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女との再会

 久しぶりに酒を飲んだ。

 あまり強い方ではないがゆっくり飲んだので酔っ払うほどではない。

 帰り道にふと気になる光景を目撃する。

 広場の隅で先ほど話しかけてきた女の店員と、焼かれた廃村にいた男が話をしている。

 何を話しているかは聞こえないので気付かれないように身を隠し近づく。


「はやく……俺達が……やばい……」

「あの時あんたが……近いうちに……」

 断片的な言葉しか聞こえない。

 何かを企んでいるような会話にも聞こえる。

 話は終わったのか2人は別れる。


「おい」

 背後から急に声がする。

 肩がビクンと跳ねゆっくりと後ろを向く。

 そこには教会の前で会った女がいた。

「なにしてるんだ?」

 町で会ったからといって話しかけるような間柄ではなかったはずだ。

「いや、別に」

 まるでこの前とは逆の立場だ。

「あの2人を見ていたのか?」

 女は先ほど見ていた2人を指差す。

「あなたは関わらなくていい」

 何の話だろうか?

「何か知っているのか?」

 女に近づき問いかける。

「だから、関わるな。あと近い」

 女が俺から離れようとする。

「何か知っているなら教えてくれ」

 あの男は何か子供達の事を知っているかもしれないのだ。

 離れようとする女の手首をつかむ。

「痛っ!」

 そんなに強く握ってはいない。

 女の手首を見ると包帯が巻いてある。

 怪我をしていたのか、知らなかったとはいえ申し訳ない。

「すまない」

 女に謝る。

「いや、たいした怪我じゃない。気にしなくていい」

 女はそう言ったが、少し血のにじむ包帯は軽い怪我には見えなかった。

「あなたには、関わってほしくないんだ」

 女が尚も言い張る。

「だから、どうして」

「私の問題だからだ」

 意味がわからなかった。

 俺の知らない何かがあるのは間違いない。

 これ以上聞いても無駄かと追求するのをやめる。


「なあ。町で一緒にいるのを見かけたんだが子供は元気か?」

 女が話題を変えるためか別の話をしてくる。

「子供は元気だ」

「あなたの子なのか?」

 子持ちに見えるのだろうか?

 年齢的にもあれくらいの子供がいてもおかしくはない。

「いや、今は預かってるだけだ」

「預かる?」

「ああ、親が行方不明らしい。それまでは俺が面倒を見る」

「物好きだな」

 自分でもそう思う。

 女を見ると口元が緩んでいる。

 フードが邪魔だが笑っているのかもしれない。

「私はもう行く」

「なあ、あんた名前は?」

 もう会わないかもしれない女の名前を聞くのはおかしいかもしれない。

 でもこの女とはまた会う気がする。

 だから名前を知っておきたい。

「名前? 好きに呼んでくれ」

「いや、名前がわからないと呼べないだろ」

 女が少し考える。

「教えられないな。だから自分で考えて好きに呼べ」

 女はそう言って去っていった。


 なんとも怪しい女だった。

 でも何故か一緒にいると心が和らぐような気もする不思議な女だ。

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