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プシュケーの御楯  作者: さかみち
はじまりの章
3/12

シスターからの紹介

コンコン


重厚な扉をノックする。ここはシスターマリアの研究室。奥からどうぞ、と聞こえその重たい扉を両手であげる。



「先生、マリア先生、私です。サルバメントです。」



「マカ・サルバメント、来るのはもっと後でよかったのだけれど。まあ来たものは追い返さないわ。そこにお座りなさい。」



奥から重そうな本を読みながらシスターマリアが出てくる。本を読む時の頭の角度を保ったまま、目だけこちらに向ける。その目には、怒りか呆れの感情が入っているのが見て取れた。マカはその表情に、顔が一気に青ざめる。マカの心情を表すようにもみあげもシュンとする。


マカは勧められたままに、椅子に座る。フワフワだが、ほこりっぽくて座るとギシッという音とともにほこりが舞う。



「先生、今日、、、というか最近私が遅れそうになっているのには、理由があるんです。」



「サルバメント、あなた、素直に謝れないのですか。」



「す、すみません、先生、、、でも、毎晩同じ夢を見ていて、その夢のせいで寝覚めがよくなくて、、」



「夢、ですか。そんなもの、誰でも見ると思うのですが。それがあなたの理由と言うのなら、これはこれは、、、たいそう立派な言い訳ですねぇ。」



呆れてため息をつくシスターマリア。マカは自分が考えていた展開と違うため、何を言えばいいかわからず、ぐっと口をつぐむ。



「いいですか、マカ・サルバメント。ここ聖グラニーディアの目指す生徒は」



「恵みある愛、豊かな教養、清廉なる純潔、です。」



「いまのあなたでは、どれも当てはまりませんよ。自分の生活をもう一度しっかりと見直しなさい。あなたはこの歴史ある学校の誇れる生徒の一人なのです。それを忘れては行けませんよ。」



「は、、はい、、、」



シスターマリアの勢いに押され、もう下を俯くしかないマカ。返事とともに礼をして部屋を出て行こうとする。



「それはそうと、サルバメント、あなたに博士を紹介しましょう。無意識や夢など、意識下について詳しい方です。きっとあなたの力になってくださいますよ。」



「えっ、あ、ありがとうございます!」



話半分で聞いていたと思っていた夢の話に触れられ動揺する。シスターマリアは紙に住所と博士の名前を書いて渡す。



「ケンザキ博士、、、え、ラ、ラグナダ?!」



「ここからラグナダまでは列車を使えば3日で行けます。土日でいければよかったのだけれど、そうもいかないですね。よろしい、サルバメント、あなたは明日から1週間学校を休んでそちらに向かいなさい。博士には話を通しておきますから。」



「は、はい、シスターマリア、、、」



あまりの展開についていけず、扉にぶつかりながら、メモを握りしめたまま教室に戻った。

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