ラビーの風呂
「今日お風呂に入りに行きますね」
昨日はずっと犬のことが頭から離れなかった。
そのためか少し寝不足になり、気だるい体でギルドに入った俺にラビーがそう話しかけてきた。
「おはよう、いきなりだな」
「おはようございます。楽しみにしていたので」
前から風呂に入りにくると言っていたが、ギルドが忙しかったり子供達が風邪をひいたりで先送りになっていた。
「わざわざ言わなくてもいいのに」
マリアとも仲がいいのだ、俺に許可を取って来る必要もない。
「今日来るってわかったら、セイゾーさんも楽しみかなと思いまして」
「なんでだよ」
ラビーは体をくねらせる。
「マリアよりスタイルには自信があります」
勝ち誇った顔をしている。
「マリアに伝えておくよ」
「すみません、やめてください」
俺だってそんなことマリアに言いたくない。
ラビーと話を終えると仕事に向かう。
仕事を終え子供達と遊んでいるとラビーがやってきた。
「こんにちは! 準備万端です!」
「こんにちは、ラビー」
着替えを持って気合を入れている。
よほど風呂が楽しみだったみたいだ。
「あー、ラビーだー」
「ラビー……どうしたの?」
子供達もラビーと呼んでいる。
マリアも呼び捨てだし俺の呼び方の真似をしているのだろうか。
「ラビーおねえちゃんですよ~」
ラビーはそう言って子供達の頭をワシャワシャと撫でる。
「あら? ラビーもう来たの?」
ラビーの声が聞こえて来たのかマリアがやってきた。
「マリアも一緒に入ろうよ」
ラビーはマリアを風呂に誘う。
「え? 一緒に入るの?」
マリアは予想していなかったのか戸惑っている。
「あたしもー」
「みんなで……はいる」
子供達も一緒に入る気になっている。
広めに作っているとはいえさすがに狭いのではないだろうか。
「おー、じゃあ皆で入ろう」
ラビーも乗り気だ。
「しょうがないですね」
マリアもその様子を見て折れる。
「セイゾーも、いっしょ?」
「いえ、さすがにそれは」
そう言ってラビーがマリアを見る。
「あら? 皆一緒なんじゃないの?」
「え!? マリアはセイゾーさんとお風呂入ったことあるの?」
「冗談ですよ」
「びっくりした~」
ラビーもマリアの冗談には驚かされるようだ。
「セイゾー……なかまはずれ?」
心配そうにハナが見てくる。
「いいんだよ。仲間に入る方が困るしね」
「そうなの……?」
ハナはよくわからないといった顔をしている。
子供っていつまで一緒にお風呂に入ってくれるんだろうか?
このまま一緒にいて子供達が大きくなったら、さすがに一緒に風呂には入らないだろう。
それよりも先に親が見つかるといいんだけどな。
皆で風呂に入る準備をするため風呂場に向かった。
「覗いちゃだめですよ?」
風呂の準備ができるとラビーはそう言って風呂場に入った。
「もう、ラビーったら変なこと言わないの」
先に入っていたマリアの声がする。
「マリアは覗かれてないの?」
「セイゾーさんはそんなことしません」
防音対策などしていないので声が外によく聞こえる。
「あー、ラビーおっぱいおおきい」
「ほんとだ……すごい」
子供達が変な事を言いだす。
「どうですか、すごいでしょ」
「大きければいいってもんじゃありません」
聞いてはいけないと思いつつも聞き耳をたててしまう。
「セイゾーは、おおきいほうがいいのかな?」
「わたし……ちいさい」
俺は胸の大きさに特にこだわりはない。
ハナはまだ小さくて当たり前だ。
「どうなんですかねー? セイゾーさんどっちがいいですか?」
「え!? セイゾーさんいるんですか!?」
そういえばラビーは耳がいいと言っていた。
それでも、さすがに返事をしてはまずいので何も言わず部屋に戻った。
しばらくすると、風呂から出てきたラビーが俺の所に来る。
「会話だけでも楽しんでもらえました?」
「おまえなー」
やはりラビーには気付かれていたようだ。




