何のために
「マカいい匂い〜〜〜〜」
「ああああ天使、、、」
熱い抱擁をしていると、ツカツカと音を立てて、男の子が近づいてきた。
「おい!このエロガキ!離れろ!」
「クピテ男臭い僕ムリ。」
「こんの〜〜〜〜〜〜ッ」
ゴツッ
クピテと呼ばれた男の子は、顔を真っ赤にして怒り、天使君をゲンコツで殴った。
ひぇええと怯えているマカに、クピテが目を向ける。
「マカ、」
「はいいい!初めまして!ごめんなさい!殴るのだけはご勘弁を!!」
「初めまして、、?」
クピテは少し考えた顔をしたあと、手を差し出した。
「クピテ・ヴァーゼラーメだ。よろしく。」
「マカ・サルバメントです。」
握手をするとケンザキ博士がニコニコしながら私の肩を持つ。
「2人とも同い年なんだから敬語なんていらないよ〜。なんなら前に」
「見えてるようだから説明するけど、そこのまんまるいのが俺のカラミティのキューピッド=エロースだ。」
ケンザキ博士の話を遮るクピテ。ケンザキ博士にだけにわかるように牽制する。
「キュー君って呼んでくれていいよ〜〜!!」
「キュー君!かわいい!キュー君!!」
キューピッドの可愛さにやられて、遮られた話が何だったのかマカは気にならなかった。
そこにクピテがため息をつきながら口を挟む。
「どこが可愛いんだ、ただのエロガキだぞ。」
「小さい子は正義!!」
「ロリコンかよ、、、」
ロリコンと言われ、かちんときた表情のマカ。上に2人姉がいるマカにとって弟のような存在は本当に可愛いのだ。特に性的興奮を覚えているわけではない。
「ロリコンって、、そういう風に考えるクピテ君のほうがそういう事に興味があるんじゃない?」
「は?現にそこのエロガキにデレデレしてるやつに言われたくねーな。」
そう言うと、ケンザキ博士の方に向き直り、
「こいつ本当に新しいスピリガンなのか?こんなんすぐやられんじゃね。」
こ、こいつ、、、?
こんなん、、、?
初対面の相手に何て言い方なの、、?!
クピテの後ろで怒りに震えるマカ。
スッとマカの横にガランが来て、紅茶を差し出す。
「マカさん、一度紅茶を飲みましょうか。
クピテ君、マカさんはスピリガン候補では無いんですよ。
マカさん、話が大分ずれてしまいましたね。すみません。」
さりげない、紳士的なフォロー、、、!ガランさん、イケメン、、、!!
慣れない大人の男性にドギマギしていると、ガランさんに顔をのぞきこまれ、心配される。
「マカさん?」
「あっ、、はい!すみません!」
「いえいえ、私たちの話ばかりになってしまってすみません。」
ケンザキ博士もああそうだったそうだったと話題を切り替える。
「最近、いつも同じ夢を見るってことだったよね。」
「あ、はい、そうなんです。」
そうだ、何のためにラグナダまで来たのか忘れてた。