人を捜して
三話です。ネタを考えるのが難しい…
地平線の彼方まで続くような広大な高原を一人、走り回る男がいた。
「ハハハハハ!!!!」
……いや、走り回るなどと言う生易しいものではなかった。彼が走った後には砂埃が竜巻の如く巻き上がっている。爆走だ。まるでゲームで言う無敵状態のような感じだ。これには空を飛ぶ鳥も思わず二度見。
彼の名は音無 紫苑。元いた世界で次元に穴を開けたり、過去に遡ったりと色々やらかした為、罰として神に異世界に飛ばされてしまった男である。しかし、紫苑はそんな罰をものともせずテンション爆上げで爆走していた。この様子を見た神は頭痛と胃痛に襲われ薬が心の拠り所になってしまったが、それは別の話。
「ふぅ…」
しばらく走り回った紫苑は一息つくように立ち止まり、近くの木に背を預けた。そして、改めて辺りを見回す。
辺り一面に広がる草原。空には現代では見た事がない青い鳥。後ろには爆走した為に砂埃が巻き上がった後。ついでに所々地面にヒビがあった。このような光景を見て改めて異世界に来たんだと再認識した。しかし、紫苑には一つ困った事がある。
「人がいない」
そう、人が見当たらないのである。もしや人がいない世界なのかと考えたが、それにしては道が整理されすぎているので何処かにいるのだろうと考える。ただ、この付近にはいないのだろう。
「全く、こういうのは街とか人の近くに転移するものなんじゃないのか?使えない神め」
現在の状況を把握し、神を罵倒する紫苑。….何度も言うが、これは一応罰なのである。なので、別に神が間違っているという訳ではない。むしろ罰が異世界に転移させるだけなのだから優しすぎるくらいなのでは?
とにかく、今は人を捜そうと思い、再び進み始めようと足を動かし、一つ思い至った。
──これ、空から見れば街とかすぐ見つかるんじゃね?
思い立ったら即実行。紫苑は自身の能力を使用した。
「"創造"」
"創造"。自身の魔力を原子に変換させ、一から物質を構成することであらする物を創り出す能力だ。流石に生物を作る事は出来ないが、それでもあらゆる物を創り出すという能力は十分破格と言えるだろう。
「んー、こんなもんでいいか」
どうやら完成したらしい。紫苑の手には一つの物体があった。上下左右にプロペラが付き、その横にはボタンが付いた箱のような物。
……そう、ド◯ーンとそれを操るコントローラーである。
「一回使ってみたかったんだよねこれ」
…一言言わせて貰おう。
異世界に来たのにそんな物を創り出すんじゃない。
ありがとうございました!次回、第一異世界人に、会います!