人型の守護霊
ラグナダの駅に着くと、明らかに学者な風貌の男の人が2人並んで待っていてくれた。
「え?あの人達?合ってるかな?」
こそっとプシュケーに聞く。
「あの人、とくにボサボサメガネの方がケンザキ博士じゃないかしら?ほら、見て、あの人の守護霊。」
そう言われて目を凝らす。マカは、プシュケーはハッキリと見えるが他の人の守護霊はぼんやりとしか見えない。彼女自身では、ぼんやりと見えるだけでも十分霊感少女だと思っている。
マカは視線に映ったものを見て固まった。いままで、守護霊は火の玉しか見たことがない。しかし、ケンザキ博士と思われる男の人の後ろにいるのは、人。どこから見ても人。
見たことのない真っ黒な服と、真っ黒な帽子を被っている。しかも帽子からは何か棒が伸びている。この国のファッションではない。
「え?あの人怪しすぎるよ!」
クルッと方向を変えようとすると
「マカ・サルバメントちゃーーーん!!」
男の人がマカの名前を呼び、隣にいる人がマカの名前を書いたボードを掲げた。
ああ、逃げられない、とマカは泣きそうになりながら2人に近づいた。
「は、初めまして、ケンザキ博士。」
「初めまして、マカ・サルバメントちゃん。」
よく来たね、と握手を交わす。隣にいる男の人もガランと名乗り、握手をした。
ケンザキ博士は身だしなみには少しも気を使わないようで、髪は黒くしかもボサボサで、なんというか、怖いというより、不気味である。しかも、瓶底メガネで素顔がよくわからない。
と、ここまでは、普通の人の感想だが、マカは彼の風貌よりやはり守護霊が気になってしょうがない。
幽霊が見えるなんて言ったら、マカの方が気味悪がられるので、見ないように気をつけていた。
「さ、さっそく研究室にいこうか。」
見た目もとても紳士的なガランさんが、スマートに車に乗せてくれた。ドアを男の人に開け閉めしてもらうなんて、お嬢様みたいと少し嬉しくなった。