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リカちゃんの災難  作者: つちまろ
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忍者?

お母さんに巨大マルチーズの猛追から救ってもらった私は、母の手に乗り自室まで移動した。

ゴマはサークルに入れられて不満げだった。


クゥーンと甘えた声を出しているが、あいつ私を追いかけて遊びたいだけだよ絶対…ブルッ



ベッドサイドにちょうど自分の身長くらいになったスマホを発見し、床におろしてもらう。


「お母さんありがとう、みっちゃんに相談してみるね」


「うふふ、いいのよぉ。みっちゃんきっと飛んで来るわね。

 お母さんは高校に電話しておくから、何かあったら呼んで頂戴ね」


うふふ、と笑いながら部屋から出て行く母を尻目に、私は早速携帯の電源ボタンを押した。

指紋認証できないのめんどいな、暗証番号何番だっけ…なんて考えながら。




――――――は、反応しない…



3分ほどの格闘の末、ジャンプして足で押したところやっと反応してくれ、ため息をつきながら暗証番号をタップした。

掌で叩いてたから、本当のタップだな…。


スピーカーにして、電話をかける。



プルルル、プルル…


「―――――…何」


2コール程でみっちゃんが出てくれた。

相変わらず愛想のない出方。


「リカだけど…みっちゃん今家?暇?こっち来れる?」


みっちゃんはお隣さんだ。


「俺、寝てた。今から…どうした?」


「うーん、なんか私小さくなっちゃって、小人病っぽいんだよね~」


「…!いく。」



電話が切れて10秒、私の部屋の窓がノックされた。


私の部屋とみっちゃんのお姉ちゃんの部屋にはベランダがあり、お互いの部屋を行き来できる程度に近い。

みっちゃんのお姉ちゃんはもう社会人で家を出ていて、なぜかそのタイミングで部屋を移動したみっちゃんは試験前などは私の部屋に渡って来ていた。

同じ大きさの部屋にいたのに何でかなと当時は不思議に思っていたけど、今となってはありがたい。


でもごめん…窓まで行って鍵が開けられる気がしません。。。


窓から私の姿を目視したみっちゃんは一瞬目を見開いて、鍵が開けられないと悟ったのかコクリとうなずき―――ベランダから飛び降りた。



「ぎょえええええ!?みみみっちゃあああん!?!?」



みっちゃんの奇行に呆然としていると、背後からみっちゃんの声が聞こえた。



「何?」



OMG!!ジャパニーズニンジャ!!

カナダの目がやばい南公園なアニメキャラクターが脳内で走りながら叫ぶ。



「色々びっくりしたよみっちゃん…」


「?…ごめん」



なんだその良く分からないけど謝っとこうみたいな態度は。



「いいけど…怪我ない?」


「ん。」


「良かった……もうベランダから飛び降りたりしないでね。

 ちっちゃくなっちゃったから、下でみっちゃんが動けなくなってても何もできないし…」


「ん。」



―――みっちゃんは一文字しかしゃべっていないが、これがデフォルトである。

幼馴染だから慣れたものだ。



「で、ですね…本日お呼び立ていたしましたのはですね…」



私は改まって正座して、巨大なみっちゃんを見上げる。

声が聞こえにくかったのか、みっちゃんは私をハムスターのようにすくいあげると、ベッドの上におろした。

自分はベッドにもたれかかるように床に座り、耳を近付けてくれた。



「ありがと…でね。笑わないで聞いて欲しいんだけど…」



この幼馴染が爆笑するところを見たことがない私は、必要のないであろう前置きをしながら話出した。



――小さくなる前に夢を見たこと。

  その夢には3人の男子が出てきて、関わる度に災難に見舞われ入院することになること。

――同じ高校に進学する予定のみっちゃんに、なんとか助けて欲しいこと。


――あとできれば通学の時にポッケにでも入れて行って欲しいこと。


もともと通学は自転車を予定していた。…つまり歩くとそれなりの距離。

幼馴染をタクシー代わりに使うのは申し訳ないが、この身体では下校時までに登校できるか分からない。


みっちゃんは、私の話を真剣に聞いてくれて、通学の件もオッケーしてくれた。

3人の攻略キャラについては、クラスさえ違えば教室から出る時みっちゃんと一緒にいればどうにかならないかな、と言うと頷いてくれた。

他の友達には便利なタクシーですとでも言っておこう…

あ、トイレの時だけ友達にタクシーしてもらおう…



「―――あ、でももし、みっちゃんに好きな子とか彼女ができた時は言ってね!

 誤解されないように別の協力者を探すからね!」



私がそういうと、みっちゃんは眉間にしわを寄せつつも「……ん」と言った。

綺麗な顔してるから、不機嫌顔には凄味がある…


あんまり女の子に興味ないもんな、みっちゃん。

女の子と仲良く話してる所は見たことがない。

中学の時も告白されてるとこ何回も見てるけど、全部断ってたし。


まさかBL…?

とBLゲームも片っ端からプレイしていた前世の腐った脳がささやくけど、みっちゃんに聞けるはずもないし無視することにした。



「入学式の朝、来る」



みっちゃんがそう約束してくれたので、とりあえず学校への不安は減った気がする。3パーくらい。


忍者は登場しません。

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