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「ただいま。」


「早かったですね。まだ捌き終わっていないのでもう少し待ってください。」



みんなで薪を拾い集めている間に、飯田さんは一人で蛇を捌く担当をしてくれていた。

まだ捌き終わってないと言いつつ、蛇は綺麗に開き終えてキツネの解体に取り掛かっているよ。やっぱり飯田さんはサバイバル経験があるのではないだろうか。



「飯田さん。何か手伝うことある?」


「大丈夫です。蛇もキツネはモンスターだからか、捌いても血が出ないんです。それどころか内臓がありません。だからそんなに大変じゃないですよ。モンスターの生態については疑問だらけですが、面白いですね。」


「へぇー、内臓も無いのか。」


「内臓が無いぞう。」



真中さんが何か言ったが、無視だな。



「火は何処で起こそうか?」


「大和。無視は酷い。美咲との恋の応援は要らないのか。」


「あまりに低レベルのダジャレだったから無視してあげた方がよいという親切心だよ。俺だけじゃなく佐藤さんも飯田さんも無視したじゃないか。佐藤さん、飯田さん、今のは何点?」


「えっ?えーと、50点?」


「古来より使い古されたダジャレでオリジナリティの欠片もありませんが、状況への合致度が高いことを評価して30点でしょうか。」


「むむむ。精進する。」





ダジャレはさておき、ホーム内で火起こしは大変なことになりそうなので、このまま外で焼くことになった。臭いにつられてモンスターが来たりしないか不安だが、その時は急いで逃げてもらうしかない。

大き目の石を集めて丸く置き、その中心に集めてきた薪になりそうな木を置いて、創造魔法で創造したライターで火を付けた。上に飯田さんが【創造スキル調理器具】で創ったフライパンを置き、飯田さんが捌いた蛇をのせて、飯田さんが【創造スキル調味料1】で創った塩を振った。



「食事関係のほとんどが飯田さん任せで申し訳ないな。」


「あら?この蛇を倒したのは大和さんですよ。それに、大和さんが今日果たしてくれた役割は私のしていることなどと比べ物にならないくらい大きいと思っています。私たちがこうして集まれたのは大和さんのお陰ですから。」


「そうかな。役立てたなら良かった。」


「そうそう。モンスターに襲われているところに颯爽と現れて助てくれた。格好良かった。思わず抱き着いた。」


「え?雪ちゃん抱き着いたの!?初めて聞いたよ?」


「あれは惚れても仕方ない。美咲が付き合わないなら大和は私が貰う。」


「私もいいですか?今日一日だけですが、私は一緒に森を歩いてきたので一番長く大和さんと一緒の時間を過ごしたと思います。そこで感じた率直な意見として、大和さんにはこれからも一緒に居て欲しいと思いました。美咲さんはどうですか?」


「それは私も、頼もしいなと思ったよ。」


「二人でいる時、告白されたって喜んでた。」


「雪ちゃん!それは秘密って言ったじゃん!」


「こんな状況。想いは伝えておくべき。言え。」


「え、うん。そうだね。私の所に真っ先に来てくれて、好きって言ってくれて、嬉しかったよ。」


「付き合うのか?」


「それは、今日は色々あり過ぎて考えられないよ。」




困り顔の佐藤さんも可愛い。何だか妙な展開になり口を挟めなかったけど、ここは男の包容力を魅せるところだな。




「ありがとう。俺は友達からって前向きな言葉を貰っているからそれで十分だよ。」


「むむむ。大和。それでいいのか?雪と大和も友達。」


「それを言うなら私も友達ですよね。」


「そうだね。みんな友達。あれ?それでいいのか?俺としては「友達から」の「から」の部分に進展を許容する含みを感じたわけで、「友達でいましょう」だと完全に断り文句だけど、「友達から」は良い返事に準ずる意味合いがあると、あるよね?」


「それは、ん-、どうだろう?」



くっ、いつの間にやら形勢が変わってしまった!悪戯顔で小首を傾げる佐藤さんも可愛い!!



「大和、ドンマイ。」


「攻めるべき時に攻めなかったために、攻め所を失いましたね。俗に言うへたれですね。」



飯田さんの解説が心を抉る。次の機会にはきっちり攻めます。



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