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リカちゃんの災難  作者: つちまろ
2/9

小人化?

巨大化した周りを見つめて呆然とするリカの目に、ズシンと音を立てて巨大マルチーズの足が飛び込んできた。



「どえええええええ!!」


命の危険を感じ、ベッド(壁)際まで急いで避難する。

走るリカを巨大な黒い目が追っているのを背中で感じる…

巨大マルチーズがリカを見てネズミか何かと勘違いして捕獲しようとしたら……自分の血でマルチーズの白いモフモフが汚れる様子を想像して、リカは戦慄いた。


「お、おおお、おす、おすわり!!!」


とっさにそう叫ぶと、子犬の頃はリカのスカートめがけてピラニアのように飛びついて来ていたが母の努力によりかなり賢くなったゴマはおとなしくお座りする。

ほっとしたリカは、声で自分だと認識されていると仮定して、ゴマに「待て」と命令。

お座りしたまま微動だにしない巨大マルチーズを傍目に、キッチンにいるであろう母めがけて全力疾走した。

遠い。巨大化した家むっちゃ広い。そんな事を考えながらもなんとか無事にキッチンに到着。

平屋で良かった、そう心から思ったリカだった。



「おかあさああああああん!!!!」



そんなことを考えながら母の姿を探すと、巨大キッチンの陰から巨大な母が顔を出した。


「あら?あらあらリカちゃん小さくなっちゃって…」


おっとりした母は、頬に手をあて首をかしげながら微笑ましげにリカを見る。


「こんなに小さかったら、お母さん産むの楽だっただろうなぁ~」


リカは難産だった。丸1日苦しんだ末やっと出てきたんだよと日ごろから言われていた。

自分が巨大化したというのにいつも通りの母を見て、リカはひとつの可能性に気付いた。



「あれ、もしかしてこれ、私が縮んだ…?これ、これ、まさか小人病??」



――そう、周りが大きくなったとばかり思っていたリカだったが、自分が小さくなったという可能性もあったのだ。

そう思い至ったリカの脳裏に浮かんだのは、『小人病』という病気だ。


小人病とは、その名の通り突然身体が小さくなってしまう病気で、昨年は年間で数百人の発病が確認されたと前にニュースで話されていた。

原因は分かっておらず、小人化した人間は3年経つと元通りの大きさに戻る。

また、戻った後に脳や細胞に異常がないため、大病としては認識されていない。


社会的にも発症者の受け入れ態勢が整いつつあり、リカの住む小さな町でも稀に小人化した人を見かけることがあるほどだ。

しかし、友達に発病者はいない。

高校受験の時も見なかったから、たぶん同級生にもいない。



リカの明るいJKライフに、影がさした瞬間だった。



「……っていうか、これ、『ミニプリ』…?」




もうひとつの恐ろしい可能性に気付いてしまったリカは、そう呆然とつぶやくのだった。


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