夢の話
マカは夢について話そうとした時、衝撃を受けた。キューピッドが、いつも見る夢に出てくる男の子によく似ている。もしかして、キューピッドと小さい頃会っていた、、、?
いや、さっき誰?て聞かれたことから考えれば違う、、、?
「とりあえず夢の内容を聞かせてほしい。」
ケンザキの言葉に我に返る。
「あ、はい。いつも同じ夢なんです。幼い私と男の子、ちょうどキュー君ぐらいだと思います。2人でお花畑の中で遊んでるんですが突然男の子が暗い、悪魔みたいな、闇みたいな、よくわからないんですけど、そういうのに飲み込まれてしまうんです。」
「ロリコンは夢の中でも、ロリコンだな。」
クピテの言葉にまた顔を赤くして怒りに耐えるマカ。
「な、、?!あと、、、その男の子、クピテ君やキュー君のようにピンクの髪の男の子なんです。」
「えー!!僕と一緒?!」
「うん、あたしたち、小さい頃一緒に遊んだことあるのかな?」
キューピッドを抱き上げながら聞くと、わかんないという顔をされ、さすがに守護霊とは遊ばないか、と自分の突飛な考えを吹き飛ばした。
「なるほど、、、、ふむ、、、恐らく、暗示に近いものだと思う。あと幼少期で意識的に思い出せない記憶を夢に見ているんだな。その記憶を思い出せれば夢はもう見ないと思うよ。夢に見るほどだから、何かキッカケがあればふと思い出せるさ。」
「キッカケ、、、」
うーんと考えていると、ガランが優しく声をかけてくれた。
「あまり思いつめても体に触ります。さあ、疲れてるでしょうし、宿泊する部屋へお連れしましょう。一度ゆっくりしてください。」
にっこりと笑うガランに顔を赤く染めると、クピテが舌打ちをした。
クピテの悪態は無視をして、マカはガランにエスコートされて部屋を後にした。
2人がいなくなった部屋でケンザキがクピテに鋭い眼差しで話す。
「どう思う?」
「別に?あの変な守護霊が変な夢でも見せてるんじゃねーの」
クピテはそう返すとクルッと背を向けて部屋を出ていく。
その後ろで博士はやれやれと言った表情。クピテの去り際に、気をつけて。と声をかけ、作業へと取り掛かった。
一方、ガランとマカは廊下を進む。
「あの、私、じ、、、実験とか、されるんですか?」
博士の食いつきぶりに脳裏に浮かんだ嫌な想像。
人体実験、薬漬け、洗脳、、、、
ああああどうしよう、、、、!!
考えていることが表情に出すぎているのか、フフッとガランが笑う。
「安心して下さい。まあ多少、脳波を見たりすると思いますが健康に害のあることはしませんよ。」
よかった、と胸をなでおろす。
すると、1つの部屋の前でガランが止まる。カードキーで扉を開け、荷物を中に運び入れる。どうやらここが今日の宿らしい。
カードキーすらみたことの無いマカには何がおこっているのやら見当もつかない。
中に入って荷物を運び入れてもらい、お礼を言うとガランは研究室へ戻って行った。
「ふぅ、、、疲れた、、、。」
この数時間、ずっと張っていた緊張からの解放にベッドに体をあずけ、ぼーっと天井を見る。
夢、、解決してよかったな。
プシュケーはプシュケーで隠し事してるし、案外プシュケーのこと、わかってないのかな、私、、、、。
「隠してたわけじゃないのよ?見せる場面が無かっただけなの、、、ってあら?寝てる、、、」