第0話「少女たちの世界」
声劇台本ではありません
連載と書いてありますが短編です
続きはありません。
いつも通り起床して、冷たい床を歩いていく。
薄暗い部屋に溶け込む寝ぼけた少女の顔に、太陽の光が目を覚ませと言わんばかりに、刺激してくる。
外に出て、明るい世界に目を慣らすと、彼女にとって当たり前の光景が瞳に映り込む。
「もう半年も経つのか」
彼女はそう呟くと、後から「まだ半年だよ」と寝起きとは思えない澄んだ声が聴こえてきた。
「また早起き? ちゃんと寝てるの?」
「別に夜遅くまで起きてるわけじゃないからな」
少女の心配しながらどこか呆れたような質問に、大きなコンクリートの塊の陰から出てきた少年は、慣れたような口調で返事をした。
ため息ではない深い息を吐いて、いつものことだけど、と頭を掻きながら少年は、少女に問いを返す。
「あいつはまだ起きてない?」
「今日もいつも通りだよ。まだ時間もあるし、15分経ったら起こしに行こ」
いつも通りと割り切りどこか寂しそうな表情で少女ーー雨空 夕美は、昇る太陽に照らされる壊れた世界を瞳に映し出していた。
ーー少女は夢を見ない……