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「【トランスポート】、1番。」
手の平に小石が表われ、直ぐに消えた。
直後、目の前の景色が変わった。佐藤さんが目の前にいる。
「キャッ。えっ?大和君?」
突然の俺の登場に佐藤さんが可愛い悲鳴をあげた。突然人が目の前に現れたらびっくりするよな。事情を説明しないと。
「驚かせてごめんね。見ての通り瞬間移動して来ました。正確には小石の転移に巻き込まれたんだけど、細かいことはいいよね。良かったら一緒に行動しない?」
「ビックリしたよ。急に現れるんだもん。心臓が止まるかと思った。もしかしてそれってスキルなの?」
「うん。そう。」
「凄い!瞬間移動なんてできるんだね!私も取ろうかな。」
「普通に瞬間移動を取ろうとしてもボーナスポイントが足りないから止めておいた方が良いよ。俺のスキルは特殊な条件付きだから可能なんだ。」
「そうなんだ。どんな条件なの?」
「スキル名は【小石転送】と【転移巻き込まれ体質】。それから【マーキング】。事前に【マーキング】した人や物のの近くに小石を転送するスキルと、自分の近くで転移が発生したら巻き込まれて一緒に転移してしまうスキルを使ったんだ。自由自在に転移できるわけじゃないんだよ。」
「ちょっと待って。ついていけないよ。【小石転送】?【転移巻き込まれ体質】?全然分かんない。」
「分かりにくくてごめんね。とりあえず、特殊な条件で転移できるようにして佐藤さんの元へと飛んできたってことなんだけど、・・・突然だけど佐藤さん。好きです。」
「え?えぇ!急に!もう大和君わけ分かんないよ!」
「ごめんね突然。飛んできた理由を伝えておこうと思って。迷惑かな?」
「うぅ。迷惑ではないけど。なんか悪魔に先生が食べられちゃって、そのまま異世界転移させられて、大和君が急に現れたと思ったら告白されて、もう処理しきれませんって感じ。嬉しいけど。でも急に好きなんて言われても分かんないよう。」
「いや、十分状況整理できてるね。それに、別に答えを求めてはいないから気にしないで。ほら、こんな状況になっていつ死ぬか分からないでしょう。そう思ったら何を置いても言っておかないとなって思っただけだから。」
「いつ死ぬか分からないって、やっぱり私たち、死んじゃうのかな?」
「俺は佐藤さんを死なせないためにここに来たんだよ。だから大丈夫。」
「ありがとう。でも、私の代わりに死んだら嫌だよ?」
「大丈夫。スキルで対策してあるから俺も死なないよ。それじゃあ生存のためにも佐藤さんもスキルを取ろうか。」
「うん。そうだね。でもどんなスキルが良いんだろう。」
私の代わりに死んだら嫌だよ、か。佐藤さんはやっぱり優しいな。
でも大丈夫。俺は滅多なことでは死なないんだな。
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スキル名:ギャンブル体質
発動条件:HPが減少する攻撃や効果を受けると自動発動。
発動対象:自身。
スキル効果:自身のHP損耗量が[自身の現在HPの下一桁]倍になる(0~9倍)。
上記効果発動後、HPがランダムに1~3ポイント回復する。
この回復効果は最大HPを超過可能。
消費リソース:なし。
消費ボーナスポイント:1
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このスキルは高確率でHPへのダメージが増加してしまうデメリットスキルだ。これだけなら本当にデメリットが大きい。だがもう一つのデメリットスキルと組み合わせることで優秀なスキルへと生まれ変わる。
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スキル名:大雑把
発動条件:常時発動。
発動対象:自身。
スキル効果:自身の現在HPの一の位が切り捨てられる。
このスキルは他のスキルの干渉を受けない。
このスキルは状態異常として振舞う。
消費リソース:なし。
消費ボーナスポイント:1
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このスキルも単独ならHPが減少してしまうだけのデメリットスキルだ。だが【ギャンブル体質】と合わせることでHPの損耗を常にゼロにすることが出来る最強の防御スキルへと変貌する。
大丈夫だよ佐藤さん。俺は滅多なことでは死なないよ。