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みんなが待っていてくれたので戸田君に状況を報告してもらった。
詳しく聞くと井家田さんの服が脱がされ掛けているところを戸田君が見つけたらしい。戸田君はそれを見てカッとなって湾藤を銃で撃ったが、湾藤はHPで守られていたから怪我すら無かった。戸田君は一発撃ったところで人に向けて銃を撃ったことに動揺してしまった。そこでいつの間にか後ろに回り込んでいた東に蹴り飛ばされて、その後は湾藤と二人に殴られて抵抗も出来ずに捕まったそうだ。捕まった戸田君は持っていた水の入ったペットボトルを奪われ、どこで手に入れたと執拗に聞かれ、まだ持っているなら案内しろと脅された。嘘をついてばれたら殺されるかもしれない。せめてもと思い遠回りしていたところに俺が助けに来たということだった。
戸田君は井家田さんを保護したい。探してあげて欲しいと訴えた。
だが、外にはモンスターの他にも湾藤たちのような脅威があることがはっきりした。女子だけで行動させることは出来ない。探すなら俺か橋基君だ。いや、橋基君は女子からの信用が無いので、俺一択だ。
佐藤さんは、
「大和君に頼ってばっかりだから私から探して欲しいとは言えないよ。」
と、辛そうにしている。
飯田さんも、
「井家田さんは可哀想ですが、自分で探すならまだしも大和さんに頼るのは駄目だと思います。」
と、こちらも辛そうにしている。
真中さん、ソフィアさん、甘野さんは俺に任せるそうだ。
ふむ。
「湾藤と東については既に【マーキング】してあるので全く脅威にならない。モンスターや、まだ見ぬクラスメイトは脅威だけど、それは探索を続ける限り避けられない。つまり、いつもの探索と脅威度は変わらないね。北への探索が遅れちゃうのがデメリットだけど、別に急ぐ理由も無いし、井家田さんを探してみるってことでいいんじゃないかな。でも見つかるとは限らないからね。」
「大和君、ありがとう。いつも頼ってしまってごめんなさい。」
「別に佐藤さんは謝るようなことをしていないんだから、気にしないで。ああ、笑顔でいってらっしゃいしてくれたら頑張れるかも。」
「じゃあ、いってらっしゃい♡」
「いってきまーす。」
さて、探してみたが見つからない。
実は見つける方法はある。みんな忘れているのかもしれないが、【ノミネーションファイブ】で5人までは名指しで【マーキング】ができるのだ。【ノミネーションファイブ】で【マーキング】したのは佐藤さん、真中さん、飯田さん、ソフィアさんの4人だけ。あと1人登録可能だ。だが何かあった時のために取っておきたいという思いもある。
井家田さんは助けようとした戸田君を見捨てて逃げたんだよな。見つからなくて諦めてもいいよな。
よく考えると戸田君が見たのは井家田さんが襲われているところからで、どうしてそうなったのかは分かってないんだよな。もしかしたら先に井家田さんの方が湾藤たちに酷いことをしていたのかもしれない。
それに別に井家田さんだけが可哀想なわけじゃない。俺たちが知りえたのが井家田さんだったというだけで、もしかしたらもっと可哀想なことになっているクラスメイトがこの森の中にいるかもしれない。いや、確実にいるだろうな。
はっ!!
見捨てる言い訳ばかり考えてしまっている!?
一人になるとついダークサイドに陥ってしまう。やはり俺には傍に居るだけで心が洗われる佐藤さんのような人が必要だな。
そう言えば真中さんと二人で探索中も大丈夫だな。真中さんは無口で言葉足らずな喋り方をするけど、あれはキャラ作りしている感じがあるから小柄なのも相まってごっこ遊びしているみたいに感じちゃうんだよな。小さい子と遊んでいる気持ちになって毒気を抜かれてしまう。
飯田さんも清廉な印象があって、こちらも清くあろうと心が引き締まる感じがある。
あれ?
俺が単なる女好きってだけなのでは?
いかんぞ。ダークサイドから更にすけべサイドに流れそうだ。真面目に探そう。
井家田さんが何処に居るか予想してみよう。
恐らく井家田さんは、湾藤たちから逃げたいという思いが強かったはずだ。そのため、湾藤たちとは逆方向に逃げた可能性が高い。井家田さんが襲われていたという地点から、戸田君を助けた地点とは逆方面を探すべきだろう。
逃げた距離は、恐らくそれほど長くはない。異世界に来てから4日目なので移動するとモンスターと遭遇しやすいことは井家田さんも分かっているだろう。それに、体力面でも長距離移動は難しいだろう。だから適当な距離を離れたら隠れられる場所を見つけて隠れていると予想する。
【鳥瞰図】を見ながら捜索範囲を絞り、隠れ易そうな物陰を探していこう。
あの繁みは隠れやすそうだな。おっ、見たことないキノコを発見。採取しておこう。
あの岩陰は隠れられそうだな。おっ、綺麗な石があるぞ。【錬金術】の素材になるかも。
おお!薬草の群生地発見!!確かHP回復薬の材料がこの草だったはず。確保、確保。
はっ!
いかんいかん。素材集めに気が逸れてしまった。真剣に探そう。
あの繁みは?・・・居ない。
あの木の上は?・・・居ない。
あの背の高い草の中は?・・・居ない。
「ガサガサ。」
探索していたら物音がしたのでそちらを見ると、女子高校生が走り去る後ろ姿が見えた。




