風邪再び
随分と暑くなってきたある日のことだ。
仕事も終わり子供達とボール遊びをする。
レンがボールを持ってきた時、突然それは起こった。
レンが吐いたのである。
立ったまま勢いよく吐く姿はマーライオンのようだった。
そんな事考えてる暇はない。
「おい! レン大丈夫か!?」
「はいちゃった」
レンの額に手を当てる。
熱い。
よくこれで今まで遊んでいたな。
気付かなかった自分が情けなくなる。
急いで部屋に寝かせる。
「レン……だいじょうぶ?」
前とは逆で今度はハナがレンの心配をしている。
前と違ったのは、熱があるのにレンが元気なところだ。
マリアの所に報告も兼ねて相談に行く。
「子供は熱があっても元気なのは珍しくないですよ」
そう言ってマリアは慌てた様子はない。
「寝させなくていいんですか?」
「いえいえ、発熱しているんですから安静にさせましょう」
マリアと共にレンの下へ行く。
遊びたそうにしているレンをハナが叱っている。
「おねえちゃん、あそぶ」
「ねてなきゃ……だめ」
やはり元気そうに見える。
でも発熱のためか顔は赤い。
「私が話相手になるから横になりましょうね」
マリアはそう言うとレンを横にする。
少し強引に見えたが動き回られるよりはいいかもしれない。
「あそぶー、あそぶー」
「大人しくできるならおいしい物作ってあげるぞ?」
餌で釣ってみる。
「わかったー」
見事に釣れた。
ハナを連れて町へ買い物に出る。
ハナはなんだか嬉しそうだ。
「セイゾーと……おでかけ」
前に1人だけ行けなかったからかな。
「レンはしんぱい……でもうれしい」
話を聞くと、今度は自分がレンの看病をしてあげられることが嬉しいそうだ。
町に着いたので、前と同じように果物を買った。
酒場で話を聞いていたヨーグルトも買う。
飲料タイプではなく固まってる方だ。
今回はレンが起きているので横になりながら楽しめることを考える必要がある。
何かいい案はないだろうか。
「おはなし……する」
「お話って?」
ハナが何か案があるようだ。
「おはなしすると……レンはたのしめる」
「なるほど」
ハナの意見で閃いたことがある。
いつもの雑貨屋に行く。
紙は安くなかったのでノートサイズくらいの板と描くものを購入。
絵具は残念ながらなかった。
板は使ってない端材ということで安く譲ってくれた。
教会に戻りハナと作業を開始する。
紙芝居ならぬ板芝居だ。
相手が女の子なので女の子らしい話を思いだす。
レンだから男らしいのでも気にしないだろうが、変に悪影響を与えてもいけない。
桃太郎とかなら簡単に思い出せるのだが、他の話がなかなか思い出せない。
シンデレラや白雪姫くらいしか思い出せなかった。
シンデレラは時間の話が出てくるので説明が面倒になりそうだ。
白雪姫にする。
絵はそんなに細かく描かなくてもいい、
要は聴覚と視覚で楽しめればいいのだ。
ハナも一緒に描いてくれる。
人物はある程度わからないといけないので俺が描き、ハナは森の木や花、動物など描いてもらった。
上手に描けている。
急いで描いたにしては上出来なのではないだろうか。
今度暇をみて色を塗ったり、木の裏に話す内容を書いたらいいだろう。
字は書けないのでマリアにお願いするしかない。
料理にとりかかる。
果物を俺が小さく切る、ハナがヨーグルトに投入。
これは料理といっていいのだろうか?
ハナが味見をする。
「まえのほうが……おいしい」
俺も食べてみる、あまり甘くない。
砂糖を加えハナに食べさせる。
「ハナ、あーん」
ハナの口に入れる。
「すこし……あまくなった」
もっと砂糖を入れる。
これ以上は入れたくない。
ヨーグルトってこんなに砂糖を入れるものなのか、たしかに無糖だと味がほとんどしなかった気もする。
「ハナ、あーん」
またハナが口を開ける。
レンのときにも思ったが、雛鳥みたいで可愛いい。
「おいしい……もっと」
やっぱり姉妹だな。
レンのがなくなってしまうのでもう1口だけ食べさせた。
あの砂糖の量を考えるとたまにしか食べさせられないな。
完成品を持ってレンの下へ行く。
残念ながらレンは寝ていた。
「あの後すぐ寝たので、もう起きると思いますよ」
マリアが手に持っている物を見る。
「また何か作ったんですか?」
話をする道具だと説明した。
「それはヨーグルトですか?」
そう言ってマリアは口を開ける。
「え? もしかして」
「あーん」
前に自分で食べられると言われた気がするのだが、仕方ないのでマリアの口にヨーグルトを入れてあげる。
「甘いですね。果物も入っていておいしいです」
もう一度口を開けようとするマリア。
「今度作ります。これはレンのですから」
口が開く前に止めた。
うるさかったのかレンガ起きた。
「あ、セイゾー、おかえり」
寝たのがよかったのか、先ほどより元気そうだ。
「つくってくれたー?」
期待しているレンの口元にヨーグルトをすくって持っていく。
「あーむ」
食欲もありそうだな。
「あまくておいしー。もっとー」
ハナが俺の袖を引っ張る。
「わたし……やる」
器を渡しハナにまかせることにする。
食べ終わるのを待って先ほど作った板芝居をすることにする。
ハナも一緒に作ったが話の内容まではわかっていないのでレンと一緒に待ち遠しそうにしている。
何故かその横でマリアも待ち遠しそうにしている。
マリアも聴いて行くらしい。
「おもしろかったー」
「キス……すごい」
思った以上に楽しんでもらえた。
「面白かったです。セイゾーさんが考えたんですか?」
「いえ、昔聞いたことがある話しです。記憶が曖昧なので合っているか自信はありませんが」
「もういっかい、よんでー」
「うん……よんで」
この後、同じ話を3回も聞かせることになった。
これだけ気に入ってくれたなら今度他の話も作る事にしよう。




