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未来を願う

 俺は1人の女と墓の前に立っている。

 日差しも強くなり、もう夏なのかもしれない。

 教会の裏の片隅に建てられた墓だ。

 そんなに立派なものじゃない。

 足音が聞こえたので振り返ってみると子供達が花を持ってやってくる。

「セイゾー、みてみてー」

「このはな……みつけた」

 子供達の手元を見ると、どこで見つけたのか蓮の花を両手いっぱいに持っている。

 そんなにどこで取ってきたのだろうか。

 危ないところに行っていないか心配になる。


「こら、勝手に走っていくな」

 子供を追いかけてきたのだろうか、レンゲも来た。

「私も手伝ったんだからな」

 なぜか恥ずかしそうにレンゲが言っている。

「おかさん、いっしょにやった」

「おかさん……へた」

「私も初めて花を摘むんだからな。ところでハナ、お母さんの悪口を言うのはこの口か」

 レンゲがハナの口を優しく引っ張る。

 痛くはなく、むしろ気持ちいいのかハナは嬉しそうに笑っている。

「わたしも、やるー」

 レンがレンゲの頬を引っ張る。

「痛い、痛い」

 レンが力一杯引っ張ったようだ。

 見ていて自分の頬まで痛くなりそうだ。

 さすがにレンゲに怒られている。

「ごめんなさい」

 レンゲに素直に謝っている。

「こうやって……やさしく」

 ハナがそんなレンを見て優しく頬を摘む。

 気持ちよかったのかレンも嬉しそうにしている。

 レンもハナの頬を優しく摘むと、2人で頬を摘み合っている形になる。

 お互い楽しそうに笑っているのでとても微笑ましい。


「みなさん、足が速すぎます」

 息を切らしてマリアがやってきた。

「私だって手伝ったんですから少しは待ってください」

「マリア、運動不足じゃないのか?」

 頑張って走ってきたであろうマリアにレンゲが無慈悲な言葉を浴びせる。

「そうかもしれません」

 マリアも実感しているのかその言葉に反論はしないようだ。

 マリアは息を整えると墓の前に立ち、目を閉じ祈る。

 レンゲと子供達も花を墓に供えるとマリアと同じように目を閉じる。


「セイゾー、おやすみなさい」

「セイゾー……ありがとう」

「セイゾー、お前は約束を守ってくれたよ。本当にありがとう」

「セイゾーさん安らかにお眠りください」


 そう、俺は死んでしまったのだ。

「これが、あなたが守りたかった光景ですか?」

 隣に立っていた女が口を開く。

「ああ、そうだな」

 女が俺の方を向く。

「後悔はないんですか?」

 少し考える。

「う~ん、特にないかな」

 俺の答えが不思議なのか女はおかしな顔をする。

「変わった人ですね」


 あの騒動の後は大変だった。

 何故か俺は横にいる女と一緒にあの騒動の後を眺めていた。

 俺は教会へと運ばれマリアの治療魔法を受け続けた。

 俺は自分の傷を見たときには助からないとわかっていた。

 横腹には深く穴が開いていたのだ。

 マリアの魔法は大きな怪我は治せない。

 それでもマリアは必死で俺の傷を治そうとしてくれた。

 俺が助からないとわかると、レンゲやマリアだけでなく自警団として来ていたレオス達も泣いてくれた。

 目の前で自分が死んでいるのに不思議ではあるが、俺のために泣いてくれる人がいることをとても嬉しく思った。

 自警団がレンゲに何かするということはなく、男達を連れて詰所へと去っていった。

 教会の騎士が来ると人相を確認し、手配書の人物であることがわかったらしい。


 子供達は何が起きているかわからなかったようだ。

 俺がただ寝ているだけだと思い起こそうと必死に話しかけた。

 その姿を見てマリアやレンゲは涙を抑えることが出来ず子供達を強く抱き締めた。

 ゆっくりと、しっかりと子供達に俺がどうなったのか説明した後、子供達も泣いた。

 その時の俺には子供達を抱きしめることが出来なかった。

 その頭を撫でることも、優しい言葉をかけることすら叶わない。

 ただ、自分がいなくなった未来を眺めているだけなのだ。

 俺が墓に埋められると、レンゲ達は出て行こうとするが、マリアが必死で止めた。

 どうかこの教会で一緒に暮らしてほしいと。

 レンゲや子供達にとっては俺と別れた悲しい場所なのかもしれない。

 しかし、俺と暮らした思い出の場所でもあるのだ。

 そうマリアに説得されていた。


 それから少しの時間が流れたのが今の状況である。

 振り返ってみると、俺がこの世界に来たとき子供達を助けなければ、レンゲが子供達とどこかに逃げていたのかもしれない。

 また余計なことをしてしまったのだろうか?

「私はよかったと思いますよ」

 横の女が人の心を呼んだかのように答える。

「そうか?」

「ええ、あなたが子供達を助けなければ、この未来はなかったのですから」

 女がニッコリと笑う。

「たられば言っても、もう済んだことですし」

 ため息をつく。

 女の言うとおりだ。

「あんたは女神なんだろ? ずっと見ていたのか」

「そんなに暇に見えますか?」

 俺が死んでからずっと一緒にいる。

 とても忙しそうには見えない。

「名前はセーイスだっけ?」

「まあ、教会からはそう呼ばれていますね」

 反応からすると別の名前があるのだろう。

「というか、あなた私が女神とわかっていてタメ口なんですね。マリアや上司とかに丁寧に話してたのに」

 女神が思い出したように怒った顔をする。

「だって俺だけこの世界に放り出されたんだろう?」

「え? なんで知ってるんですか!?」

 言ってから女神がしまった、という顔をする。

「レンゲが自分や子供はこの世界に連れて来られたって言ってたからな」

「意外に考えてるんですね」

 女神が感心したような顔を向ける。

 なかなか失礼な女神だ。

「レンゲ達には何か恩恵みたいなものはあったのか?」

「はい、少しは」

 聞かなければよかった。

「あなたにもあげましたよ?」

「まさか……」

「はい、言葉が通じる恩恵です」

 満面の笑みで答える女神。

 女神とわかっていても腹が立つ。

 そういえば教会で祈ったときそんな声が聞こえた気がする。

 そういえば、レンゲは子供たちと一緒にこの世界に来たのではないと言っていた。

 その事を女神に尋ねる。

「亡くなった順番というか、時間が違いますので」

 どうやら、死んだ順番らしい。

 即死したと思っていた俺は重体で病院に運ばれ少しの間とはいえ生きていたらしい。

 子供達は帰らぬ母親を待ちながら息絶えたと想像すると悲しくなる。


「そんな顔しないでください。ほら今のあの子達の顔を見てください」

 そこには家族で仲良く笑いあう姿がある。

「守れてよかったですね」

「そうだな」

「あなたはこれからどうするんですか?」

 どうするとは一体どういうことだろうか、俺はもう死んでしまった。

「何か私が叶えれる事があれば叶えますよ。あなたはそれだけあの子達のために頑張ったんですから」

 何か叶えてもらう願いなどあるだろうか? 

 目を閉じてじっくりと考えるが、特に何も思い浮かばなかった。

「特にはないかな」

「ええ!? ちょっと無欲すぎませんか? このまま消えていいんですか?」

 どうやら死んだ後は消えるらしい。

 その後も女神は何かないのかとしつこく聞いてくる。

 俺は少し考えた後ゆっくりと歩き出す。

「1つだけあったよ」

 後ろを振り返らず言葉を続ける。

「子供達の未来が幸せであるように願わせてくれ」

 そう言うと俺は消えるために歩き出す。

 もう見守ってやることはできないが、どうか俺の願いが叶い、子供達が幸せでありますように。


「あの……、どこ行くんですか?」

 おかしい、こういう場合かっこいい言葉を残して消えたりするものじゃないだろうか?

「もしかして、かっこいい終わらせ方とか考えてやってませんか?」

 女神が痛いところを突いてくる。

「いや、なんかそういう流れなのかなって」

 恥ずかしいが素直に女神に告白する。

「見ているの私だけでよかったですね。」

「はい」

 女神の生ぬるい視線を送ってくる。

「消えるのは私と一緒です」

 そうだったのか、さっきの自分を殴ってやりたいくらい恥ずかしい。

「では、行きましょうか。子供達の未来が幸せであるように願いながら消えるとしましょう」

「え? 俺の真似か?」

「いいじゃないですか、私もやってみたかったんです」

 くだらない言い合いをしながら俺達はこの世界から消えた。

 どうか子供達の未来が幸せでありますように。


 完

 この物語を最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。

 

 異世界に飛ばされたおじさんがたいした力はないけれど、命をかけて必死に子供達を守るような話を読んでみたくて自分で書いてみました

 誤解のないように書いておきますが、異世界で主人公が強かったりする作品を否定するものではありません。

 ああいった作品も面白いですし、こんな作品より人気があるはずです。

 自分なりに必死に考えたつもりですが、同じような作品があったら申し訳ありません。


 読み返してみると、設定が甘すぎるし、世界観がうまく伝えれてないなど自分の技術力のなさがよく分かりました。

 なにより文章が下手すぎます。

 こんな作品ですが、少しでも楽しんで頂けたなら嬉しく思います。


 作品に登場したレンゲの視点で同じ作品を書いていますが、子供達の癒し成分がなく、つまらない作品になってしまいそうです。

 万が一読みたい方が1人でもおられましたら完成させて公開したいと思います。

 期待に応えれない作品になった場合は申し訳ありません。


 自分で小説を書くことによって、難しさが大変よく分かりました。

 小説を読むのも人の倍くらいかかるのですが、書くのも遅いようです。

 この経験により、他の方が書く作品の素晴らしさをより実感して楽しむことが出来そうです。


 つまらないあとがきを書いてしまいましたが、この度は私の作品を読んで頂き本当にありがとうございました。


ぶちハイエナ

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