牛乳じゃなくて乳製品が好き。チーズ、バター、生クリーム、ホワイトシチュー、プリン。」


「おー。聞いただけでも美味しそうだね。」


「こんな状況。楽しみは少ない。食への探求は大切。牛乳は重要アイテム。」


「あー、なるほど。意外と深いこと考えていたんだね。単なる食いしん坊だと思ってたよ。」


「むっ。イメージの改善を求める。」


「雪さんのイメージかぁ。喋り方とかでキャラ作りを徹底していて本心は見せない仮面少女。その実は寂しがり屋で食いしん坊。」


「むーむーむー!」



雪さんは唸りながらゲシゲシと俺の足を蹴ってくる。



「痛い痛い!HPが減る!」


「減らないくせに。」



雪さんが頬を膨らませて俺を見上げる。可愛い。



「そうだね。ははははっ。」



何だか楽しくなって笑ってしまった。

ああ、雪さんとの会話は楽しいな。



俺が雪さんと戯れていると、作業中だった美咲さんと華さんとソフィアさんも近寄ってきた。



「大和君楽しそうだね!何かあったの?」


「美咲さん!牛肉は駄目だったけど牛乳はゲットしたよ!それで雪さんが牛乳から作れる美味しい物を挙げてくれたからさ。楽しみだなと思って。」


「そっか!楽しみだね!今取ってる樹液も甘いみたいだから期待しているんだ!」


「うん。楽しみだね。みんなも頑張ってくれてるんだね。ありがとう。でも安全確保は大丈夫なの?」


「ここに来るまでは戸田君と橋基君とゴブ吉が一緒に来てくれたんだよ。今もこの周辺を警戒してくれているはず。」


「そっか。どれどれ、【マップウィンドウ】。」



【鳥瞰図】で見ると橋基君とゴブ吉は確かに近くにいるようだ。だが戸田君は周辺というには若干離れているように思う。



「戸田君は少し離れているみたいだね。また何かトラブルに巻き込まれていないといいけど。」



言ってみたら途端に不安になった。トラブル体質の戸田君ならあり得る。ステータスを確認しよう。



「【ロックオン】、20番。【ステータス】。」



『戸田鈴樹

 HP 312/312

 MP  69/255

 SP 182/298

 状態異常:-

 スキル:銃創造』



「よかった。HPは減ってない。」



俺が呟くと、華さんが疑問に思ったのか尋ねてきた。



「なんでそんなに戸田君の心配するの?」


「華さんは合流して日が浅いから知らないよね。戸田君は単独行動してよくトラブルに巻き込まれるトラブル体質なんだ。今もなぜか一人離れたところまで行ってるみたいだし。」


「トラブルを呼び込むために主人公ムーブしちゃってるのかなぁ。」


「戻ってきたらあまり遠くに行くと警戒の意味がないって叱っておかないといけないね。」



でも今日は戸田君も大丈夫そうでよかった。



「さて、俺は探索しようかな。」



俺がそう言うと雪さんが付いてくると言う。



「ここはそのまま置いておけばいい。みんなで一緒に行こう。」



他3人も同意のようだ。



「でも誰もいなくなったら橋基君が心配するかもしれないな。」


「大和が【鳥瞰図】で橋基の位置を確認して、戻ってきたら跳んで説明すればいい。」


「はーい。」



それならこの場所を【マーキング】しておこう。樹液=95番。覚え無いと。



みんなを引き連れて探索を開始する。現在地は拠点の南側。拠点の北は探索し終えたのでこのまま南に向かおう。ちなみに戸田君はここから南西、橋基君は東にいる。南に進むと会わないけど、まあいいか。


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