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初クエストと超越者と遭遇

十話です!

初めての戦闘描写!難しい!

ギルドで受けたクエスト、【レッドウルフ討伐】を達成するためにグランツから西の方角にある森に向かう紫苑一行。

そういえば、今回の討伐対象について何も知らない紫苑はその事について隣を歩くハリーに聞いてみる事にした。


「そういえば、レッドウルフってどんなやつ?」


「ん?そうだなぁ…。まぁ名前の通り赤い狼みたいなヤツだ。1匹1匹は大したことはないんだが、ヤツらは10〜15匹程度の群れを作り、必ず集団で行動する。だが、群れのリーダーを倒せばヤツらは何も出来ず一目散に逃げていくから、もしヤツらに囲まれたらリーダーを狙う事だな」


「なるほど、つまり1匹では何も出来ない出来損ないって事か」


「間違っちゃいないけど、言い方!」


そんなやり取りをやっていると、前を歩くシャロから止まるように指示が出た。


「シッ、あそこにレッドウルフがいます」


シャロが指を指す先、そこには赤い体毛の狼が群れていた。あれがレッドウルフなのだそうだ。しかし、レッドウルフの群れを見たハリーが異変に気付く。


「群れの数が多いな…。パッと見た感じ、30匹はいるぞ」


「正確には33匹だな。ハリーの言っていた普通の群れの数の倍はいるね」


「それほど群れのリーダーが強いということでしょうか?」


通常よりも倍は多い群れの数にどうするかを考える。あれだけの数だ、囲まれでもすれば一たまりもないし、リーダーを倒すにしてもそこに辿り着くまでにあれだけの数を相手にしなければならない。一先ず近くの茂みに身を隠し、改めて群れの様子を見る。群れの中心に、他のレッドウルフよりも一回りも二回りも大きい個体がいる。おそらくあれがリーダーなのだろう。そして、そのリーダーを手下のレッドウルフが囲んでいる。リーダーを守っているのだろう。

これを突破するのは流石に厳しい。なのでシャロとハリーの二人が出した決断は、


「…これは、一度出直した方がいいな」


「ですね。余りにも数が多すぎます。ギルドに戻って報告しましょう」


ギルドに戻り、レッドウルフ異常な群れの数を報告しようというものだ。そして、改めてギルドに討伐隊を組んでもらおうと考えた。そうと決まれば話は早い。


「シャロ、紫苑。一度引くぞ…」


「はい」


先程通った道を引き返そうとする。しかし、返事が帰ってこない紫苑を不審に思い、もう一度呼び掛ける。


「紫苑?…紫苑!」


返事がない。まさかと思い、レッドウルフの群れを見る。そこには、


「これがレッドウルフかぁ。そこらの犬の方がまだ可愛げがあるな」


…群れのど真ん中に堂々と居座る紫苑(アホ)の姿があった。


「し、紫苑さぁぁぁぁぁぁぁん!!??」


「何やってんだアホォォォォ!!!!」


紫苑の突拍子のない行動に思わず身を乗り出し、大声でツッコミを入れる二人。しかし、そうなるとどうなるかわかりますか?


「「「グルル…!!」」」


「「あっ」」


そう、普通にバレる。そして、


「「「ガウガウッ!!」」」


「「しまったぁ!?」」


群れの数匹がハリーとシャロに襲いかかった。


「くっ!仕方ない、応戦する!援護を頼むぞ、シャロ!」


「はい!」


襲いくるレッドウルフに対し、剣を構えるハリーと魔法の詠唱の準備をするシャロ。そして、群れの内の1匹がハリーに対し、攻撃を仕掛けようとした瞬間、


「ど真ん中にいる俺を無視するとはいい度胸だ」


いつの間にかハリーの目の前にいた紫苑が、スキルで作り出した剣で先頭にいたレッドウルフの首を跳ね飛ばしていた。


「なっ!?」


「うそ….、全然見えなかった……」


二人からすれば急に目の前に紫苑が現れたと思ったらレッドウルフの首が飛んでいたのである。驚愕以外の何物でもないだろう。


「う〜ん。動物虐待してるみたいで気分は良くないかも」


当の本人は呑気な事を言っているが。紫苑は改めて群れの全体を見る。そして、左手にもう一本剣を創り出し、不敵な笑みを浮かべた。


「さて、お二人さん。折角だからそこで見てるといい。神をも恐れさせたこの俺の力を、遊び半分で見せてやろう」


後ろを振り向かずそういった紫苑は、凄まじい速度でレッドウルフの群れに突っ込んだ。それに対し、レッドウルフ達も負けじと紫苑に襲い掛かる。だが、


「アハハハ!!遅い遅い!!」


まるでスポーツでも楽しんでいるかのような声色で、軽々と斬り捨てていく。正面から来れば右手の剣で斬り、左右同時に来れば回転しながら踊るように、飛び掛かる個体には同じような飛び上がりながら斬り、着地地点にいる個体を剣で突き立てる。


「凄い…」


シャロの口から思わず声が漏れる。それ程までに圧倒的だ。あの化け物染みたステータスからとんでもなく強いという事は理解していた。しかし、まだ冒険者としては初心者だから助けようと思っていた。しかし、その思いは既に無くなっていた。もはや強いなんてものじゃない。もっと上の、自分達では到底届きはしない領域だ。言うなればあれは、


“超越者”とでも言うべきか。


「う〜ん、やっぱり1匹1匹は弱っちぃね。さて、リーダーであるお前はどうなんだ?」


いつの間にか手下のレッドウルフを全滅させ、残るリーダーに剣を向ける紫苑。あれだけの数をこの短時間に、しかも息も切らさずに倒し切る紫苑の実力に、ハリーとシャロは恐怖を抱いた。


「ほらほら、仲間がいなくなったら何も出来ないのか?さっさとかかっておいで」


そんな二人の心情を知らない紫苑は、リーダーであるレッドウルフを挑発する。対するレッドウルフは紫苑との実力差を感じ取り、ゆっくりと後退りする。


「何、逃げるの?」


戦意をなくしたレッドウルフに対し、つまらなそうに吐き捨てる紫苑。このままだと時間の無駄だと考え、レッドウルフにトドメを刺そうと近づく。


その時だった、


「グオオオオオオオッ!!!!!!!」


「ギャウッ!?」


「「!?」」


レッドウルフの背後の茂みにからさらに巨大な魔物が現れ、レッドウルフを喰らいだした。レッドウルフも必死に抵抗するが、健闘虚しく、ついに息絶えてしまった。


「そ、そんな…」


「バカな…、何故こんな場所に…!?」


突如現れた巨大な魔物を見て、二人が声を震わせる。あれが何か分からない紫苑は二人に聞く事にした。


「二人とも、あれ知ってるの?」


「あ、ああ…。アイツは…」


レッドウルフを喰らった巨大な魔物は次の標的を見定めるようにこちらに向き直った。


「グオオオオオオオッ!!!!!」


「Aランクモンスター……、キマイラだ!!」



ありがとうございました!

冒険者あるある。討伐対象より強い魔物が現れる。

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