32
「それじゃあ先ずは。」
「【ロックオン】、20番。」
「【ステータス】。」
『戸田鈴樹
HP 89/313
MP 89/255
SP 250/298
状態異常:-
スキル:銃創造』
「HPは89。MPも89だね。」
「赤、掛ケマス。」
ソフィアさんは赤い液体が入った試験管の栓を外すと、座っている戸田君の頭に垂らした。
『戸田鈴樹
HP 94/313
MP 89/255
SP 250/298
状態異常:-
スキル:銃創造』
「お、HPが94になった。いや、まだ増えるみたいだ。100超えた。止まるまで待つね。・・・。139。89からだったから全部で50回復だね。」
するとソフィアさんはもう1本同じ赤色の液体が入った試験管を取り出した。
「モウ1本アリマス。飲ンデ下サイ。」
ソフィアさんは戸田君の口元に試験管を押し付ける。
「ちょっと待って!ちゃんと飲むから、自分のタイミングでいかせて!」
戸田君大慌て。代わってあげたいけど、俺はHPが減ってないからなぁ。頑張れ戸田君!!
「大丈夫なんだよね?これ、飲んでいいんだよね?飲むよ!?」
戸田君が一人で騒ぎ、それをみんなが固唾を飲んで見守っている。いけ!いくんだ戸田君!!
戸田君が試験管を口につけ、飲んだ!!
「うげぇ、臭いよこれ!」
臭いのかぁ。できればお世話になりたくないな。
さてHPは。
「HPは214。75増えたね。飲んだ方が効果は高いのかな。」
ソフィアさんはうんうんと頷くと、青い液体の方の試験管を取り出した。
「次、コレ飲ンデ。」
再び戸田君に試験管を渡す。受け取った戸田君は大きく深呼吸してから一気に呷る。
「うげぇ、こっちは苦いよ!」
ありがとう戸田君。MPはみんなも減ってるから戸田君でなくても良かったんだけどね!
『戸田鈴樹
HP 214/312
MP 139/255
SP 250/298
状態異常:-
スキル:銃創造』
「MPは50回復だね。ソフィアさん!凄いよ!戸田君もありがとう!」
だがソフィアさんは残念そうに首を振った。
「MP回復薬ノ材料ガ魔晶石。モウ無イヨ。」
「魔晶石って、洞窟にいた恐竜を錬成してできたやつだよね。もしあの恐竜が必要だとしたら見つけるのが大変だけど、多分他のモンスターでも魔晶石を作れると思う。あっ、象型モンスターの足だけ持って帰って来たけど、体は放置してきたんだよね。持ち帰るのは大変だけど、明日ソフィアさんもついていって錬成してみる?」
「行ク!!」
「じゃあ明日ね。今日の【錬金術】の成果発表はこれで終わり?」
「材料報告スルヨ。HP回復薬ハ、コノ草。」
「あぁ、この草は割とよく見かけるね。分かった。集めるよ。」
「モウ1ツ。コノ花。」
「これも見かけるかな。」
「アト、水。」
「それは佐藤さんのホームの水でも大丈夫なのかな?」
「今日ハ、七菜ノ出シタ水ヲ使ッタ。明日試スヨ。」
「うん。よろしく。」
「MP回復薬ハ、魔晶石ト、コノ葉ッパ。」
「ええと、これはどこで取ったものだっけ?誰か覚えてるかな?」
俺は覚えていなかったが、佐藤さんが応えてくれた。
「昨日のお昼前、甘野さんたちと会う前に取った物だと思うよ。」
「そうするとはっきりとした場所は分からないね。覚えておいて似たような葉っぱがあったら取ってくるよ。サンプルを1枚持っていくね。それにしても、MP回復薬か。それが出来たら佐藤さんのホーム拡充や飯田さんの創造が捗るね。」
飯田さんが恐る恐るといった様子で発言する。
「あのー。回復薬の味の改良に挑戦してみてもいいですか?」
「絶対必要だと思うよ!!あのままじゃ飲みたくないもん!!」
凄い勢いで戸田君が賛同の声をあげた。よっぽど不味かったらしい。
「実験しようにも回復薬が無いとできないよね。数が出来たらお願いするよ。」
「分かりました。それから美咲さんのスキルの2つ目の部屋なのですが、冷蔵室にしてはどうでしょうか?食材の安定確保のためには長期保存できる環境が必要だと思います。」
「お風呂って話もあったけど、佐藤さんのスキルだから佐藤さんが決めていいよ。」
「お風呂も欲しいけど、先に食料の確保だよね。七菜ちゃんに賛成。」
佐藤さんの同意が得られ、他に反対意見も無いことから拡張済みの二部屋目は冷蔵室となった。温調を設置して室温を2℃設定にした。
飯田さんが料理担当となりつつある。回復薬の味付けが料理に含まれるかは疑問だが、本人のやる気も腕前も、飯田さんが一番適性があるようだ。
ソフィアさんからの【錬金術】に関する報告も終わったところで就寝となった。こうして異世界3日目を終えた。