町へ
子供達を連れて町へ向かう。
何が出てくるかわからないので日が沈む前には町へ着きたい。
「セイゾー、つかれた」
レンがうずくまる。
まだそんなに歩いていないが、子供の足にはきついのかもしれない。
相変わらず呼び捨てだ。
「あるけない、おんぶー」
レンが疲れているならハナも疲れているだろうとハナを見る。
「わたし……だいじょうぶ」
俺の心配を察してかハナが答える。
お姉ちゃんとわかったせいか、お姉ちゃんっぽく見える。
膝を突き、体を前かがみにする。
「やったー」
おんぶしてもらえる事がわかりレンが喜ぶ。
レンが勢いよく飛び乗ってきた。
そんな元気があればまだまだ歩けるんじゃないだろうか。
レンを背負い立ち上がると再び歩き出す。
「ハナも疲れたら言うんだよ?」
「わたし……がんばる」
そう言ってハナは力強く歩いていく。
気合とともに耳も動くのが可愛かった。
甘えすぎるのも困るが、我慢しすぎるのも困る。
ハナの頭の白いラインを見ていると、元の世界で助けた犬を思いだす。
前髪に白い髪が少しあるというだけで似てはいない。
似てはいないのだが、その少しの特徴が妙にあの犬を思い出させる。
「セイゾー、まちはいつつくの?」
同じ景色ばかり続く道に飽きたのかレンが後ろから尋ねてきた。
「ん~、もう少しじゃないかな?」
先ほど会った男の話を信じるなら、そう遠く離れていないはずだ。
道の先にはまだ町は見えないので疑いたくなる。
横を歩いているハナが急に止まった。
泣きそうになっている。
「むり……あるけない」
頑張っていたが限界がきたようだ。
そんなに我慢する前に言ってほしかった。
「レン、お姉ちゃんと交代だ」
「うん」
嫌がると思ったが、素直に応えてくれた。
お姉ちゃんが頑張っている姿を見たせいかもしれない。
しゃがんでレンを降ろしてやる。
「ほら、次はハナの番だ」
「うん……ありがとう」
背負う子供を変えて目的地に歩き出す。
しばらく歩くと、レンが道端に落ちていた枝をひろい振り回し始める。
子供は枝とか振り回すのが好きなのだろうか。
自分の子供の頃を思い出すと、同じ事をしていた気もする。
「振り回すと危ないぞ」
レンに注意する。
そういえば自分が子供の頃も大人に注意されていたな。
「うるさい、わるものめ、やっつけてやる」
レンが枝で叩いてくる。
遊びのつもりだろう、痛くはない。
まるで子供をさらう悪者を退治しようとしているようだ。
「レン、セイゾーはわるく……ない?」
ハナには自信をもって否定してほしかった。
1時間以上は歩いただろうか、道の先に町らしき物が見え始めた。
まだ遠くにはあるが、大人の歩く距離としてはそう遠くない。
「セイゾー、おんぶー」
またレンが疲れたようだ。
「ハナは大丈夫?」
後ろにいるハナに尋ねる。
「だいじょうぶ……じゃない」
大丈夫ではないようだ。
しかし困った。2人を一緒におんぶはできない。
抱っことおんぶ? 試してみることにした。
ネクタイや上着を使い自分と子供をしばる。
抱え上げて2人の足を持つ。
バランスが悪いので子供には首や肩につかまってもらう。
不恰好だがなんとか歩けそうだ。
「なにこれ、おもしろい。うしろにあるいてる」
レンは抱っこしているので後ろ向きになってします。
不安定なのだからあまりはしゃがないでほしい。
「セイゾー……だいじょうぶ?」
ハナが後ろで心配そうにしている。
正直このまま遠に見える町まで歩くのはきつい。
しかし子供に弱音を吐くわけにはいかない。
「大丈夫、大丈夫」
辛い顔に笑顔を作る。
「セイゾー、へんなかお」
レンはその顔が気に入ったのか笑っている。
安心させようと作った笑顔が笑われて少し複雑な気分だ。
でも、楽しそうに笑うレンの顔を見ると悪い気分はしない。
頑張った、町まであと少しだ。
手の感覚がなくなってきている。
「まちだー、セイゾー、おろして」
「わたしも……」
抱えたいた子供達を降ろす。
子供達はすごく元気に町に走っていく。
俺は疲れて走る気力がない。




